今年のGPR OK部門では第2レースで前後1本づつだけタイヤを新品に交換できるというレギュレーションが導入されている。これにより第1レースを早々にリタイアしてタイヤの優位性をもたせることが難しくなっただけでなく、各ドライバーは様々な作戦を取ることができるようになった。

投入して良いタイヤは前後1本ずつだけなので、新品タイヤ装着位置の選択肢は以下の5通りが存在する。
- 右前 右後
- 左前 左後
- 右前 左後
- 左前 右後
- 無交換(新品タイヤを使わない)
仮にオーバルサーキットであればアウト側のタイヤの負荷が大きいので、アウト側2本の交換が望ましいだろう。しかしカートコースには左右のコーナーが存在する。故にこのルールが最初に導入された開幕戦の鈴鹿サーキット大会では、ほぼすべての装着パターンがグリッド上に並んでいた。
しかし選択肢の中で唯一、それも第2大会のモビリティリゾートもてぎでも現れなかった選択肢を取ったドライバーが、第3大会のオートパラダイス御殿場(APG)で出現した。さらに1名は、先に上げた選択肢の中には無い選択を行っていた。
トップがタイヤ無交換作戦を行ったAPG
これまで現れなかった選択肢。それはタイヤ無交換作戦である。一般的には新品タイヤのほうが当然タイムもレースペースも良いはずだが、あえてこの作戦を取った選手はなんと6人もいた。そのメンバーは以下の通り。
- 酒井仁(1位)
- 中井悠斗(3位)
- 松井海翔(9位)
- 手塚大雅(14位)
- 金子准也(16位、13周リタイア)
- 中野駿太(3周DNF)

カッコ内は第1レースの結果を表している。第1レースで早々にリタイアしてしまった中野駿太はタイヤが残っているのでこの選択肢が取れるのは理解できるが、22周をフルで走りきった4名ものドライバーがタイヤ無交換作戦を行った理由は気になる。
当然のことながら右回りのAPGは基本的に左側のタイヤが厳しいので、殆どのメンバーは左2本を新品に交換していた。そんな中で唯一右2本を交換したのが三村壮太郎(7位)だ。そして全く新しい選択を行ったのが佐藤佑月樹(8位)。彼は左リアタイヤの1本だけを新品に交換し、残り3本は中古タイヤでレースに臨んでいた。