今年のOK部門の中で最も長いインターバルは間もなく終わりを迎え、シーズンは折り返し地点に到達する。夏真っ盛りの8月19~20日、岐阜県瑞浪市のフェスティカサーキット瑞浪にて全日本カート選手権OK部門第5・6戦が開催される。
国内屈指の高速バトル!
岐阜県瑞浪市にあるフェスティカサーキット瑞浪は、全長1177m、コース幅員9~11m、最大直線長145mの国内最大規模のカート専用サーキットであり、カートコースとしては緩いコーナーが多いため超ハイスピードコースとして知られる。スリップストリームがよく効くため単独走行ではタイムが劣る場合でもレースでは上位についていくことが比較的容易であり、集団でのバトルが発生しやすい。同様の理由に取りトップが逃げ切ることはかなり難しく、加えてパッシングポイントも多いことからバトルが多発する。さらにはアクセルの全開率も高く、特にエンジンチューニングが可能なOK部門では焼き付き等のエンジントラブルが発生しやすいサーキットでもある。順位変動も多く、チェッカーを切るその瞬間までどうなるかわからない、そんなエキサイティングなレース展開がここでは見られる。
ほかのサーキット以上に安全に対する意識が高いのもフェスティカサーキット瑞浪の特徴だろう。ハイスピードサーキットであるがゆえに過去には重大な事故が起きたコースでもあるが、反則行為やそれによるペナルティが図解も合わせ明記されているペナルティカタログを用意し、そして各地点に配置されたカメラによりレース後においても正確な検証が可能となっており、さらにはここ数年でサーキットの部分的な拡張・改修を行ったことで高い安全性を確保している。また、1~2コーナーアウト側に設けられた観客席には多くのレースファンを迎え入れ、受付の横は空調の効いた休憩スペースとして開放されているなどユーザビリティも高い。昨年10月末にはサーキットへのアクセス道路が全面アスファルト舗装となったことでより一層来場しやすくなり、今やフェスティカサーキット瑞浪は安全性、快適性、エキサイティングなレース展開という3要素が高次元で備わるサーキットとなっている。
シリーズランキングの命運はここで決まる!
さて注目のOK部門だが、Paddock Gateが独自ルートで入手した情報によると、事前に行われたタイヤテストではDUNLOPが41秒台に突入し、YOKOHAMAとBRIDGESTONEがそれぞれ42秒台前半だという。ご存知の通りDUNLOPは独自の日程でテストを行っているためテスト時の路面状況に差があると考えられるが、昨年のTTトップタイム(42.999秒)をすでに1秒以上更新しているらしい。レース当日は8月中旬ということもありここから多少のラップタイム低下もあり得るが、それでも我々がいまだ経験したことのないスピードを見せてくれることは間違いない。
さて、ここでの注目選手を見ていこう。まず期待したいのは、ここまで4戦中3戦で優勝を納め2位と51点差という驚異の独走状態でランキングトップに立つ佐藤蓮(No.85 / DragoCorse)だ。持ち前の凄まじい速さでOK部門の強敵たちを跳ね飛ばすルーキードライバーが、西地域というアウェーでも速さを見せつけることは間違いないだろう。そしてその対抗馬となるのは朝日ターボ(No.2 / MASUDA RACING PROJECT)なのは間違いない。なんと言ってもこのフェスティカサーキット瑞浪は彼のホームコースであり、昨年の瑞浪大会では目まぐるしく変化していく路面コンディションをものともせずに圧倒的な速さで2戦連続での優勝を果たしたことは記憶に新しい。前回の本庄ではマシントラブルから下位に沈んだが、ここで名誉挽回となるか。
前回の本庄での第4戦で佐藤蓮を抑え劇的な勝利を決めたのは名取鉄平(No.3 / Team BirelART)だったが、その裏で2戦連続3位表彰台を獲得したドライバーがいる。三宅淳詞(No.8 / TOYOTA YAMAHA RACING TEAM)だ。三重県出身の三宅は幼少期からフェスティカサーキット瑞浪でのレースを経験しており、昨年の瑞浪大会ではタイムトライアル2位を獲得する速さを発揮した。本庄で掴んだ勢いのまま瑞浪のレースを戦えば、かなりの強さを魅せるだろう。そしてその三宅を抑え昨年の瑞浪大会タイムトライアル1位を獲得したのが佐藤巧望(No.25 / INTREPID JAPAN CORSE)。昨年唯一の42秒台をたたき出した佐藤は、今シーズンは開幕戦で5位を獲得するもその後は中盤でゴールしているが、瑞浪との相性の良さと2年目となるトップカテゴリーでの経験を生かし上位進出が期待されるドライバーである。
また先ほども述べたように、事前テストではYOKOHAMAがBRIDGESTONEと遜色ないタイムを記録しているという情報が入っている。それどころかテスト2日目はYOKOHAMAがトップタイムだったという噂も。そのトップタイムを記録したのはYOKOHAMAのエースドライバー三村壮太郎(No.13 / Croc Promotion)という話だが、藤原道長(No.19 / ADVAN HIROTEX)も負けず劣らずのタイムをたたき出したらしい。今シーズンOKクラスへの電撃参戦を果たした藤原、当初こそOKエンジンのハイパワーさやスペシャルタイヤの高いグリップに苦しんでいたが、これまでのレースを振り返ってみるとTTのない第2レースは2戦ともに10位以内にフィニッシュしており、第4戦は三村よりも前でゴールしている。本庄では人一倍縁石を多用するアグレッシブな走りを見せた熱いドライバーである藤原も、注目すべき選手の一人だ。
シーズンはここが折り返し地点。後半戦の展開、そしてシリーズチャンピオンの命運はここで決定されるといっても過言ではない。8月19~20日はフェスティカサーキット瑞浪での熱い戦いを見逃すな!
フェスティカサーキット瑞浪へのアクセス
公共交通機関の場合
最寄り駅は中央本線 釜戸駅だが、そこからサーキットまでは3.7kmの道のりである。釜戸駅からタクシーを利用すれば10分弱で到着するので、徒歩よりもタクシーの利用をお勧めしたい。
自家用車の場合
すぐ近くには中央自動車道が通っており、サーキットはちょうど瑞浪ICと恵那ICの中間地点にある。幸いなことにフェスティカサーキット瑞浪では道順を動画で説明してくれているので、初めて行く方はそれを参考にしてみるのもいいだろう。ただサーキットの駐車場には限りがある為、なるべく乗り合いでの来場をお願いしたい。