今週末(2025年5月30日~6月1日)はスーパー耐久シリーズ24時間レースが富士スピードウェイにて開催されていますが、その裏で関係者とメディア向けに「GR KART」(以下GRカート)をトヨタ自動車が公開しました。かねてより噂されていたトヨタ自動車のレーシングカート市場への参入が一歩進んだようです。
GRカートが富士スピードウェイにて公開
GRカートが公開されたのは富士スピードウェイのカートコース。2023年11月のスーパー耐久シリーズ最終戦でも自社製カートを展示していましたが、今回は関係者向けに試乗会も行いました。



GRカートはトヨタ自動車製のオリジナルフレームに、Willbeという元三菱重工系の汎用4ストロークエンジンを搭載しています。GRカートの取り組みの目的には、モータースポーツを将来にわたって持続可能にするため、子どもたちとファミリー層に対する施策として行われます。カートに触れてモータースポーツを経験した子どもたちを「自動車業界の人材」「将来の車好き」に繋げていく狙いがあります。
このためオリジナルフレームにはハンドルのチルト機能、シートの前後移動機能、オートテンショナー付きの高寿命ベルト駆動、、芯出し不要のリアアクスルベアリング、錆の発生しないステンレス製のリアアクスルシャフトなどが搭載。大型カウルにカーボン製のフットカバーなども装着され、レンタルカートに近い安全性が確保されている様子です。
GRカートはドライバー身長130cm~185cmに対応し、両親と子どもが1台のカートを共有して乗ることが可能です。ガソリンとカーボンニュートラル燃料に対応し、水素エンジン使用も継続開発中とのこと。





フレームはロボットによる自動溶接で組み立てられます。形状を見るに従来のレーシングカートとの互換性は無く、エンジンマウントやカウルの取り付け方法も独自方式を採用しています。レーシングカート専門メディアとしては、カウル取り付け部分が曲がったらフレームごとお釈迦になりそうなのが非常に心配ですが、乗用車開発と同じ装置で実写衝突試験を実施して安全性を確保するそうです。
現在のレーシングカートよりも一回り小さいサイズであり、別売りのラダーを使うことでトヨタの小型ミニバンであるノアやヴォクシーに搭載可能としています。

水素カートの展示



GRカートと並行して開発中の水素カートの展示も行われました。2023年に展示されたモデルはオリジナルフレームでしたが、今回はOTK製のフレームを採用。エンジンはYAMAHA WR250をベースにミッション部分を切り取ったオリジナルクランクケースを備えた物となっています。水素タンクは車両左側に搭載しています。
とある情報によれば、以前のオリジナルフレームは水素エンジンのパワーやタイヤグリップに負けてしまうため、市販レーシングフレームを採用しているとのこと。
2023年11月に展示されたモデル
2023年11月に展示されていたトヨタ製カートは、今回公開されたものと全くの別物と言っていいようです。カーボンニュートラル燃料カートはエンジンがYAMAHA MZ系であり、全体的により簡素な構造をしていました。水素カートはエンジンこそ共通ですが、この時はオリジナルフレームを採用していました。







