2021シーズンの全日本カート選手権最後のレースとなるOK部門第10戦の決勝ヒートは15時ちょうどスタート。30周のレースを制するのは一体誰になるのか。天候は相変わらずの曇りで寒さを感じる状況の中フォーメーションラップがスタート。各車エンジンに日を入れるが、松井啓人のエンジンが動かずDNS。さらにチャンピオン争いの真っ只中にいる荒尾創大がまさかの2コーナー先でストップ、バックストレートほぼ一本を必死に押しがけを行うが、無情にも再びエンジンが動き出すことはなく、この時点で佐々木大樹のチャンピオン獲得が確定した。その状況の中隊列はホームストレートに向かい、今年最後のレースのレッドシグナルが消灯した。
佐野雄城が1~2コーナーで大胆にアウトからまくりホールショットを決めると、そこに洞地遼大、佐藤蓮、清水啓伸、大宮賢人、遠藤照剛、高橋悠之、鈴木斗輝哉、平安山良馬、渡部智仁が続く。オープニングラプから2周目までは大きな動きはないが、3周目に6コーナーで洞地遼大が仕掛けた事により佐野雄城が4番手までドロップ、更に複合で大宮賢人も佐野雄城に仕掛け5番手までドロップした。その後方では3コーナーで鈴木斗輝哉が高橋悠之をパスし7番手に浮上した。4周目、高橋悠之が再び鈴木斗輝哉から順位を取り返そうとノーズを差し込む仕草を見せ、複合コーナーで飛び込んだ。それをブロックした鈴木斗輝哉は最終コーナーでコースアウトし順位を一気に落とした上、6周目の2コーナー先でストップした。
7周目、洞地遼大、佐藤蓮、清水啓伸のTOP3は皆ペース配分をしながら後方を引き離していく。4番手大宮賢人は単独になりつつあり、5番手争いは遠藤照剛、高橋悠之、平安山良馬、そこに30番手スタートから一気に上げてきた金子修、渡部智仁、佐々木大樹、佐藤凌音、山越陽悠らが加わっていく。8周目の6コーナーで平安山良馬が高橋悠之をパスし、さらに9周目の6コーナーでも金子修が苦しい様子の高橋悠之をパスした。11周目の複合で平安山良馬が遠藤照剛をパスすると、そこで出遅れた遠藤照剛に対し金子修が1コーナーで迫るがこれは一歩届かず。しかし続くS字入口でインを刺して金子修が6番手に浮上した。一時単独となった4番手大宮賢人だが、13周目に平安山良馬が背中を捉えると、14周目の複合コーナーで平安山良馬と金子修がともに大宮賢人を交わしていく。15周目、9番手を走行していた渡部智仁がペースアップし1コーナーで高橋悠之を、更に16周目の1コーナーで遠藤照剛をパスし7番手まで浮上。また金子修のペースは非常によく、16周目のS字入口で平安山良馬をパス、そのまま後方を突き放して単独4番手となっていく。この時点でトップ3は大きく離れていた。
17周目、トップ3の中でも清水啓伸がじわりじわりと遅れを取り始めた。また遠藤照剛がペースを乱し一気に順位を落としている。ジリジリと各車の間隔が開いていく中、19周目に13番手付近を走行していた遠藤照剛と佐々木大樹が6コーナーで接触したか2台同時にストップ、リタイアとなる。22周目にはトップ洞地遼大と2番手佐藤蓮が付かず離れず、ただほんの僅かにマシンを滑らせる洞地遼大に対し佐藤蓮はアクセルの入れるポイントなどによりタイヤマネジメントを徹底している様子が見える。そこから遅れて単独の清水啓伸、同じく単独の金子修、5番手争いが平安山良馬、渡部智仁、半田昌宗の3人、更に離れて高橋悠之、山越陽悠、野村勇斗という順になっている。高橋悠之はペースが悪く24周目までに山越陽悠と野村勇斗にパスされた。
26周目、ここまでトップ洞地遼大に付かず離れずの間合いで付いていた佐藤蓮がついに遅れを見せ始めた。27周目に5番手平安山良馬が前周の最終セクションで仕掛けられたか1コーナーで渡部智仁をブロックするが、渡部智仁は3コーナーで平安山良馬のインを刺して5番手にあがった。さらに7番手半田昌宗を山越陽悠が6コーナーでパス、続く28周目の6コーナーでも山越陽悠は平安山良馬を交わし6番手に浮上した。このとき2番手佐藤蓮は完全に洞地遼大についていくことができなくなり、洞地遼大は単独トップとなった。29周目に野村勇斗が半田昌宗をパスし8番手に立つ。そしてファイナルラップが消化され、最終戦にチェッカーフラッグが振られた。
トップは序盤でトップを取り返して以降譲らなかった洞地遼大、2位に佐藤蓮、3位に清水啓伸、以下金子修、渡部智仁、山越陽悠、平安山良馬、野村勇斗、半田昌宗、斎藤愛未がトップ10でフィニッシュした。
1位 洞地遼大
後方から迫る佐藤蓮のプレッシャーを感じ続けましたが、それに負けずに走りきれて本当に良かったです。第9戦ではスタートに課題がありました。今回も1台抜かれはしましたが、そこから落ち着いて抜き返すことができました。1~2コーナーなどタイヤが減りやすい場所を抑えながら走りつつ、ある程度速く走ることを意識してペースコントロールをしていました。またシャーシセットも柔らかめにして、多少スライドはありましたが後半に対してのマージンも作っていました。このセットは自分だけが乗りこなす事ができていたので、そこが勝因でした。初優勝できてすごく嬉しいですが、第9戦で優勝できなかったためにチャンピオンを逃したことは本当に悔しいです。来年は更に強くなってレースに挑みます。
2位 佐藤蓮
自分はだいぶリアのスライドを抑えて、アクセルのポイントも遅めにして終始マネジメントをしていました。しかし柔らかめのセットアップをしていた洞地遼大に対し僕は少し固めにしていたのですが、それが後半での差になりました。セッティングをこの低温コンディションにアジャストしきれなかったことに反省しています。しかしスポット参戦で2戦連続表彰台を獲得できたことは素直に嬉しいです。ラストはもう洞地遼大に追いつくことは不可能だと感じましたが、これは今まで同じタイヤを履く中で初めて感じました。また機会があれば参戦したいですね。
3位 清水啓伸
僕はもてぎがあまり得意ではないので、前半で仕掛けてトップに立ち、後半でブロックする作戦を取っていました。しかし佐藤蓮のコーナリングスピードが壁となり、そこでタイヤを使ってしまい、勝負権を失ってしまいました。中盤にトップ2についていけなくなって以降はコースアウトしないように、ペースを一定にして、後は佐藤蓮が洞地遼大をパスするのを待っていたのですが、結果的にはどうしようもありませんでした。練習走行からロングに課題があり試行錯誤しており、この決勝でもこれまでに試したセットを組み合わせてベストと思われるものにしたのですが、あと一歩が足りませんでした。もてぎへの習熟度がトップの2人より劣っていたことが、この差を生んだのだと思います。