- 2017-12-6
- Devise
- 全日本カート選手権, フェスティカサーキット瑞浪, KG, インテークサイレンサー, OK, キャブレター, Ibea, IAME, エンジン, TM, VORTEX, FreeLine, Tillotson
ワンメイクのレースとは真逆の姿勢を取る全日本カート選手権OK部門は、細かいルールはさておき、公認されたものの範囲であればエンジンもシャーシもタイヤも全て自由に選択できる。西に速いエンジンがあると聞けば飛行機で買いに行き、東にいいキャブの情報があればいち早く取りに行く、そんなスピードに飢えたエントラントがいるのは紛れもない事実。では最良のマテリアルを集めた結果としてすべてのマシンが同じパッケージになるのではないか?そういう結論に至るのは至極当然のことのように思われるのに、これっぽっちもそうはならない。それどころか全員がバラバラのパッケージなのにタイムがコンマ1秒以内に収まったりする、そういうところにマルチメイクの魅力があるのだ。
最強のパッケージとは
というわけで、今回は2017年8月20日にフェスティカサーキット瑞浪で行われたOK第5戦の予選で、全27名のドライバーが使っていたエンジン・キャブレター・インテークサイレンサーを調べた。
エンジンではIAMEが5割のシェアを誇る
まずエンジンから見ていくと、最大勢力であるIAMEが14台、VORTEXが9台、TMが4台という結果に。昨シーズンまでのKF時代ではTMエンジンがほとんどだったことから比べると大きく様変わりしていることがわかる。これはヨーロッパでいち早く始まったOKカテゴリーではIAMEが強さを発揮したことが一因だろう。特性としてはTMが低速域、IAMEが中速域、VORTEXが高速域に強いと言わるが、ドライバーによってはIAMEとTMを1台づつ登録している場合があることから、TMとIAMEは特性が近い、もしくは似たような性格にチューンできるようだ。VORTEXはTONY系のシャーシを使うエントラントが使用している割合が高いためシェアが伸びているが、今シーズンはパワー不足に悩まされたドライバーが多かった印象が否めない。やはりスペシャルタイヤという特殊な環境では高回転型のVORTEXには厳しいものがあるのかもしれない。
キャブレターはTILLOTSON一択か?
キャブレターを見ていくと、Tillotson(グラフ上ではTLと表記)のほぼ一人勝ち状態。Tillotsonのキャブは年式によって外観の色が異なり、それぞれ
- 青(Blue):2017年
- 茶(Brown):2016年
- 銀(Silver):2013~2014年
に製造されたものである。茶色の2016年型が一番いいという噂もちらほらと耳にする中、やはり最新型が最も高いシェアを誇っている。IBEAはTONYワークスの3名のみが使用していた。
サイレンサーはKGが人気沸騰中
昨シーズンまではほぼ全員がFreeLine、一部RRのインテークサイレンサーを使用していたが、その状況は昨年の夏ごろから出始めたKGのNitro Air Boxによって一変した。ただKGがすごくいいということはないらしく、むしろFreeLineと特性差はあまりない。KG人気の一番の理由はやはり専用の雨カバーが付属する点で、βピンで素早く簡単に雨対策できる点が高く評価されているようだ(チームによってはレインカバーの固定方法をネジ式に改造している)。
最多の組み合わせはIAME+Tillotson+KG
エンジンが3種類、キャブとサイレンサーがそれぞれ2種類なので、全部で12通りの組み合わせが存在する。しかし瑞浪を走った全27台のマシンでは5通りの組み合わせに絞られていた。最多の組み合わせはIAME+TL+KGで8名のドライバーが採用。ここで瑞浪大会タイムトライアルの結果順に各マシンのマテリアルを並べてみると、
- 佐藤蓮:TM+TL+KG
- 小川颯太:IAME+TL+FL
- 澤田真治:VOR+TL+KG
- 佐々木大樹:VOR+IB+KG
- 朝日ターボ:TM+TL+KG
といった形になり、トップ5の時点ですでに4種類が揃っており、最大勢力以外の組み合わせが上位を占めている。もちろんタイムを出すためにはエンジンやキャブだけでなくいいシャーシやタイヤも必要で、最後にドライバーが全てをまとめ上げなければ何の意味もない。ただ今シーズンの結果を踏まえると、来シーズンではエンジン回りのパッケージ勢力図はまた違った形になるのかもしれない。