2017全日本カート鈴鹿 タイヤメーカーインタビュー

ついに2017全日本カート選手権は最終戦を迎えた。OKへと進化を遂げた最高峰カテゴリーはKF以上のスピードを発揮し、それに合わせるようにタイヤ開発戦争も激化、前回のもてぎ大会ではついにタイヤ3メーカーが同時に表彰台に上るほど各社の実力が拮抗している。今回の鈴鹿ではここ数年DUNLOPが強さを発揮しているが、もはやそんなことは何の参考にもならないかもしれない。最終戦に対して各メーカーはどのような思いをもって開発を行ってきたのか。各社にインタビューを行った。

YOKOHAMA「オールヨコハマで必ず勝つ」

Paddock Gate 藤松楽久:前回のもてぎ大会では三村壮太郎が2戦連続表彰台を獲得する活躍をしましたが、今ここで振り返ってみるとどのようなレースだったと思いますか?

YOKOHAMA 三好雅章:YOKOHAMAタイヤとしてドライでは初めて2戦連続で表彰台に乗ることができたので、その点はとてもよかったと考えています。ただそこで他社に比べて優位性があったのか?というと、そうではなかったです。きっちりと戦える舞台に立ったからこその課題も見えてきたため、とても収穫の多いレースでした。特に第8戦では、これまで我々の課題であったレース終盤の強さを見せることができ、2位という結果を残すことができました。ただ優勝したドライバーに比べれば余裕がなかったです。ドライバーやチームが全力で頑張っているため、メーカーとしてさらにいいものを作らねばと強く考えさせられました。タイヤとしては、各社が用意してきたタイヤはDLは耐久性があり、BSがソフト寄り、そして我々YHがその中間というイメージを持っていたのですが、実際のレースではそこまでの差がありませんでした。ただ、差がなかったことで3社が表彰台を争う状況に絡むことができたので、やっとスタートラインに立てたんだな、というように思いました。

藤松:今回の鈴鹿サーキットに対してはどのような印象がありますか?

三好:我々としては、少し迷うコースです。なかなか思った方向通りには結果が出てこないため、難しいです。他と比べて路面のμも低く、それが悪さしてかタイヤとしてつかみどころがないです。逆に言えばこのような場所でいかに速いタイヤを作れるかが、メーカーとして試される場だと考えています。レースはもしドライになるとすれば、台風が来ていることもあり温度は高くならないでしょう。木曜日や金曜日は気温が高かったので、今日までの結果に方向性を左右されないようにして、土日に合わせてたものが必要になります。

藤松:タイヤの方向性としてはどのようになっていますか?

三好:温度レンジに幅を持たせる方向で作ってきました。もてぎでのレース後に、その反省を生かし様々な改善をしていったのですが、その中でも特に我々としてはタイヤを製造する工場が本当に無理を聞かせて頑張ってくれました。彼らの頑張りと期待をしっかりと結果に反映させねばと思っています。確実にもてぎよりもよくなっていることはすでに見えていますし、前回よりもさらに上を目指してドライでもいい結果を残したいです。

藤松:ただ残念ながら、レース当日は雨という予報が出ています。

三好:そうですね。昔ほどYOKOHAMAタイヤのレインタイヤは優位性がないことが昨年のSUGOで分かっていますが、テストでも雨の開発を進めており、結果につなげられるようにチームと協力しています。まだ我々は今シーズン中に一度も勝っていませんが、開発メンバー、チーム、そして現場にはいませんが工場のメンバーを合わせたオールヨコハマの力で、ドライでもウエットでも必ず勝ちます。

BRIDGESTONE「模索していた解決策が見つかった」

Paddock Gate 藤松楽久:前回のもてぎ大会では野中誠太が活躍し、またBSユーザーも全体的に上位にいましたが、どのようなレースだったと思いますか?

BRIDGESTONE 本田真悟:とても惜しいレースでした。正直勝ちたかったですが、そこには少し足りませんでした。シーズンを通してみると、我々のタイヤはこれまで一発のタイムでは少し劣っていたと感じていましたが、もてぎではTTで前に並ぶことができたので、グリップの高さを証明できたことはとてもポジティブに捉えています。一方で気温が冷え込んだ時のタイムの落ち幅が大きかったことが反省点です。第2レースではいい勝負ができましたが、第1レースは印象が悪くレース後半にタイヤがタレてしまいました。レース後半の強さがもう少し足りなかったです。

藤松:後半の強さを作り出すにはどのような事柄が重要になってくるのですか?

本田:タイヤが摩耗していくとタイヤの温度が下がっていくのですが、ここをいかにクリアするかが重要になります。もてぎではこのタイヤの温度を維持しづらい状況になったときに、順位を保つのに精いっぱいになってしまいました。第2レースのラストラップでもう一歩前に出ることができなかったのもここに問題があったからだと考えています。ただ先ほども言いましたが、パンチ力を出すことがシーズン中での課題の一つだったので、それが改善できたことは次に繋がるポイントとなりました。

藤松:鈴鹿サーキットでのレースはここ数年パッとしない結果に終わっていますが、鈴鹿サーキットに対してはどのような印象がありますか?

本田:その通りここ何年か結果を残せていないため、レベルアップが必要だという意識をもって開発を進めています。このコースは路面が少しほかのサーキットと違う印象があり、これまでうまくグリップと耐久力の両立ができていませんでした。またタイヤに対する入力があまり厳しくなく、あまり摩耗も激しいという印象もないのですが、その割にタイヤがタレることがあります。そうなる理由はわかっていて、その解決策をずっと模索していたのですが、ついにその答えが見つかったので、その思想を盛り込んだタイヤを今週用意してきました。

藤松:週末は台風が来ているため、木曜日や金曜日のような暖かいコンディションとは異なり、強い雨などが予測されますが、その点はどうでしょう?

本田:仮にドライだったとしても、台風が来ているため暖かくはならないでしょう。昨日や今日の暖かさというよりは、朝一の冷えたコンディションのような状況をカバーできるように考えています。またもちろん雨も降ると思いますが、予想される今回のコンディションに適したものを用意できているため、とても期待できます。

藤松:雨のレースは去年のSUGO以来となりそうですね。

本田:その去年のSUGOでは勝つことができましたが、もちろん課題もありました。ただその課題はすでに今年解決できていて、さらにレベルアップしていることも確認しています。またテストで鈴鹿の雨も経験しているため、レインでも勝つ準備ができています。

DUNLOP「新コンセプトをものにするために」

Paddock Gate 藤松楽久:前回のもてぎでのレース後には、優勝はしたものの勝者の気分ではないというコメントをいただきましたが、今一度振り返ってみるともてぎのレースはどのような印象がありますか?

DUNLOP 大小瀬求:あのレースに対してどのように捉えているかについては、レース後にお話ししたことと今でも変わりません。じゃあどうすればよかったのか?という解決策については、今はある程度クリアに見えてきました。ですから次にもてぎでレースがあったときのことを考えても絶望感などは全くありません。目指すべき方向性は見えています。タイヤを開発している側としては、もし2年連続で同じ負け方をしたら、ユーザーは来年もまた負けてしまうと考えてしまうでしょう。ただ今年は負けませんでしたし、来年はさらに良くなるという希望をユーザーに持ってもらえることができたのではないかと思っています。

藤松:今回の鈴鹿に対して、木曜日・金曜日と走行を重ねてきてどのような手ごたえを感じていますか?

大小瀬:このレースウィークを見ていくと、ドライが続いているのにも関わらずなかなか路面のグリップが上がっていかないので、なんだか変だな?とは思っています。ただ、我々としては鈴鹿の傾向と対策はそれなりにつかめているつもりです。そうは言っても実際のレースウィークのコンディションと照らし合わせて何がベストなのかを探っていかなければならないので、場合によっては見誤るかもしれません。ただ今のところは、用意してきたタイヤはこうなるだろうという仮説の通りに実際になっているので、問題はないと思います。

藤松:今回のレースに対してはどのようなタイヤを用意してきたのでしょうか?

大小瀬:このレースだけというよりも、来年に向けてを考えてきました。我々は今年コンセプトを大幅に変更しましたが、これはまだ使いこなせてはいません。この新コンセプトをものにするためのデータや経験が欲しいというスタンスで開発しています。今のところそのコンセプトの変更はチグハグな結果になっていますが、これを一歩でも半歩でも前進させます。ただ間違いなく瑞浪やもてぎよりも一歩進んだところに行けているので、ここに今週のデータを組み合わせればさらに前進できるはずですし、実際にそのような好感触があります。

藤松:台風が来ているので雨予報となっていますが、雨に対する自信はいかがですか?

大小瀬:雨のレースは去年のSUGO以来となりますが、そこでは大敗してしまいました。そこからレースはしていませんが、もちろん開発は行っています。確実に前には進んでいますが、昨年の結果があるため自信があるとは言い難いです。現状での雨の実力が分かれば、と思います。

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