OK第10戦決勝ヒートはスケジュール変更により15時50分から、24周にて行われる。BRIDGESTONE、DUNLOP、YOKOHAMAの3メーカーがタイヤ開発競争を行う史上最後のレーシングカートレースの天候はウエット。しとしとと雨が降るコンディションは予選ヒートよりも雨量が少ないが、次第に冷えてくる気温により路面温度もぐっと下がり、霧も出ている。
各車のエンジンに火が入る中、高橋悠之のエンジンが正常に動かない。高橋悠之がスロー走行から回復できないままフォーメーションラップが行われるが、更に渡会太一が25Rでスピンした。渡会太一は再スタートをきり、もう一周のフォーメーションラップでどうにか最後尾に追いついたところで隊列は整った。洞地遼大らDUNLOP勢が率いる隊列は少し速めのローリングを行い、ホームストレートに差し掛かると、レッドシグナルが消灯した。
ホールショットを決めたのは田中風輝。そこに洞地遼大、皆木駿輔、井本大雅、小林利徠斗、加藤大翔、竹本優月輝と続く。伊藤祐がシケイン出口でスピンアウトして止まると、8番手にはBSトップの渡部樹がつけた。3周目にしてトップ田中風輝は圧倒的なハイペースで後方を突き放している。3番手争いは皆木駿輔、井本大雅、小林利徠斗、加藤大翔の4人の間隔が詰まり、そこに2番手の洞地遼大が飲み込まれていく。雨量の問題か何らかの対策を行ったか、予選ヒートほどBS勢のペースは悪くないが、それでもDL・YH勢に比べると1秒以上ペースが悪い状況だ。
5周目、若干遅れを見せている洞地遼大を皆木駿輔が3コーナーでパスして2番手に浮上。皆木駿輔はペースがよく、そのまま独走態勢となっている田中風輝を追いかけていく。また8番手の渡部樹に対して堂園鷲が追いついてきている。7周目には井本大雅が洞地遼大を交わして3番手に浮上。また同周回ではほぼ最後尾から追い上げてきた朝日ターボが堂園鷲を2コーナーでパスすると、そのままバックストレートで渡部樹もパス。これに乗じて堂園鷲が3コーナーで渡部樹を交わして9番手になった。予選ヒートでBS勢唯一のハイペースを見せた渡部樹だが、この決勝ヒートはスピードが上がらない様子だ。
8周目から徐々にバックマーカーが現れ始め、排除旗が表示された。後方のBS勢はトップ田中風輝に比べて焼く3秒ラップタイムが遅いため、ホームストレートでのみ提示される排除旗では追いつかず、コース上には周回遅れが発生し始める。これに乗じて皆木駿輔がじわりじわりと田中風輝に追いついていくが、1.5秒ほどのマージンを詰めるには時間がかかかりそうだ。
12周目、2番手の皆木駿輔に続くのは井本大雅、洞地遼大、小林利徠斗だが、それぞれ付かず離れずな間隔となっている。少し離れて加藤大翔と竹本優月輝、更に離れて朝日ターボ、そこからストレート1本以上離れて堂園鷲、渡会太一、佐藤蓮、渡部樹と並んでいる。1周ごとに1~2台のマシンに排除旗が提示されるため、コース上からは次々とエンジン音が消えていく。
15周目、ここまで追い上げを見せていた皆木駿輔だが、そろそろ田中風輝に追いつく様子がなくなってきた。その間に渡会太一と佐藤蓮が堂園鷲を交わし9番手10番手になる。このYHの二人はほぼ同等のペースを刻んでいるが、佐藤蓮に渡会太一をパッシングできるほどのスピードはない様子で、2人の間隔は少し離れている。BS勢トップは堂園鷲で、そこから少し離れて渡部樹、更に離れて安藤哉翔と田中照久と続いている。
後半戦に入るともうトップ集団は順位変動する様子がなく、あとは何台のBS勢が生き残れるかどうかという話になってきた。22周目には13番手の渡部樹が、23周目には12番手の安藤哉翔が排除され残すは堂園鷲あと一人。しかしどうにか逃げ切ることができたところでチェッカーが振られた。
トップはOK初優勝の田中風輝、2位には久しぶりの表彰台をつかんだ皆木駿輔、3位も久々の表彰台となる井本大雅が入った。以下洞地遼大、小林利徠斗、竹本優月輝、朝日ターボ、渡会太一、加藤大翔、佐藤蓮がトップ10となり、BSで唯一生き残った堂園鷲が11位を獲得した。
1位 田中風輝
優勝できてとても嬉しいです。予選から速さがあることはわかっていたので、自信を持ってそのままの状態で決勝に挑みました。スタートからとにかくマシンをプッシュさせ、一気に後方を突き放して行くプランを立て、実際にその通りにできました。途中で皆木駿輔に追い上げられていることはわかっていたので、少し後ろを見ながらペースアップしたところ、きちんと距離を保つことができたので良かったです。
今まで2年間苦労するレースが続いてきましたが、最後の最後で優勝できたことは本当に嬉しいです。いい勝利でした。
2位 皆木駿輔
どのような形であれ絶対に最終戦は表彰台に乗るんだという強い気持ちを持って挑んだので、それを叶えることができてよかったです。今週は全体的に大事な場面でトラブルが発生することが多く、それを一つ一つ解決していったことが結果に繋がりました。悔いが残らなかったわけではないですが、やりきることができた週末でした。
トップの田中風輝とはタイヤのスペックが違うので、いいところと悪いところがありました。もう少し田中風輝のスピードに追いつけないかとチームと相談して決勝までにトライしましたが、そこには届かなかったことは悔しいです。しかし支えてくださった皆様に感謝して、この結果を素直に喜びたいです。
DUNLOPのタイヤ開発ドライバーとして全日本カート選手権に参戦してきて、今まで苦しい時期もありました。しかし最後にDUNLOPで表彰台を独占する最高の結果を得られたことはとても良かったです。
3位 井本大雅
嬉しいような悔しいような、そんな結果でした。レースを走っていてもみんなミスが少なく、見えている距離でありながらも抜けないことにもどかしさを感じました。お互いにちょっとしたミスで近づいたり離れたりしていましたし、特にバックマーカーが現れてからは僕はタイミングよくパッシングできたのに対して、前のドライバーはところどころ引っかかったりしていたので、もう少しなにかできたのではないかと思っています。
精神的にきついレースだったので集中力が必要でした。スタートで少し行き過ぎたのが失敗ではありました。しかし最後に表彰台を、DUNLOPのメンバーで乗れたのは嬉しいです。