2024年7月14日に鈴鹿サーキット南コースで行われた全日本カート選手権/GPR OK部門 第5戦は、決勝ヒート開始直前に突如として大雨が降ったことにより、全員が大慌てでレインセットへの変更を余儀なくされた。誰しもが万全なレイン用セッティングを施すことができなかった状況で、20番手スタートからなんと2位まで上り詰めたドライバーがいた。それがTEAM EMATYの酒井涼だった。
筆者がコース内から観察していた限り、スタートから数周はさほど速そうではなかった酒井涼だったが、ある時点から一気にペースアップ。次々とライバルたちをパッシングし、わずか18周の決勝ヒートで2番手まで上り詰めた。これはもちろんドライバーの技量やマシンのセッティングによる影響もあっただろう。しかし、他と明らかに異なっていたのは、酒井涼だけが通っていたウエットラインだった。