
FIA(国際自動車連盟)は、レーシングカートが衝突後に宙に浮く可能性を減らすための新しい安全装置を開発したことを発表しました。
FIA安全部門はFIA会長、CIK委員会、世界モータースポーツ評議会の要請を受け、カートの宙返りや横転に繋がる可能性のあるカートのホイール同士の直接接触を防ぐ後輪保護システムを開発しました。後輪に保護剤を配置することで接触リスクを防ぐ初期テストは、実験室とサーキットの両方の条件で行われ、有望な結果を得たと言います。
この装置は今週末にイタリアのクレモアで開催されるFIAカーティングワールドカップのアカデミートロフィージュニアカテゴリーにて初導入され、さらなるテストが行われます。今週末のテストの結果と評価を待って、FIAは来シーズンからこの安全装置を他のカートカテゴリーにも展開する予定としています。
FIAはテスト及び実装段階を通じて、ドライバー、チーム、メーカーと緊密に連携し、システムが安全性と性能の両方において最高水準を満たすように務めています。
FIA財団の支援を受けているこの乗り上げ防止装置は、FIAがカート向けに最近開発した複数の安全技術の中で最新のものです。近年のカートには身体の保護具やカウル、そしてヘルメットに基準が導入されており、今年の始めには衝突を記録する装置が導入され、将来の安全基準策定に役立つ貴重なデータを提供しています。FIA安全部門は、あらゆるモータースポーツの安全基準向上の為、世界をリードする安全装置とガイドラインの研究開発とテストを継続しています。




FIAカート委員会会長Akbar Ebrahim氏のコメント
「カートにおいて安全性は最も重要です。安全基準を向上させ、カートの浮上リスクを軽減させるこの革新的な装置は、初期テストにおいて良好な結果を示しました。このシステムは、カートのあらゆるレベルの安全性向上に向けた継続的な取り組みにおいて、大きな前進となる可能性があります。この新装置の開発とテストにご協力いただいたメーカー、ドライバー、エンジニアの皆様に感謝申し上げます。」
FIA安全ディレクターNuno Costa氏のコメント
「FIAでは草の根レベルからF1までモータースポーツのカテゴリー全体にわたって安全技術の革新を常に研究しています。中でもカートの浮き上がりリスクを低減する保護技術は、カート分野において有望な開発分野です。初期テストでは、この装置が非常に効果的であることが示されており、今週クレモアで実施される追加テストの結果を綿密に検討したうえで、最終的な規則およびガバナンスの承認を求めていきます。」
現地からの情報

アカデミートロフィーに参戦しているTeam Regolithからの情報によれば、発表された装置に加え、サイドカウルをリアタイヤが完全に隠れるまでに広げたサイドバンパーも導入されているとのこと。カートのさらなる大型化が行われている模様です。