2025 AUTOBACS GPR KARTING SERIESのOK部門では、1大会2レースにおいて最大1.5セットのタイヤが使える特殊な状況が発生している。開幕戦の1週間前に公示された新しいレギュレーションにより、第2レースでのみフロント1本・リア1本を新品タイヤに交換することが可能となったのだ。しかもその2本の新品タイヤは主催者持ちという太っ腹さ。

【GPR】OK部門のタイヤ登録本数が変更 ドライは1大会で1.5セットが使用可能に – Paddock Gate |レーシングカートWEBメディア
2025 AUTOBACS GPR KARTING SERIESのOK部門は、ドライタイヤが1大会で1.5セット登録可能となりました。2レース目に前後1本ずつ新品タイヤに交換することができます。
このレギュレーション、OK部門で採用されているDUNLOP DHMタイヤ(CIK PRIMEタイヤ)の摩耗が比較的早いという問題を解決するのではないかという点で注目が集まった。従来のタイヤ1セットでのレースだと、第1レースを早々にキャンセルすると、第2レースでは最後尾スタートであっても優勝してしまうぐらいのパフォーマンス差が生まれる場合があった。1.5セットのタイヤを使えるようにすることで、戦略的撤退による第2レースでの優位性を抑制できるかもしれないと考えられたのだ。単にOKのエントリーが17台しか集まらず、本来スーパーポールで使う予定だったタイヤが余っただけではないかという話もあったが…。
※スーパーポール
GPRのOK部門とジュニア部門において、参加台数が20台以上かつドライでのTTが行われた場合に実施される、TTの上位8名が進出できる2周のタイムアタック。上位8名にはスーパーポールでのみ使用が許される1セットの新品タイヤが主催者より提供される。
8台分の新品タイヤを半分に分ければ16台に配布できる。
ともかく5月11日の鈴鹿サーキット南コースにて行われた開幕戦で、この新しいレギュレーションが初運用された。鈴鹿南コースは左回りなので、通常は右側のタイヤを新品にするだろうと思われていたが、蓋を開けてみると多様な試みがなされていた。各車のトライとその結果を見ていこう。
2本だけの新品タイヤをどう割り当てるか
前後1本づつだけ新品タイヤを投入可能というレギュレーションのため、各車が第2レースで取れる新品タイヤ装着位置の選択肢は以下の5つがある。
- 右前 右後
- 左前 左後
- 右前 左後
- 左前 右後
- 未交換(新品タイヤを使わない)

一般的に考えれば最も減りやすい箇所のタイヤを新品にするのが好ましい。左回りの鈴鹿南コースであれば「右前 右後」がベストな選択肢であろう。実際にこの組み合わせを行ったドライバーが最も多かったが、他の選択肢を取ったドライバーも存在した。以下の通り。
- 右前 右後:9台
- 左前 左後:4台
- 右前 左後:1台
- 左前 右後:3台
- 未交換:0台
流石に未交換を選んだドライバーはいなかったが、それ以外は全ての組み合わせが存在した。斜めに新品タイヤを組み合わせたマシンは4台あり、内3台は左前と右後に新品を投入。左フロントタイヤの負荷が高い右コーナーである25Rとシケインでの優位性と、他の左コーナーでのリアの安定感を求めたゆえの選択か。意外なことに左の前後に新品タイヤを装着したマシンは4台あり、優勝した酒井仁もこの一人だった。
彼らの選択がどのような結果を生んだのかを見ていこう。