<img class="aligncenter size-medium wp-image-2077" src="https://paddock-gate.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_4489-600x400.jpg" alt="img_4489" width="600" height="400" /> スポーツランドSUGOはとにかくドライバーへの負担が大きいコースだが、それはタイヤにとっても同じこと。常にどこかにGがかかり続け休む暇なく次のコーナーがやってくるこのコースは、ドライバーの体力とタイヤのグリップをボディーブローのように奪い続ける。また、スポーツランドSUGOは宮城県にあるため、若干の肌寒さを感じるのが通例ではあるが、木曜・金曜と過ごしてきたが今のところはそこまでの寒さは感じられず、半そででも過ごせる程度の涼しさである。そんなSUGOに向けて各タイヤメーカーはどのようなものを用意してきたのだろうか。インタビューを行った。 <div style="border-style: solid; border-width: 1px; padding: 10px 5px 10px 20px;"> <span style="font-size: 14pt;">目次</span> <ul> <li><span style="font-size: 14pt;"><a href="#bs">BRIDGESTONE「確実な進化が見えた」</a></span></li> <li><a href="https://paddock-gate.com/2067/2/"><span style="font-size: 14pt;">DUNLOP「今までで最も攻めたタイヤ」</span></a></li> <li><a href="https://paddock-gate.com/2067/3/"><span style="font-size: 14pt;">YOKOHAMA「レインでは一矢報いたい」</span></a></li> </ul> </div> <h3 id="bs" class="midashi01">BRIDGESTONE「確実な進化が見えた」</h3> <img class="aligncenter size-medium wp-image-2080" src="https://paddock-gate.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_4494-600x400.jpg" alt="img_4494" width="600" height="400" /> <strong>Paddock Gate 藤松 楽久</strong>(以下<strong>藤松</strong>):まず初めに2か月前の茂原のレースについて教えて下さい。予選までは何とかなったものの、決勝の特に後半にかけてペースを保てなかったように見えましたが、どうでしょうか? <strong>BRIDGESTONE 本田 真悟</strong>(以下<strong>本田</strong>):まったくその通りで、厳しいレース展開となりました。序盤にかけてはある程度の優位性をもちレースをリードすることもできたのですが、中盤あたりからその優位性は失われ、そして後半に失速してしまいました。なんとか2戦ともに3位を獲得することはできましたが、優勝するにはレース終盤のペースが不足しており、それが良い結果に導くことができなかった原因だと考えています。決勝レース残り半分からのペースに大きな課題を残したレースとなりました。 <strong>藤松</strong>:BRIDGESTONEとしては、このスポーツランドSUGOをどのように考えていますか? <strong>本田</strong>:まずはドライバーにとって非常に厳しいコースです。タイヤにとっては、周回数も多いため、最終ラップに向けてどれだけ余力を残すことができるか、ここが重要になります。つまりドライバーが疲れてしまってもタイヤはタレない、そういうことですね。また、鈴鹿や茂原にくらべてコース幅も狭く小さいサーキットなので、レース序盤で前方に立つことが重要です。先に挙げた2つのサーキットでは、後方からズバズバと追い上げるような作戦も取れなくはないですが、このサーキットでそれを行うのは困難です。初めに上位に立ち、その後ブロックすることで順位をキープすることができるサーキットだと考えます。 <strong>藤松</strong>:SUGOは例えば1コーナーから4コーナーにかけての連続する左コーナーのような、回り込むコーナーが多いサーキットですが、タイヤにとってはどのような特性が必要とされるのでしょうか? <strong>本田</strong>:おっしゃる通り、回り込み横Gがかかった状態で姿勢を維持せねばならないコーナーが多いので、車の姿勢を維持し続けられるようなタイヤが必要です。少なくともピーキーなタイヤでは乗りにくいでしょう。 <strong>藤松</strong>:確かに、金曜日の走行を見ている限り、BSタイヤは他社に比べてきれいに車が動いているような印象があります。ところで、今週は天候にかなりの不安がありますが、そのあたりはどうでしょうか? <strong>本田</strong>:まず初めに、この時期のSUGOは気温が不安定で、暑くなるのか、それとも寒くなるのかを予測するのは困難です。ですから、どの状況でも対応できるようにはしています。これはちょうど6月の瑞浪の状態が近いかもしれません。また今週も雨や曇りの予報が出ており、天気が読めません。そういう不安定な天候になるだろうとは予想してはいたので意識したタイヤを作ってきましたが…。また、事前のテストでは昨年のSUGOで使用したタイヤからの着実な進化が見え、非常に良いテストができたなと思います。シーズンを考えると、ルーキードライバーたちももうかなりKFという環境に対応してきたので、BS全体で上位を占めたいです。しかしながらやはり天候に対しては不安を覚えており、ドライバー間ではKF経験年数の差が出つつ、ベテラン同士での接戦が行われるのではないかと思います。 <h3 class="midashi02"><a href="https://paddock-gate.com/2067/2/">NEXTPAGE:DUNLOP</a></h3> <!--nextpage--> <h3 id="dl" class="midashi01">DUNLOP「今までで最も攻めたタイヤ」</h3> <img class="aligncenter size-medium wp-image-2078" src="https://paddock-gate.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_4484-600x400.jpg" alt="img_4484" width="600" height="400" /> <strong>藤松</strong>:前回のレースはDUNLOP開発ドライバーである宮田莉朋の見事な2連勝でした。瑞浪の時とはまた違った形でドライ・レインの両方があるレースとなりましたが、今一度振り返ってみるとどのようなところに勝因があったのでしょうか? <strong>DUNLOP 大小瀬 求</strong>(以下<strong>大小瀬</strong>):まずはウエットですが、瑞浪の時のような頭一つ抜きんでたような速さは、残念ながらありませんでした。結果を見てみると、トップ3にはタイヤメーカー3社がそろっていて、性能は同等、コンペティティブな戦いになっています。あと、レインはコンディション変化もありますが、そんな中でも各ドライバーともにタイヤをよく使ってくれており、決して悲観するような結果ではありません。悪い印象はなかったレインでした。またドライに関しては、レース全体のどこに焦点を当てて開発をしたのか、この点が他社と違っていたのだと思います。レース後半のタイムの落ちは悪目立ちする傾向にあります。DUNLOPでも今年の開幕戦であるもてぎではまさにそんな感じでした。ですから、確かに他社が後半にペース不足になりはしましたが、実際には性能差はほとんどなかったと考えています。 <strong>藤松</strong>:スポーツランドSUGOというコースについては、どのような印象を持っていますか? <strong>大小瀬</strong>:タイヤにとってもドライバーにとってもきついサーキットです。常に横Gがかかり続けるため、ドライバーはもちろんタイヤも休む暇がなく、最後までタイヤを持たせることは厳しいです。昨年のレースでは、途中までDLの澤田真治がBS佐々木大樹に食らいついていったのですが、最後には離されてしまいました。あれはタイヤが原因だったと思っています。このSUGOでは2年連続で負けてしまっており、このような結果は他のコースでは残されていません。しかしながらそれは、このコースにおいてはDUNLOPとしては失うものがないので、逆にチャレンジできるいいキッカケだと捉えています。ですから、今までで一番攻めたタイヤを作ってきました。具体的に何を攻めたのかは言えませんけどね(笑)。 <strong>藤松</strong>:その挑戦がどのような結果を迎えることになるのか、とても楽しみです。ところで、コースで皆さんと話している中で、「DLはSUGOはコンパクトだからという理由でピーキーなタイヤを作りがちだ」という話を聞くことができたのですが、僕としてはその方向性のタイヤがいいとはあまり思えません。現在のDLとはまた違う時の話のようでしたが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか? <strong>大小瀬</strong>:例えばですが、フロントがよく効くタイヤがピーキーかと言われれば、そうとも限りません。それはリアのグリップがフロントに負けているだけ、という可能性も考えられます。そのような場合、リアのグリップをいかに向上させるかが重要になるでしょう。フロントが、リアが、と個別に考えるのではなく、パッケージ全体で考えるべきです。もちろんそれは時代であったり開発者の思想に左右される部分でもあります。ただ、去年・一昨年と負けが続き、大きな課題もあったのですが、事前のテストではそこに改善が見られ、手ごたえを感じることができました。できることはしてきました。このレースウィークでは、タイヤだけではなくチームと力を合わせて、マシン全体のポテンシャルを発揮させることに注力していきます。 <h3 class="midashi02"><a href="https://paddock-gate.com/2067/3/">NEXTPAGE:YOKOHAMA</a></h3> <!--nextpage--> <h3 id="yh" class="midashi01">YOKOHAMA「レインでは一矢報いたい」</h3> <img class="aligncenter size-medium wp-image-2079" src="https://paddock-gate.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/IMG_4492-600x400.jpg" alt="img_4492" width="600" height="400" /> <strong>藤松</strong>:前回の茂原では、タイムトライアルでの小高一斗の活躍はありましたが、全体としてはあまりいいところがなかった印象があります。あれはどこに原因があったのでしょうか? <strong>YOKOHAMA 内藤 充</strong>(以下<strong>内藤</strong>):ドライタイヤは、ゴムのポジションを合わせることができなかった、ここに決定的な原因があったといえます。路面温度事態は想定の範囲内であったにもかかわらず、一発のタイムも出すことができませんでした。やはり以前からの重要な課題である、高温域での対応、ここへの技術力不足と言わざるを得ません。これは私たちのタイヤが未だ他社に劣っている点です。レインでは小高がとてもよかったですが、ウエットはタイヤに関しては構造などよりもゴムの比重が大きいところがあります。レインはそれなりにテストを重ね、去年あたりにおおよそ良い結果を出せるところが見つかっているので、自信をもってドライバーにタイヤを渡しています。実は、昨年と比べてタイヤのパターンも変化しています。それは目で見てもほとんどわからない変化ではありますが、着実な進化を遂げているのです。 <strong>藤松</strong>:スポーツランドSUGOはタイヤへの負荷も大きく、残念ながらYOKOHAMAタイヤとしてはまだ苦手なコースなのではなかろうかと思っているのですが、どうでしょうか? <strong>内藤</strong>:そうですね。きつい横Gがかかり続けタイヤへの負荷が大きいサーキットですので、確かにかなり難しいところがあります。それに対応するべく、今までで最も構造を固めてきました。ただ、その分ゴムへかかる負担が増えてしまうので、心配な要素を引き出してしまってもいます。しかしながらテストの際にはタイムもコンスタントに出し続けることができた上に、これといった腰砕け感も見られず、今年一新したプロファイルにとてもマッチしたタイヤとなっているようです。また、昨年まではTTでの一発のタイムを重要視していて、それを今年改めたのですが、その結果としてなかなか速いタイムを残すことができなくなってしまいました。この課題を解決するための思想も盛り込んではいますが、それはなかなか難しいというのが今の私たちの現状です。 <strong>藤松</strong>:ところで、今週末の天気はどうやらとても不安定なようで、各社の天気予報ですらまちまちな予想を発表しています。ある天気予報では日曜日の降水確率が80%だとか。 <strong>内藤</strong>:それは私たちにとって良いニュースですね。瑞浪では、これまで誇っていたレインタイヤでの優位性を失ってしまった結果となりましたが、我々のタイヤも日々進化し続けています。今回レインタイヤも数種類を用意するなど気合を入れてきたので、必ずや一矢報いる結果を残して見せます。