20世紀を代表するSF作家の一人であるアーサー・C・クラークはこう言った。 「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」 問題は、これは科学技術であるのか、という点かもしれない。 BirelART RAGNO RacingのSEVチューニング 世に数多く存在する摩訶不思議系チューニンググッズの代表例と言えば、SEVである。貼り付けるだけでSEVが発する放射線によってありとあらゆる物質が”活性化”されるというのだから、アルミテープによる空力チューニング以上に怪しさにあふれている。物質を変化させるほどの放射線量を発するものを果たして素手で扱ってよいのか、筆者は非常に不安である。 そんなSEVがBirelART RAGNO Racingのエンジンに搭載されていることを発見した。IAMEのヘッド上とエンジンマウント裏面の2か所に貼り付けられたSEVはエンジンパワーの向上を目的としており、 「実際にロガー上でも回転数の上がり方が変わった」 というドライバーの証言も得ている。BirelART RAGNO Racingは、これを2019オードバックス全日本カート選手権の本庄サーキット大会で投入して以降、エンジンやシャーシの様々な部分にSEVを貼ってテストしているらしい。 広く知られているように、SEVが放射線を発する理由は解明されておらず、それゆえに現時点では科学的根拠のない製品である。しかし、科学的根拠がないからと言ってその効果を否定するのは、見たことがないのを理由に宇宙人の存在を否定することと同様にナンセンスである。奇跡も魔法もあるのであれば、SEVの効果もあるのかもしれない。