2016全日本カート瑞浪:DLレインタイヤの圧倒的性能

今年のKF開幕戦にあたるもてぎではBRIDGESTONEが見事な復活劇を遂げ、その原因としてBSタイヤの金型にモデルチェンジがあったのではないだろうかと筆者は推測した。おそらくこの考えは正しい。なぜなら瑞浪で優勝した朝日ターボが、第3戦の表彰台で「ここで勝てなかったら今後5年は勝てないと思っていた」と発したからだ。タイヤ開発において5年間も変更の施しようがないものは金型ぐらいのものであるから、この発言こそがBSタイヤがプロファイルを変更したことを裏付けているといえるだろう。

さて、今回も各社のタイヤについて見ていこう。いくつか注目ポイントがあり、何よりも筆者にとって衝撃だったのはDLのレインタイヤの驚異的な性能の高さであったが、それは順を追って紹介していこう。

目次

1.YOKOHAMAフロントタイヤのモデルチェンジ

YH開発担当の内藤さんが金曜日に語ってくれたのはフロントタイヤの金型変更の話であった。今までは角ばっていてピーキーな特性(おそらくハンドル切り始めの特性だ)であったフロントタイヤを一新し、より丸みを帯びた形状となったのだという。

今回からのYHタイヤ

今回のYHタイヤ

前回のYHタイヤ

前回のYHタイヤ

明らかに角が丸くなっていることが見て取れる。一昔前のDLタイヤに近い形状をしているように思える。ただ、他社はもっと丸いタイヤで勝負しているのだからYHもそうすればいいのではないだろうか?そうYH開発ドライバーの三村壮太郎に聞いてみたが、「DLの形状がベストなことは確かだが、あれは非常に難しい」のだそうだ。ここから先は筆者の推測になるが、おそらくDLの形状が難しいのには2つの理由がある。

1つ目の理由として、コーナリング中のタイヤ外形の話が挙げられる。前回の推測でも記述した、角ばったタイヤのメリットだ。YHは今のところ幅広い温度域で安定したグリップを出すことに苦労しており、土曜日プラクティスの時のように各社ともに想定外の路面温度上昇ともなれば真っ先にブローするのはYHである。であるから、丸みを帯びた形状にした場合の単位面積当たりの仕事量増加にコンパウンドが付いていけない、あるいはピンポイントな温度特性にせざるを得なくなり、タイヤが温まるまでや想定外の路面温度の場合にかなりの苦戦を強いられることになるのだろう。

2つ目の理由は、厳密にいえばカート用タイヤはラジアル構造を禁止されているだけで、バイアス構造が指定されているわけではないという点にある。1と2の数字の間には1.5を含む多くの数字があるように、ラジアルとバイアスの中間構造も存在する。バイアスベルテッドタイヤだ。斜め方向にプライを重ねるバイアス構造を基本としつつ、その上にラジアルのようにベルトを重ねるのだ。これによりバイアスタイヤの高い横剛性とラジアルタイヤのトレッド剛性を両立することができる。KFでは全社バイアスベルテッド構造を採用していることは間違いないだろう。ただし、トレッド面が丸いということはベルトも丸いということだ。トレッド面の丸いラジアルタイヤなんてものはバイク用タイヤにしか存在せず、YOKOHAMAタイヤが2輪用タイヤから撤退したのは1993年12月のことである。KFに参戦する3社の中で唯一2輪用タイヤ部門を持たないYHにとって、これは非常に難易度の高いことなのかもしれない。

土曜日公式練習での三村のタイヤ。あまりの路面温度の高さにブロー気味だった。

土曜日公式練習での三村のタイヤ。あまりの路面温度の高さにブロー気味だった。

ただ、フロントのプロファイル変更と同時に行ったというリアの構造変更による剛性アップの成果は確実に走りにあらわれていた。前回のもてぎではどうしても他社のコンパウンドに負けてずるずると腰砕け感のある走りとなっていたYH勢であったが、今回は、特に雨で路面温度が下がった時にはしっかりと路面をとらえて走っていた印象があった。明らかにYHは進化している。課題は明確だと三村は言ったが、おそらく第一の課題は高温度域に対するコンパウンドの耐久性だろう。これから気温の高い時期に突入し、YHには厳しい戦いとなるかもしれないが、何らかのブレイクスルーが起きた瞬間トップに立っているのはYHなのかもしれない。

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