すでに西地域の全日本カート選手権開幕から遅れる事1か月。ついに国内レーシングカートの最高峰カテゴリー、OK部門の2019シーズンが、4月27~28日に開幕する。舞台は三重県 鈴鹿サーキット国際南コースだ。
開幕の舞台は鈴鹿へ
F1が開催されることで世界的に知名度が高い 鈴鹿サーキット本コースは、難易度も高くかなりチャレンジングなサーキットとして世界中にその名が知れ渡っている。しかし、それをモチーフとした国際南コースも、負けず劣らずのテクニカルサーキットだ。四輪用ミニサーキットとしての側面も持つため、道幅は一般的なカート用サーキットのそれよりも広いが、複合コーナーや微妙なアップダウン、適度に盛り込まれた低速コーナーやハイスピードでのクランクなどが高次元で組み合わされており、この鈴鹿南コースの攻略はきわめて難しい。また直線距離が長くハイギアードなセッティングを取らざるを得ないため、ミスをした際のロスが大きく、また同時にパッシングポイントも多いために順位の入れ替わりがかなり激しい。
例年では最終戦を担当している鈴鹿サーキット国際南コースが、今年は開幕戦を受け持つこととなった。鈴鹿サーキットで最終戦を迎えない全日本カート選手権は2014年以来となる。秋から春へと移った季節が、勝負にどう影響を与えるのか。
エントリー台数が増加!30台での最速バトル
2017シーズンから始まったOK部門も今年で3年目に突入する。少々戸惑いも見られた初年度からは大きく進歩し、2018シーズン後半には各チーム・ドライバー・タイヤメーカーともに完全にOKマシンのノウハウを確立。かなり安定してハイレベルなレースが展開されてきた。
そのおかげか、2019シーズンの開幕戦となる鈴鹿サーキット大会には、この最高峰カテゴリーになんと30台がエントリー。例年25台前後で行われてきたこのクラスにとっては驚きの台数であり、今シーズンは常時30台前後でのレースが行われることが予想される。鈴鹿サーキット国際南コースではYAMAHA KT100を搭載するFP-3クラスよりも約10秒(!)速いOKマシンが、それほどの台数で一斉に戦う様は圧巻だ。
10名のルーキードライバーが参戦
30名のドライバーの内、今シーズンからOKに参戦するルーキードライバーは10名。全日本FS-125からのステップアップ組として、木内秀柾、大草りく、大木一輝、渡会太一、廣岡陸勢、渡部樹、新原光太郎、高木悠帆、辻本始温の9名が、そしてFP-Jrからの飛び級で佐藤凌音が参戦する。いずれも14歳~19歳の若手ドライバーであり、全国各地のレースで速さを見せつけている強者ぞろいだ。今年もルーキードライバーが台風の目となる可能性は十二分にあると言っていいだろう。
もちろんベテラン勢も黙っちゃいない。特にチャンピオン奪還を狙う佐々木大樹は必勝を絶対条件として戦ってくることは間違いない。三村壮太郎も、昨年はあと一歩のところまで迫ったシリーズチャンピオンの座を狙っており、さらに朝日ターボはDUNLOP復権のため戦う。また昨年は時折速さを見せた山田杯利、冨田自然、水野皓稀、森山冬星、奥住慈英、皆木駿輔、綿谷浩明らの活躍にも大いに期待したい。さらには今回、2000年代前半にICAクラスで活躍した阿部光もこの最高峰クラスに参戦。2017年には全日本FS-125クラスにもスポット参戦した阿部がどのような走りを見せるのかも注目だ。
エンジンの公認切り替えで勢力図が変化!?
去年のシリーズTOP3は佐藤蓮、佐々木大樹、名取鉄平だったが、彼らのエンジンはそれぞれTM、VORTEX、IAMEと、3ブランドそろい踏み。実は全体を見渡しても、エンジンの勢力図はかなり拮抗していたのだ。ただその中でも、K.SPEED WIN川口氏の手によってチューンされたTMエンジンが、どのレースでも安定して強さを発揮していた、というのが特筆すべきポイントであった。
ヨーロッパでは2016シーズンからOKカテゴリーが行われてきたため、2019シーズンはエンジンの公認切り替え時期となる。当然国内で戦っているエンジンも今シーズンから全て新品へと切り替わるため、勢力図が変化する可能性がある。VORTEX DST、IAME Reedster V、TM S2-Semiorの3つが全日本カート選手権では競い合うとみられるが、特にスペシャルタイヤを使用するという特殊環境があるため、すでにレースが行われているヨーロッパの結果はあまり参考にできない。まさに蓋を開けてみるまでわからない、そんなレースが展開される。
18台のBS勢が路面を支配!タイヤ戦争の行方やいかに
30台のエントリーの内、何と6割に当たる18台がBRIDGESTONEタイヤを使用する。スペシャルタイヤを使用するOK部門では、タイヤ3メーカーがそれぞれ異なるコンパウンドを使用しているがゆえに、同一コンパウンドでの路面を形成することが勝利のカギの一つとなっている。つまり今シーズンはBRIDGESTONEタイヤが路面コンディションを強く支配することは間違いない。
対して昨シーズンのチャンピオンメーカーであるYOKOHAMAタイヤはユーザー数が1人減少して4人となった。しかしその内訳は、昨シーズンから継続の3人に加え、去年までBSタイヤを使用していた野中誠太を迎え入れている。経験豊かかつ小回りの利く体制とすることで、むしろ攻めの姿勢で戦っている。懸念材料としては開発メンバーの変更が挙げられるが、BSと合同でタイヤテストを行っている彼らは今シーズンの路面状況をかなり読みやすい立ち位置にいるだろう。
気になるのはDUNLOPの動向だ。かつて常勝軍団であった彼らは、2017シーズン中盤に大径タイヤを投入して以降、他社に比べて一歩遅れを取った状況が続いている。昨年の後半からは小径タイヤに舵を戻したが、事態はそう単純なことではないのだと証明された結果が残された。とはいえ半数をルーキードライバーで占めつつも、昨シーズンと同じく8台を集めたDUNLOPに何か策がないはずがない。
ルーキードライバーを迎え、新たな展開が期待される全日本カート選手権OK部門。4月27日~28日に鈴鹿サーキットで行われる開幕戦から目が離せない!
鈴鹿サーキット国際南コースへのアクセス
F1日本グランプリを開催するだけあって、鈴鹿サーキットは駐車場も充実しているだけでなく公共交通機関での来場も可能だ。11月17日(土)・18日(日)鈴鹿サーキットの正面ゲートから南コースまでを繋ぐ無料シャトルバスが運行されるため、自家用車で来場した場合は遊園地駐車場に車を止めることをお勧めしたい。また観戦には遊園地入園料が必要となり、大人(中学生以上)1700円、子供(小学生以上)800円、幼児(3歳以上~未就学児)600円となっている。レース観戦後に鈴鹿サーキット遊園地内を散歩しお土産を買って帰る、そんな楽しみ方も可能だ。
公共交通機関の場合
最寄り駅は伊勢鉄道線の鈴鹿サーキット稲生駅
最寄り駅は伊勢鉄道線の鈴鹿サーキット稲生駅。そこから徒歩25分ほどで鈴鹿サーキット正面ゲートまで到着する。
近鉄名古屋線 白子駅から車で約15分
比較的本数の多い近鉄名古屋線を利用するならば、白子駅で下車しタクシーを利用する方法をオススメしたい。
自家用車の場合
自家用車で来場する場合は、東名自動車道 鈴鹿ICあるいは亀山ICからそれぞれ25分ほどで到着する。
東名阪自動車道 鈴鹿ICから約25分
東名阪自動車道 亀山ICから約25分
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