2016年8月9日発表のJAFモータースポーツニュースNo.286にて、2017年の日本カート選手権規定が発表された。
1.最高峰カテゴリーはKFからOKへ
2016年からヨーロッパでは、レーシングカートのミッションなしクラスの最高峰はOKへと移行したが、国内カテゴリーはそれまでのKFを引き続き採用していた。しかし、2017年からはOKクラスへと移行することがついに発表された。KFとOKの大まかな特徴を比較したのが下の表である。
カテゴリー | KF | OK |
---|---|---|
最低重量 | 158kg | 145kg |
フロントブレーキ | 有り | 無し |
排気量 | 125cc | 125cc |
冷却方法 | 水冷 | 水冷 |
クラッチ | 有り | 無し |
スターター | 有り | 無し |
バッテリー | 有り | 無し |
デコンプ | 無し | 有り |
最高回転数 | 15,000rpm | 16,000rpm |
エンジン改造 | 自由 | 自由 |
最低重量が13kg軽くなり、それに伴い現代レーシングカートの特徴ともいえるクラッチ・電動スターターが廃止される。すなわちYAMAHA KT100SDに代表されるようなダイレクトドライブのエンジンとなる。その代り、シリンダーヘッド上部にデコンプレッションバルブの装着が義務づけられ、さらに最高回転数が1000rpm上昇する。さらにはフロントブレーキが禁止された。補機類の削減による軽量化や、1000rpm追加された回転数によりKFよりもさらにアグレッシブかつプリミティブなレースになるだろう。
2.スペシャルタイヤは今期で見納めか?
2017年日本カート選手権規則によると、OK競技車両は次のように定められている。
OK部門: JAF国内カート競技車両規則第46条に定めるOK車両とする。
2016年JAF国内カート競技車両規則の当該箇所を確認すると、タイヤの項目に”CIK-FIA公認5インチプライムタイプ”と表記されており、これはKF車両規則の”タイヤ:5インチタイヤ”の表記と大きく異なっている。それはすなわち、OKカテゴリーでのスペシャルタイヤの使用は認められないということを意味する。現在の規則が来年も継続して採用されたならば、BRIDGESTONE、DUNLOP、YOKOHAMAのタイヤメーカー3社がタイヤ開発戦争を繰り広げるのは今年が最後になるのかもしれない。
ただし2017年JAF国内カート競技車両規則は現時点で公表されていない。Paddock Gateは早速JAFにこの件について問い合わせを行ったところ、現在2017年の競技車両規則を検討している最中であり、スペシャルタイヤが禁止される可能性が全くないとは言い切れないが、今の時点では市販タイヤに変更するという話は出てきていない、との回答をいただいた。2017年競技車両規則の発表が待たれる。
3.その他カテゴリーは現在のまま継続
全日本カート選手権はOKとFS-125、地方カート選手権はFS-125とFP-3、そしてジュニア選手権はFP-JuniorとFP-Junior Cadetsの構成となり、KFがOKへと移行した点を除くと2016年規定とほとんど変更点はない。またOK以外は東西地域に分かれての開催となる点も変更がない。
4.世界選手権の開催は未発表
最高峰カテゴリーがヨーロッパと足並みをそろえることとなったので、今年は国内での開催がなかったCIK-FIAの世界選手権が来年は行われる可能性がある。本日発表されたJAFモータースポーツニュースNo.286には2017年FIA国際スポーツカレンダー登録申請一覧も掲載されていたが、そこには今のところカートレースイベントが登録されてはいないかった。来年の全日本カート選手権カレンダーの発表もまだ当分先のことであるため、期待は持てるだろう。