KF部門の見どころ
BSが有利な展開となるか?タイヤ戦争
茂原ツインサーキットは激しめに縁石を使用するコースだ。KFが使用するスペシャルタイヤは市販カート用タイヤと比べて圧倒的にケース剛性が高いタイヤとなっているため、空気圧も一般のそれよりも低い。このため走り始めの空気圧が上がっていない状態でガツンと縁石に乗るとタイヤ内部にダメージが加わることがある。そのため各ドライバーはフォーメーションラップ中にいかに素早く丁寧に空気圧を上げることができるか、ここにレース序盤の運命が大きく左右されている。また連続するS字コーナー、跳ねる縁石、ドリフト走行による路面の痛みなどがあり決してタイヤに優しいコースであるとは言い難い。ただ、路面の荒れのおかげで路面グリップが高く、ひとたびそこにゴムが乗ってしまえば多少の無理が効く面もある。
また、開催時期が7月というところも注目だ。気温、路面温度ともにかなり上昇することが予想される。ただでさえタイヤに厳しいコースに加えてコンパウンドが溶けやすい状況が重なり、かなりぬるぬるとした路面状況になることが予想される。ここで前回の瑞浪大会の様子を思い出してみよう。気温は33℃、路面温度が50℃という猛暑となったタイミングがあった。土曜日のタイムトライアルだ。その直前までの練習走行ではYOKOHAMAタイヤがタイヤブローするような状況の中1位2位を獲得したのはBRIDGESTONEタイヤを装着する佐藤巧望(No.25/INTREPID/TM/BS)と三宅淳詞(No.31/SWF/IAME/BS)だった。日曜日には土曜日とはかなり異なるコンディションだったとはいえ、タイムトライアル3位の朝日ターボ(No.4/EXPRIT/TM/DL)を除くと上位はBS勢で占められている。シーズンを通してDLが有利な展開であった去年であっても茂原では上位にBS勢が目立つ。さらに注目すべきは開幕戦のもてぎだ。第1戦、第2戦と路面温度の上昇に合わせてペースを上げ、両レースともに表彰台をほぼ独占したのはBSであった。毎回異なるスペックのタイヤを持ち込むKFであるが、こうも両社で路面温度に対する対応が異なるとなると、夏場のレースはBS勢が有利な展開となるのだろうか?
茂原はCRG系が有利!注目の選手たち
茂原ツインサーキットについてドライバーに話を聞くと、必ずと言っていいほど「CRG系が有利なコースだ」と言われる。過去の結果を参照する限り必ずしもそうではない様子ではあるが、トニー系のようにきれいに滑らかに乗れば乗るほど速く走れるシャーシは茂原のダイナミックなドライビングを必要とされるコース特性に対して不得手で、逆にCRGのように固めでタイヤを路面に押し付ける力のあるフレームは有利なのかもしれない。さて、そのCRG系を使用するドライバーで最も注目すべきは菅波冬悟(No.18/CRG/TM/DL)だ。開幕戦ではうまくかみ合わず決勝で速さを見せつけられなかった菅波であるが、瑞浪では抜群のブレーキセンスを見せ隊列中団から猛烈な追い上げを行い、第3戦では3位表彰台を獲得している。また小高一斗(No.12/CRG/TM/YH)もCRGを駆るドライバーだ。前回の瑞浪では同じYHタイヤを使用する三村壮太郎(No.21/Crocpromotion/TM/YH)を上回るタイム・順位を初めて獲得し、今ノリにノっている小高は感性で乗るドライバーだと評される。YHを使用する2人はともに茂原と相性のいいとされるシャーシに乗っているため、仮にタイヤがうまく決まっていなかったとしても上位に食い込む可能性が高い。
前回の覇者朝日ターボ(No.4/EXPRIT/TM/DL)は、直近の2年間茂原ではいい成績を残せていないが、2013年には2連勝という結果を残しており決して相性が悪いコースというわけではないようだ。同じEXPRITに乗り、瑞浪で速さがを見せた澤田真治(No.2/EXPRIT/TM/DL)や宮田莉朋(No.3/EXPRIT/TM/DL)も1戦ずつDNFこそあれ2位や5位を獲得している。また、以前茂原は得意だと話した高橋悠之(No.9/TONYKART/VORTEX/BS)も見逃せないだろう。なんといっても昨年の第6戦では予選はDNFであり後方からの追い上げとなったが、2位を獲得した上にファステストラップも記録している。またルーキーでは昨年の全日本FS-125茂原大会で優勝を果たした角田裕毅(No.34/DRAGO CORSE/TM/DL)や同じく3位の名取鉄平(No.11/birelART/TM/BS)にも期待がかかる。前戦では気まぐれな路面コンディションに多くのルーキーが翻弄され結果を残すことができなかったが、ダイナミックなコースを思い切りのいいドライビングで乗り切ることができれば十分に勝機はあるだろう。