第8戦26周の決勝ヒートは15時55分からスタート。山田杯利が負傷によりリタイアとなった。夕日が眩しく気温も高いが、昼間に比べれば少し落ち着いている。久々のポールスタートとなる渡会太一が非常にゆっくりとしたローリングを行い他車に牽制をかけながらホームストレートに入ると、レッドシグナルが消灯、決勝ヒートがスタートした。
ホールショットは渡会太一、そこに金子修、佐野雄城、堂園鷲、半田昌宗、清水啓伸、加藤大翔、洞地遼大、野澤勇翔と続いている。大きな混乱はなくオープニングラップを終えると、2周目の2~3コーナーで金子修のインに佐野雄城と堂園鷲が飛び込み金子修は4番手にドロップした。3周目、トップ渡会太一は早くも後方を引き離しつつある。佐野雄城に対して9コーナーで堂園鷲がインを刺して2番手に立ち、さらに最終コーナーで半田昌宗が金子修をパスして4番手となる。
トップ渡会太一以外は極めてタイムが拮抗しており、各車の間隔は狭い。5周目のシケインで佐野雄城が堂園鷲のインを刺し、さらに半田昌宗を9コーナーで金子修がパスして順位を取り戻す。しかし6周目のヘリポートで堂園鷲がヘリポートで佐野雄城を刺すと、すかさず9コーナーで佐野雄城が堂園鷲のインに入り込む。しかしクロスラインをとった堂園鷲が2番手を死守した。さらにヘリポートでは半田昌宗が金子修を再び抜き返し、最終コーナーでは清水啓伸が加藤大翔をパスして6番手に上がった。7周目には再び1コーナーで佐野雄城が堂園鷲を、2コーナーで金子修が半田昌宗をパス。これで一時2番手集団のバトルは落ち着きを見せた。
しかし9周目、ここまで後方にマージンを築いていたトップの渡会太一のペースがガクンと落ち、佐野雄城が一気に追いついた。10周目の1コーナーで佐野雄城が渡会太一のインを刺してトップに立つと、すかさず2コーナーで堂園鷲が渡会太一をパス。佐野雄城はこれを好機とみたか後方を引き離しにかかっている。11周目のシケインで金子修が、12周目の2コーナーで半田昌宗、ヘリポートで清水啓伸が渡会太一をパスし、渡会太一は6番手にドロップ。その直後には加藤大翔が付けているが、加藤大翔はパッシングできるほどのペースがなさそうだ。
13周目、トップから佐野雄城、堂園鷲、金子修が逃げつつある状況だが、金子修は堂園鷲より少しペースに勝るか、じわじわと追いついている。4番手争いは半田昌宗、清水啓伸、渡会太一、加藤大翔となり、その後ろには単独で渡部智仁、野澤勇翔、上野晴紀、更に後ろには洞地遼大、小田優、浅見謙心と並んでいる。15周目にミスしたか堂園鷲のタイムが落ち、それにより金子修、半田昌宗、清水啓伸が一気にそこに接近した。同時に佐野雄城が完全に単独となった。
17周目、1コーナーで金子修が堂園鷲をパスすると、2番手争いが金子修、堂園鷲、半田昌宗、清水啓伸となった。6番手渡会太一、7番手加藤大翔、8番手渡部智仁はそれぞれ単独となっている。一触即発の様相を呈する2番手争いは19周目のヘリポートで堂園鷲が金子修を抜いたことで動き始めた。最終コーナーで金子修が堂園鷲からポジションを取り返すと、20周目のシケインで半dな政宗が堂園鷲をパス。5番手につける清水啓伸はそのバトルを静観している。またペースダウンした加藤大翔に追いついた渡部智仁がこの周回で7番手に浮上した。
22周目のシケインで半田昌宗が金子修をパスすると、堂園鷲もヘリポートで金子修のインに飛び込んだ。しかし金子修も9コーナーで堂園鷲をパスし後方を牽制している。23周目のヘリポートでブロックする金子修だが、堂園鷲は9コーナーでインにマシンを差し込んだ。このバトルで2番手の半田昌宗は後方にマージンが生まれた。24周目の1コーナーで堂園鷲のインに入る金子修だが、堂園鷲がアウトで粘りポジションキープ。金子修は25周目の1コーナーで再び堂園鷲のインに飛び込むと今度は成功し3番手に浮上。堂園鷲はヘリポートで差し返そうとするが一歩届かなかった。そしてファイナルラップ。トップ佐野雄城は完全に単独、2番手の半田昌宗も抜け出している。3番手争いの金子修はブロックラインを通るが、ヘリポートでインにねじ込んだ堂園鷲が順位アップを果たす。これ以上のポジションダウンは避けたい金子修は9コーナーで清水啓伸を牽制するが、これにより立ち上がりがわずかに遅れた。最終コーナーで清水啓伸が金子修のインに飛び込む中、金子修はクロスラインをとりホームストレートに突入した。
そして26周のレースが終了した。独走状態を築いた佐野雄城がAPGでの無念を晴らす初優勝を獲得。2位には初表彰台の半田昌宗、そして3位に堂園鷲となった。金子修が鼻の差で4位となり、5位は清水啓伸、以下渡会太一、小田優、野澤勇翔、渡部智仁、加藤大翔がトップ10となった。
1位 佐野雄城
初優勝をすることができて嬉しいです。レース前半では渡会太一との距離を見ていると自分のほうがペースが良いことがわかっていたので、堂園鷲を前に行かせないように、渡会太一を抜いたタイミングで自分がトップに立てるようにレースできればと考えていました。実際にその通りになって良かったです。第7戦の結果から、予選で十分なタイヤを残していれば決勝中に飛ばしてもタレないとわかっていたので、トップに立ってからはペースアップしました。
APGでのトップチェッカーからのペナルティはこれまで経験したことがないほどに悔しかったです。茂原はもともと自信がないサーキットなので、ここで優勝できたことでより自信が付きました。最終戦の鈴鹿に向けて頑張っていきます。
2位 半田昌宗
この週末ロングはあまりテストしていませんでしたが、今まで練習でもロングは速かったので自信がありました。レース前半戦の集団でのバトルでは抜けるときに着実にパッシングを決めることを意識して走りましたが、後半のペースに自信があった分だけ前半でも冷静に無理せず戦うことができました。第7戦はセカンドスタートながらローリングで止まってしまったので、絶対にローリングで止まらないように、応援してくれる人たちのために必ずスタートを切ることを意識していました。
初表彰台となりましたが、もっと早く乗るべきでしたし、乗れるタイミングも合った分だけ悔しさが強いです。次は最終戦となりますが、もっと余裕の持てるレースができるように組み立てていきたいです。
3位 堂園鷲
前半はみんなペースが同じでバトルが続いてタイヤを多く使ってしまいました。これが原因で最後の混戦での余力を残し切ることができませんでした。この週末はTTのように一発のタイムを出すことはできましたが、その後からのスピード不足に悩まされ、タイヤの減りがきつかったです。ここを解決できなかったのが課題として残りました。最終戦の鈴鹿に向けてシリーズチャンピオンの可能性は低くなりましたが、その分失うものが無くなったので、全力を尽くして戦います。