BS&YHの合同タイヤテストを独占取材!

タイヤテスト、それは熾烈なタイヤ開発競争が行われている全日本カート選手権OK部門において最も極秘情報が多い現場だ。タイヤメーカーはそれぞれテストを行う際にはサーキットを完全貸し切りにし、一般客の立ち入りは厳禁。タイヤの開発を行うドライバーやタイヤテストへの参加が許されたチームだけがその場に入ることができる。

そんな最重要ポイントにPaddock Gateはメディアとして初めて立ち入りを許可された。2月某日、BRIDGESTONEとYOKOHAMAの合同タイヤテストが行われた鈴鹿サーキット国際南コースの様子をお届けする。

タイヤテストとは

各タイヤメーカーは基本的には限られたチームと提携してタイヤを開発している。現在のところそれはBRIDGESTONEではTONYKART RACING TEAM JAPANとINTREPID JAPAN CORSE、DUNLOPはEXPRIT TAKAGI RACINGとMASUDA RACING PROJECT、YOKOHAMAはCrocPromotionとADVAN HIROTEXというラインナップになっている。ここにはレースに出場はしていないが長年タイヤ開発に携わっている往年のドライバーが参加しているのも特徴だ。タイヤメーカーはそれぞれ提携するチームやドライバーに開発した構造やコンパウンドの異なる複数のタイヤを供給、そこで得られたタイムやフィーリングをもとに本番のレースに向けてタイヤを進化させていく。

しかしながら少数のドライバーが走るだけでは路面コンディションが本番と大きく異なってしまいがちだ。特にスペシャルタイヤが使用されるOK(昨年までのKF)カテゴリーでは市販タイヤが走行した路面とは全く異なるゴムの乗り方となり、走るとぬるぬるとした感覚に襲われる。この状況を数少ない台数で作り出すのは困難なため、各メーカーは開発チームではないがタイヤを供給している信頼のおけるチームをタイヤテストの現場に呼び、過去に製造したスペシャルタイヤを彼らに供給し、路面を作り上げていく。開発ドライバーでないドライバーにとっては、使用できるチャンスがほとんどないスペシャルタイヤを履くことができる貴重なタイミングであり、特にルーキードライバーにとっては経験を積むことができるまたとない機会となっている。

タイヤテストは従来タイヤメーカーがそれぞれの日程でサーキットを貸し切り行っていたが、ここ数年はBRIDGESTONEとYOKOHAMAの2社は共同でテストを行うことが多くなっている。一方2013年以来4年連続でシリーズチャンピオンの座に立ち続けているDUNLOPは独自日程でのタイヤテストを行っている。

YOKOHAMAタイヤの開発担当者が変更に

昨シーズンは内藤充氏がYOKOHAMAタイヤの開発を担当していたが、今シーズンからは三好雅章氏が後任を担うことになったことが判明した。昨シーズンのYOKOHAMA陣営は、夏場は熱さに苦しめられながらもひとたびレインコンディションとなるとまさに水を得た魚のような活躍を見せ、それどころか最終戦では小高一斗が悲願のドライコンディションでの表彰台獲得を果たすなど圧倒的な成長を見せた。カテゴリーがKFからOKへと変更になる2017シーズンでの担当者変更は多少なりとも開発に影響を与えることがあるかもしれない。自身もマイカーでのタイムアタックを楽しんでいるという三好氏が今後どのようにYOKOHAMAタイヤを進化させていくのか、大いに期待したい。

1日目

津田浩次がトップタイムを記録

筆者がOKマシンを見るのは今回で2回目(初回はINTREPID JAPAN CORSEのプライベートテスト)となったが、スペシャルタイヤを装着したそれを見るのは初めてのことだった。最低重量145kgはYAMAHA-SSと変わらない重量であり、DUNLOPユーザー以外は一通りそろった今回の現場を見てもほとんどのマシンは重りがついていないか、ついていても2~3kg程度であり、また走っている姿もとんでもなく速いKTが走っているかのような動きを見せており、改めてOKの軽さや速さを実感させられた。ところで、やはり最低重量が大幅に軽減された結果として一部ドライバーでは体重の問題に悩まされているようで、体重はおおよそ55~60kg以内でないと重量オーバーしてしまう状況にあるという。ベテランのドライバーにはかなり酷な条件だ。

今回のBS・YH合同タイヤテストは2日間の日程で行われたが、初日の午前中にTONYKART RACING TEAM JAPANのアドバイザーを務める津田浩次がトップタイムを記録した。開発以外のドライバーはまだエンジンの慣らしや市販タイヤでの走行ではあったが、この時点で津田のタイムは非公式ながら鈴鹿サーキット国際南コースのKFコースレコードを更新していた。さすがベテランドライバー、まだ軽量であった時代のレーシングカートをよく知る津田なだけあって、145kg、フロントブレーキ無しとなったOKはかつての最高峰クラスを思い起こさせるのか、現役ドライバーと比較しても非常にスムーズで無駄のない走りを披露していた。

レインコンディションでの動向

路面もだんだんと出来てきてこれからさらに良いテストができるだろう、そう思われたタイミングで残念ながら雨が降り出してきた。しかもこの雨は路面をうっすらと濡らす程度のぽつりぽつりとした降り方をしており、レインタイヤのテストを行うには少し物足りない状況であった。そのためか皆なかなか走りだそうとしない。そこにエンジン音を響かせコースインしたのはINTREPID JAPAN CORSEの佐藤巧望。ウィンターテスト仕様の黒いカウルをまとったINTREPIDが走り出すと、雨に強みを持つYOKOHAMAの2台や、ルーキードライバーを含む多くのドライバーたちが走り出した。おそらく国内のOKでは初めてのレインコンディションでの走行となっただろう。両タイヤメーカーは各チームにレインタイヤを供給し、ドライバーに貴重なレインコンディションでのスペシャルタイヤの練習機会を提供していた。

走行時間ももう終わりに近づき、誰もが帰り支度をし始めたころに急激に雨脚が強まった。ここで待ってましたと言わんばかりに飛び出したのが三村壮太郎。残された時間はわずかではあったが複数セットを一気にここでテストしていく。明らかにトラクションのかかりがよく、コーナーをすさまじいスピードでかけていくCrocPromotionのマシンを見て今年のYOKOHAMAもレインコンディションでは圧倒的な強さを見せつけることを予感させた。

2日目

BSとYHのタイムが肉薄!

終日ドライコンディションとなった2日目には、昨日の雨の影響か、はたまたテストタイヤが昨日とは異なるのか、午前中には全体的にあまり速いタイムが出ていなかった。ところが午後になりだんだんと路面温度も上昇してきたタイミングで全体的に一気にタイムが出始めてきた。ここでトップタイムを出してきたのは、なんとルーキードライバーの小川颯太。昨シーズンは全日本FS-125東地域に出場していたTOYOTA YAMAHA RACING TEAMのニュードライバーだ。昨シーズン太田格之進が使用していたシャーシを駆り初日から安定して速いタイムを刻んでいた小川だったが、昨日の津田のタイムを上回るタイムを記録し早くも実力を見せつけてきた。

小川のタイムに肉薄する記録を残したが三村壮太郎。思い返せば昨シーズンのYOKOHAMAは一発のタイムが出なくなった点も課題であったが、BRIDGESTONEに劣らないタイムをテスト中に残すことができたのは大きな前進だろう。ただしそのタイヤがレースラップをこなすことができるのかは疑問だ。YOKOHAMAでは2名のドライバーがそれぞれ異なるテストメニューをこなしているそうだが、当日の小高一斗のタイムはあまり芳しいとは言えなかった。小高は今回エンジンが間に合わず、昨シーズン搭載していたKFエンジンで走行していたのも影響している可能性が考えられるが、レースでどうなるのかは蓋を開けてみるまで分からない。

両社とも「良いテストができた」

さすがにタイヤテストということもあり、どのようなタイヤを開発してきたかなどを詳しく伺うことは叶わなかったが、BRIDGESTONE、YOKOHAMA、そして各チームの現時点での動向を探ることができた。全日本カート選手権OK部門の開幕は4月22日~23日、スポーツランドSUGOにて開催されるが、すでにシーズンは始まっているのだ。DUNLOPもすでに複数回のタイヤテストを行ったとの情報もある。OKへとカテゴリーが変化した今年の全日本カート選手権がどのようなシーズンとなるのか、見逃すことはできない。

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