OK第10戦の26周の決勝は15:40から開始された。昨日の第9戦予選ヒートとほぼ同じ時間帯のため、日は山の稜線にかかり、コース全域に暗い影が落ちている。合図と同時に各社一斉にコースインしていく中、#77奥住慈英がトラブルかコース上でストップ、押しがけを試みるがDNSとなる。さらに第10戦の商社である#92小高一斗もDNS。それ以外はスムーズにフォーメーションラップが行われ、レッドシグナルが消灯。今シーズン最後のレースが開始された。
ポールの#34渡会太一はスタートから失速し、一気に10番手までドロップ。これによりホールショットを奪ったのは#8山田杯利で、そこに#2佐々木大樹、#9宮下源都、#12森山冬星、#5高橋悠之、#24古谷悠河、#10冨田自然、#27伊藤琢磨、#11木内秀柾が続く。#2佐々木大樹はオープニングラップの10コーナーで#8山田杯利のインを刺しトップに立った。また#34渡会太一の失速に巻き込まれる形で失速した#44佐藤凌音が#4三村壮太郎に2コーナーで接触、2台はリタイアとなった。
序盤は順位に変動はなく、各車微妙な距離感で走行している。3周目に3番手#9宮下源都がわずかにおくれたことでトップ2がわずかにリードを広げたが、同タイミングで#5高橋悠之が#12森山冬星をパスし4番手となったことで、#9宮下源都は後方に対しても若干のマージンを築いた。4周目には10番手の#34渡会太一が#11木内秀柾を10コーナーで交わしたが、前方の#27伊藤琢磨とは若干差ができている。しかしこの差は2周で埋まり、6周目の10コーナーで#34渡会太一は#27伊藤琢磨を交わし8番手となった。また同周回に4番手#5高橋悠之に対し6コーナーで#10冨田自然が、そして10コーナーで#12森山冬星が仕掛け、#5高橋悠之は6番手にドロップした。トップ集団は牽制し合いながら2周が消化され、9周目にはトップ8の各々の距離が縮まりワンパックとなった。#12森山冬星は#10冨田自然を9周目の10コーナーでパスすると、さらに12周目の4コーナーで#9宮下源都をも交わし3番手に浮上。さらに11周目には#34渡会太一は#24古谷悠河を10コーナーで制すと、12周目の10コーナーで#5高橋悠之のインにマシンを向ける。#5高橋悠之は後方を警戒しインを締め、さらに13周目の3~4コーナーでもブロックラインを取った。しかし6コーナーで#34渡会太一がラインをこじ開けることに成功、6番手に浮上した。
15周目には#2佐々木大樹、#8山田杯利、#12森山冬星、#10冨田自然、#9宮下源都のトップ5が付かず離れずの等間隔となり、その後ろには#34渡会太一、更に離れて#11木内秀柾、#5高橋悠之、そして後方から追い上げてきてた#35ヤニック・デ・ブラバンダー、#24古谷悠河、更に離れて#27伊藤琢磨、#1佐藤蓮という形になる。#12森山冬星が16周目の3コーナーで#8山田杯利のインを刺し2番手に立つと、17周目の10コーナーでは#10冨田自然も#8山田杯利を交わした。さらにこのとき8番手#35ヤニック・デ・ブラバンダーの後方には一気に他車を制した#1佐藤蓮が上がってきた。
レース周回は残り8周となる18周目、トップ2がそれぞれラストスパートを掛けたかそれぞれ後方に対しマージンを作り始め、そこに追従するように3番手#10冨田自然の後ろにもギャップが開き始めた。19周目の6コーナーでは#35ヤニック・デ・ブラバンダーが少し離れていた#11木内秀柾のインを鋭いブレーキングで刺して7番手に立つと、20周目の6コーナーで#1佐藤蓮も#11木内秀柾を交わした。21周目には#34渡会太一が#9宮下源都を、22周目には#1佐藤蓮が#35ヤニック・デ・ブラバンダーをそれぞれ10コーナーでパス。23周目、6コーナーで#34渡会太一が#8山田杯利を交わし4番手に浮上すると、トップ#2佐々木大樹と2番手#12森山冬星がテールトゥノーズとなる。これを好機と見たか#12森山冬星は24周目の10コーナーで#2佐々木大樹のインを刺し、23周目ぶりにトップが入れ替わった。ラスト2周、3コーナーでは#1佐藤蓮が#9宮下源都をかわし6番手に、そして10コーナーでは#34渡会太一が#10冨田自然をかわし3番手に立った。このときトップ2は3番手に対し少しマーズンを稼いでいる状況だ。
そしてファイナルラップに突入。トップ#12森山冬星は1コーナーからブロックラインを取ると、トップ4の距離が一気につまり、#10冨田自然が#34渡会太一を3コーナーでパス。さらに4コーナーでも#12森山冬星がブロックラインを取ったことで後方の#8山田杯利と#1佐藤蓮もここに接近し、#1佐藤蓮は6コーナーで5番手に浮上。トップ6はテールトゥノーズになりながらS字を抜けると、#12森山冬星は更にブロック。このタイミングで#1佐藤蓮が#34渡会太一を交わすと、6台はラインを交差しながら最終コーナーを抜けゴールラインを目指した。
そして今シーズンの終わりが宣言された。トップは#12森山冬星が最高峰カテゴリー初優勝を獲得。2位は#2佐々木大樹となり、自身11年ぶりとなるシリーズチャンピオンを取った。3位は#10冨田自然、以下#1佐藤蓮、#34渡会太一、#8山田杯利、#9宮下源都、#35ヤニック・デ・ブラバンダー、#11木内秀柾、#43皆木駿輔が順にゴールラインを切った。しかし#10冨田自然はスタート直後のプッシングによるフロントカウルペナルティを受けたため、3位は繰り上がりで#1佐藤蓮が獲得した。
1位 森山冬星
ついに最高峰カテゴリーで優勝することができて、言葉に出来ないぐらい嬉しいです。スタートで順位を上げ、そこからはタイヤをマネジメントしながら走ろうという作戦を取っていたのですが、スタートの混乱もありここでは順位を落としてしまいました。しかしどうしても勝ちたいという気落ちが強く、とにかく前だけを見て一台一台確実にパッシングを行っていきました。2番手まで立つとトップだった佐々木大樹の背中が見えたので、タイヤを使い切ってでも追い抜こうと全力でアタックし続けました。
今シーズンは勝てそうでも勝てないときがあり、苦しいレースが続いていました。その最終戦をこのような優勝で終える事ができたのは本当に良かったです。チーム、そして家族のみんなに感謝しています。
2位 佐々木大樹
スタートでは少し危ない部分がありつつも、オープニングラップでトップに立つ事ができました。そこから先は後ろに誰がいるのかを意識せず、基本的にはちゃんと完走することを意識し、キャブも開け気味でマージンを取って走っていました。ラスト2周で森山冬星に抜かれましたが、そこは単純に自分の速さが足りないだけなので、無理に抜き返そうとは思いませんでした。しかしここで森山冬星がインを締めて後方が詰まってしまったので、当たらないように完走を意識し続けました。1年間チャンピオンに向けてチームのみんなで積み上げてきたものを、トラブルや自分の欲によって失ってしまうことは絶対に避けたかったです。とにかくゴールまで辿り着くことができてホッとしています。チャンピオンがかかる大事なレースで、父のチームであるTEAM WOLFの森山冬星が前に立ったのは、やはり最後に壁になるのは父なのかなとも思いました。
TONYKART RACING TEAM JAPANで戦い始めてからまだ一度もチャンピオンを取ったことがなかったので、チーム、そしてBRIDGESTONEのみんなにチャンピオンをあげることができて本当に嬉しいです。
3位 佐藤蓮
最高の気分です。去年、一昨年と全日本カート最高峰カテゴリーを戦ってきましたが、今日が今までで最高のレースでした。レースウィークは木曜日から調子が悪く、一年ぶりのレーシングカートレースということもあって、最初は特にスタートなどは去年のほうがうまかったなと思うほど感覚がつかめなかった部分がありました。さらにコンディション的にもこの決勝は路面温度が低く、厳しいと考えていました。しかし実際には思ったよりも良いペースで走ることができましたし、スタートもうまく決まり、レース中はゾーンに入って集中し続けていました。最後の最後までチャンスを逃さないように走った結果、ラストの混乱を切り抜け、繰り上がりではありますが3位を取ることもできました。この結果はチーム・YOKOHAMAタイヤみんなの力で勝ち取ったものです。
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