大粒の雨がぽつぽつと降り、ほんのわずかに路面に水滴が乗り出したころ、KF1回目の予選が開始された。多くのドライバーがTTで使用したドライタイヤを選択する中、唯一レインタイヤを装着してダミーグリッドに並んでいたのは27西村。途中で雨が強くなった場合に一気に有利に立つのは彼かもしれない状況の中、9高橋はグリッドに並んでいなかった。
1回のレースディレイドを挟みレッドシグナルが消灯し、レーススタート。トップに立ったのは31三宅であった。その後ろに4朝日、34角田が続く。しかしながらどうやらスタート直後に調子がよさそうなのはDL勢であった。27西村は2周目にしてピットイン。4朝日、34角田は31三宅をパスし1、2位に立つ。どうやらBSタイヤの調子が悪そうだ。31三宅を含めBS勢のタイムがDL勢よりも伸びない。そんな中絶好調で走る2名がいた。YHを履く12小高と21三村である。12小高が3周目にして3位に浮上。トップ2台はそれぞれすでに独走態勢を気づく中、3位争いは12小高、18菅波、2澤田、21三村と続く。12小高が集団の先頭で後方を抑えながら走行していた時に18菅波がヘアピンで12小高に仕掛けた。しかし直後に2台は接触。18菅波はスピンしてしまいその周でピットイン、12小高も最後尾まで落ちてしまう。その混乱に乗じて2澤田が3位に浮上し、11名取、21三村がその後ろにつく。7周目、雨はかなり弱まってきた。ほとんど降っていないといってもいいだろう。その頃にようやくBS勢が伸びてきた。21三村を30太田がパスし5位に浮上。YHは走行により路面温度が上昇したためかかなりきつくなってきたようだ。21三村のペースが上がらない。トップ1、2はすでにクルージング。している中、ファステストを更新するのは3宮田であった。8番手にいた3宮田は前走車のスリップストリームを利用しどんどんタイムを伸ばす。13周目、1~3位がDL、4~7位がBS、そして8位のDL3宮田の構図。7位を走っていた31三宅が16野中をパスし6位に上がると、続いて3宮田も16野中をパス。各車微妙な距離感を保ちつつ周回が消費されていき、最終ラップで31三宅が30太田にテールトゥーノーズになった状態でチェッカーフラッグが振られた。
1位 朝日ターボのコメント
スタート直後に前方に出ることで、安心して走ることができました。ロングディスタンスに問題は全く感じていなかったので、後方に追いつかれたとしても自分のペースで走ると決めていたのですが、追いつかれなかったので1.5秒ほど2位との感覚が開いた段階でクルージングしつつ差をキープしました。スタート前のウォーミングラップで路面の状態をチェックしていたので自信をもってスタートを切れたのと、前半はDLのほうが温まりが速かったのがいい結果につながりました。決勝でフルプッシュできる状態になることを考えて予選を走ったので、決勝ではかなり勝てる雰囲気を感じています。
2位 角田裕毅のコメント
スタートはとてもうまくいったので、そのあとに朝日君に追いつこうとプッシュしたのですが、朝日君が速かったことと引き離したこと、もちろんタイヤの温存も考え後半はクルージング走行をしました。雨の影響はほとんどなく、頭には入れていましたがドライビングを気にするほどではなかったです。ただ、決勝で雨が降ると、タイヤテストで僕自身があまり調子が良くなかったので不安が残ります。ドライならば、摩耗ももてぎの時のようなことはないと練習中に結果が出たので、安心してプッシュし続けられると思います。
3位 澤田真治のコメント
正直かなり雨に助けられた面がありました。フォーメーションラップで路面状況をチェックしたおかげで序盤に3位に上がれたのですが、後半完全にドライになった時にはペースが苦しく、タイヤに気を使うほど余裕がありませんでした。昨日の午後も路面のゴムが温まった際にタイムを伸ばせなかったので、不安があります。路面が冷えているとYHが、温まるとBSが有利なようで、僕らのDLはちょうどその中間だと把握しています。このままドライが続けば苦しい決勝レースとなるかもしれません。さらに雨でもあまりタイヤがいいとは感じていない上に、ドライビング面でもあまり自信が強くありません。決勝レースはレース展開に合わせて乗り切るしかないでしょう。