今や日本のレーシングカートの頂点であるKFでさえもフォーミュラカテゴリーへの登竜門となり、年々加速するフォーミュラドライバーの低年齢化とともにKF参戦ドライバーも低年齢化、KF参戦1~2年ほどでカートそのものから引退してしまうパターンが増加している。そんな状況の中常にトップカテゴリーで戦い続け、YOKOHAMAタイヤの開発も担っているのが三村壮太郎だ。ドライビングのうまさだけでなく多くの人に好かれるため、彼のピットにはよくジュニアドライバーがドライビングやセッティングを聞きにやってくる。さて、瑞浪では雨も味方につけ第4戦では3位、ドライの第3戦でもクラッシュさえなければもしや、とも思わせる速さを見せた三村であったが、そんな彼は何を思い戦うのだろうか。
Profile
三村 壮太郎(ミムラ ソウタロウ)
1991年6月19日生まれ
出身:茨城県
チーム:CrocPromotion
ゼッケン:No.21
マテリアル:CrocPromotion / TM / YOKOHAMA
最近の戦歴
2009年 | 全日本カート選手権 KF1 シリーズ6位 |
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2010年 | 全日本カート選手権 SuperKF YOKOHAMAタイヤ開発 |
2011年 | 全日本カート選手権 SuperKF YOKOHAMAタイヤ開発 |
2012年 | 全日本カート選手権 KF1 シリーズ2位 |
2013年 | 全日本カート選手権 KF1 YOKOHAMAタイヤ開発 |
2014年 | 全日本カート選手権 KF YOKOHAMAタイヤ開発 |
2015年 | 全日本カート選手権 KF YOKOHAMAタイヤ開発 |
前回のレースについて
前回の瑞浪では、特にドライコンディション時ではタイヤの温度が上がった場合でのパフォーマンスの劣化にとても悩まされました。レースは基本的にドライコンディションが多く、暑い時期での開催となるので、高温用ゴムの改善は今後のYOKOHAMAタイヤ開発において最優先事項です。ただ、そのパフォーマンスの劣化は同じYOKOHAMAタイヤを使用する小高選手でも同様の症状が出ていたものの、自分のタイヤに起きていたそれと比べると軽微なものでした。その原因はドライビングにあるのか、それともシャーシセットにあるのかをきちんと見極め、対策を講じる必要があります。
しかし、スタート直後の始動性や雨の降り始め、さらには冷えた路面での効能性は非常に優れていました。またレインコンディションとなった第4戦での3位は、決して望んでいた結果とは言い難いものの、最低限の結果を残せたことに安堵しました。ただ、これまで誇っていたレインタイヤでのアドバンテージは失われてしまったので、スリック・レイン共々さらに開発を進めていかねばなりません。
茂原ツインサーキットについて
タイヤやエンジンなど、マテリアルのマネージメントが非常に厳しいサーキットですが、自分自身は優勝経験もあるため苦手意識もなく、むしろ得意なサーキットです。ハイスピードなレイアウトであるので一見するとエンジン性能がものをいうように見えますが、S字区間の処理、長く強くかかる横G、速度を落とさずコーナーを抜ける技術が必要であり、ドライバースキルやシャーシセットの重要性が高いサーキットだと考えています。
夏の猛暑も含め、シーズンを通してみてもタイヤへの負担が最も大きい大会となります。高温への耐久性・強固な構造剛性が求められ、これは現在のYOKOHAMAタイヤの課題点が最も影響するところです。この大会をいい結果で乗り切ることができれば、また一つステップを登れたといえるでしょう。
一目置いているライバルや、次戦の強敵はいますか?
まず、自分たちは他タイヤメーカーに対して現状「追う立場」であると認識しています。このため「追いつき追い越せ」の精神で開発を行っています。YOKOHAMAタイヤ参入初期に比べれば間違いなく進歩していますが、それは他メーカーも同じことです。彼らの2~3倍の成長速度を維持していかなければ、追いつくことはできません。このため、他メーカーの動向は常に意識しています。
今シーズンへの意気込み
今年のYOKOHAMA陣営は、僕だけでなく小高選手も上位へ顔を出せるような可能性を持っています。非常に難しいことは理解していますが、今シーズン中にYOKOAHAMAタイヤで1-2位を独占し、開発陣営の期待に沿いたいです。当然、その時の優勝は自分です(笑)。