2017全日本カート選手権の後半戦はせわしないスケジュールが取られている。1か月間隔で開催される後半戦の2戦目、そして最終戦に向けての重要な局面を担う全日本カート選手権OK部門第7・8戦が、9月23日~24日に栃木県芳賀郡茂木町 ツインリンクもてぎ北ショートコースにて開催される。
北関東のテクニカルサーキット
栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎは、鈴鹿サーキットと同じく本田技研工業株式会社が所有するサーキットであり、スーパーGTやmotoGPなどが開催されるロードコースと、アメリカンレースの醍醐味が味わえる1.5mileオーバルのスーパースピードウェイ(ただし東日本大震災以降ほとんどイベントを行っていない)を持つ関東のモータースポーツの中心地である。そして今回全日本カート選手権が開催されるのが、その広大な敷地内にある北ショートコース。全長982m、最大直線長142m、コース幅員8~14mのサイズは国内カートコースとしては一般的な部類だが、特徴はそのコースレイアウトにある。2本の長い直線を緩い曲線でつないだ前半のハイスピードセクション、そしてヘアピンやS字を巧みに組み合わせた後半のテクニカルセクションの構成は絶妙であり、さらに各コーナーにはほとんど傾斜がつけられていないことからライン取りが極めて難しい。パッシングポイントは多く、一度リズムを崩してしまうとタイムに大きく影響してしまう国内でも一二を争うテクニカルサーキット、それがツインリンクもてぎ北ショートコースだ。昨年まで開幕戦を担当していたこのサーキットが、今年はシーズン終盤の戦いを受け持つこととなった。
ポイントランキングは佐藤蓮が大きくリード
さてここで今シーズンを振り返ってみよう。ルーキーながら開幕戦から驚異的な速さを見せつけ、今期6戦中4勝という圧倒的な戦果を残しているのが佐藤蓮(No.85 / DragoCorse)だ。獲得ポイントは181pで、ぶっちぎりのポイントリーダーとなっている。その佐藤に対し唯一土をつけているのが名取鉄平(No.3 / Team birelART)。第4戦本庄、そして第6戦瑞浪で佐藤と激しいバトルを行い競り勝った名取は105pを獲得しランキング5位につけている。ランキング2位は、113pを獲得した小川颯太(No.30 / TOYOTA YAMAHA RT)。開幕戦から速さを見せつけているYAMAHAワークスのルーキー小川が、ついにここまでのし上がってきた。ランキング3位は111pを獲得した環優光(No.23 / EXPRIT RACING TEAM JAPAN)。今シーズンEXPRITのマシンは4台いるが、この中で唯一EXGELカラーで走っているのが環だ。そしてランキング4位が106pで澤田真治(No.20 / EXPRIT RACING TEAM JAPAN)。もはやベテラン勢の一人である澤田、昨年の雪辱をOKとなった今シーズンで晴らすことができるか。以上がランキングトップ5のメンバーである。
もてぎでの注目ドライバー
前述のとおりテクニカルサーキットである北ショートコースは、地元勢が強いサーキットの一つである。そしてOKドライバーの中でもてぎをホームコースとするのが三村壮太郎(No.13 / CrocPromotion)だ。2015年シーズンの開幕戦、雨降るこのサーキットを最速で駆け抜けYOKOHAMAタイヤに初優勝をもたらしたことは記憶に新しい。また同じくYOKOHAMAタイヤを履く大草りき(No.6 / LCT by KOSMIC)はついに前回の瑞浪で持ち前の速さを取り戻した。もてぎはタイヤに厳しいサーキットではあるが、成長著しいYOKOHAMAタイヤのポテンシャルをベテランのテクニックと若いパワーで上乗せすることができるか。
ところで、昨年のもてぎ大会では2戦6つの表彰台の内5つをBRIDGESTONEタイヤが占めた。そのうちのさらに2つ、優勝と3位の成績を残したのが高橋悠之(No.5 / TONYKART RACING TEAM JAPAN)である。チームメイトである佐々木大樹(No.9 / TONYKART RACING TEAM JAPAN)は同日にイギリスで行われるCIK-FIA WORLD CHAMPIONSHIPへ出場するため欠場、高橋はTONYワークスのエースとして、そしてBS開発ドライバーとしての意地を見せつけてくるか。また同じくBSで言えば、名取鉄平(No.3 / Team birelART)と三宅淳詞(No.8 / TOYOTA YAMAHA RT)にも期待がかかる。名取は今季2戦優勝の戦果を残しているだけでなく、2名とも昨年のもてぎ大会で表彰台を獲得している。ランキング2位の小川颯太(No.30 / TOYOTA YAMAHA RT)も含め常に速さを見せつけるBirel系シャーシは今回も表彰台の一角を占める可能性は高い。
ただ、昨年の結果を黙って受け入れるはずがないのがDUNLOPだ。前回の瑞浪で投入された大径リアタイヤは、実は今回のもてぎのために開発されたと噂されている。そしてその性能を間違いなく発揮させて来るのは朝日ターボ(No.2 / MASUDA RACING PROJECT)と澤田真治(No.20 / EXPRIT RACING TEAM JAPAN)の開発ドライバーコンビ。やはり件のタイヤは使いこなすのが難しいという話ではあるが、両名共に瑞浪でも高いスピードを誇っていたこと、そしてここに来るまでにさらにタイヤ・マシン共に開発が進んでいるであろうことを考えると、必ず表彰台圏内に絡んでくるはずだ。そしてやはり佐藤蓮(No.85 / DragoCorse)の名を挙げないわけにはいかない。ここまで圧倒的な戦績を残してきた佐藤は、このもてぎで必ずチャンピオンを決めるつもりで挑んでくる。佐藤がまたしても圧倒的な速さを見せつけ最終戦を目前にしてチャンピオンを決めるのか、はたまた全く別の展開になるのか。レース開催は9月23日~24日、新たな歴史が刻まれるその瞬間を見逃すな!
ツインリンクもてぎへのアクセス
公共交通機関の場合
各方面から本数は少ないものの路線バスが通っており、公共交通機関での来場は可能である。ただし、路線バスの停車場所はツインリンクもてぎ敷地内の中央インフォメーションセンターであり、ここから北ショートコースまでは歩くには若干距離がある。
真岡鐡道線 茂木駅からバスで15分
サーキットへの最寄り駅は真岡鐡道線 茂木駅。そこから1日1本の路線バス、あるいはタクシーを利用すれば来場できる。
JR宇都宮駅から1時間18分
JR宇都宮駅から土日限定、1日1本ではあるがツインリンクもてぎへの路線バスが運行している。
JR水戸駅からバスで1時間30分
JR水戸駅から土日限定、1日1本ではあるがツインリンクもてぎへの路線バスが運行している。
自家用車の場合
北ショートコースに向かう場合は、ツインリンクもてぎ北ゲートから入場するのがオススメ。北ゲートから入ればすぐ左手に北ショートコースが見えてくる。
友部北スマートICから約40分
常磐自動車道 友部北ICから約40分で到着する。
真岡ICから約40分
北関東自動車道 真岡ICから約40分で到着する。