レインコンディションでのセッティングは難解だ。基本的にはフロントトレッドを広げ、反対にリアトレッドは狭める。必要であれば車高の変更やシートに座布団をひくことで重心を上げリアハブをロングに変更し、さらなるトラクションを求めリアスタビライザーを装備させる人もいるだろう。さすがにドライセッティングの状態で走るのは厳しいものがあるが、ここまでやってもそもそも路面が濡れていることでグリップが低下し、セッティングよりもドライバーの腕によるタイム差のほうが出やすいのがレインコンディションである。
振り返ってみれば2016オートバックス全日本カート選手権KF部門は例年になく雨に降られたシーズンであった。雨が降るたびにYOKOHAMA勢が素晴らしい活躍をしたことは記憶に新しい。ところで、筆者がSuperKFに参戦していたのは今から6年前となる2010年シーズンのことであったが、当時使用していたBRIDGESTONE製のスペシャルタイヤは、ドライコンディションは言うまでもないが、レインコンディションであっても雨量がそれほど多くなければあたかもドライコンディションかのように走れるほどグリップが高く驚いたことを鮮明に記憶している。それから6年たった2016シーズンを見てみると、各社のレインタイヤはさらに進化を見せており、外から走りを見ているだけでも当時以上のグリップがあることがわかるほどであった。