2024年11月28~29日、HRS鈴鹿(ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)Formula Classスカラシップ選考会が2日間に渡って行われ、首席として佐藤凛太郎が、次席で新原光太郎がスカラシップを獲得した。
HRS鈴鹿Formula Classは今年からスクールカーがHRS-F24へと変更になり、今回が車両変更後最初のスカラシップ選考会となった。選考会に進んだのは佐藤凛太郎、新原光太郎、百瀬翔、田中風輝の4名。プリンシパル佐藤琢磨、エグゼクティブディレクター中野信治、ディレクター佐藤浩二、HFDPコーチ小林崇志、インストラクター加藤寛規、野尻智紀、佐藤蓮が参加した。鈴鹿サーキットにて候補生4名と佐藤蓮、HRS卒業生の野村勇斗と洞地遼大の7名による最終選考走行が行われた。
最終選考の末、スカラシップに選ばれたのは佐藤凛太郎と新原光太郎の2名。両名には若手ドライバーの発掘・育成を目的とした「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」の育成ドライバーとして、2025年シーズンのフォーミュラカテゴリーに参戦する権利が与えられる。
首席 佐藤凛太郎
HRS鈴鹿での1年間はとても厳しいものだったので、スカラシップが取れてとても嬉しいです。1年間を通して支えてくれた講師の方々、ファンの皆様、そして家族には感謝しかありません。ホンダを代表するトップドライバーである講師の方々からは、レースではどうやって戦うのか、タイムを出すときはどうやってタイヤを暖めるのかなど、多くのことを学びました。
新型スクールカーのHRS-F24はアンダーステアが強めで、それをどうやって曲げるかを考えさせられました。ダウンフォースが抜けやすく、パッシングが難しい車でしたが、それでも抜かなければいけない。そのときにどうやってライバルの後ろについて、どうやって抜いていくのかを学ぶことができたので、この経験を今後に活かしていきたいです。
次席 新原光太郎
僕は去年はHRS選考会で落選したので、今年1年間は首席になれるように挑戦してきました。なのでスカラシップに選ばれた嬉しさはもちろんありますが、首席を取られてしまった悔しさが今は大きいです。
レースをするうえでドライビングは重要ですが、車に乗るまでに考えなければならないことがたくさんあります。HRSではレースに向かっていくまでの組み立て方についても、多くを学ぶことができました。今後レースを戦っていく中で、過程だけではなく結果を残せるように、HRSで学んだことを活かしていきたいです。
プリンシパル 佐藤琢磨
今年も物凄くレベルが高く、我々としても対象者を絞らなければならないという中でたくさん悩みました。その中でも1年間をずっと生徒たちのそばで見ていた講師たちの意見を尊重して、彼らの期待に応えられる選手にスカラシップという形でホンダの育成ドライバーになってほしいと思い、2名を選考しました。
速さという意味では4人の誰が選ばれてもおかしくありませんでした。ですが、今日も行いました模擬レースをやるなかで、パッシングが非常に難しいのですが、果敢に挑戦していく姿勢を見せる生徒というのが、今後ヨーロッパやF1を目指していく中で必要なスキルだと思います。また車に乗っていないときでも積極的に様々なことを吸収していこうとする姿勢や、色々なことに気づいて自らを成長させようとしていく生徒という部分に重きを置いています。
今年からスクールカーが新型のHRS-F24になり、マシン自体が速くなったことは見てみてワクワクしました。これはHaloが付いてドライバーへの安全性が格段に高まった部分はもちろん、新世代マシンとして現代のフォーミュラマシンに活きるドライビングを磨けるマシンとして作りました。それをしっかりと感じ取っていた生徒たちの順応力は素晴らしかったです。ですが、初年とということで様々な初期トラブルが発生し、中には生徒たちに申し訳ないなと思う部分もありました。運営を含めてより良い環境を作ってきたいです。しかし、新生HRSマシンが1年を通じて生徒たちの走りを支えてくれたことはとても良かったです。
スカラシップを獲得した生徒は今後ホンダの育成選手として戦っていくチャンスを掴みました。しかし、選ばれなかった生徒も含め、ここからがスタートです。どのような形でこの世界を引っ張っていくか、彼らはHRSを通じて肌で感じたと思います。ホンダとしても可能な限り各選手をサポートしていきたいです。