2024年10月13日に鈴鹿サーキット南コースで行われたGPR/全日本カート選手権OK部門最終戦にて珍事件が発生した。前年度GPR OKクラスチャンピオンである鈴木斗輝哉が、レース直前に決勝レースに出場できなくなった。
昨年のGPR OKチャンピオンである鈴木斗輝哉は約1年ぶりにGPRのレースに参加し、午前中に行われた第9戦では見事に優勝を決めてみせた。当然午後からの最終戦でも素晴らしい走りを見せてくれるのだろうと期待したその時、事件は起きた。「鈴木斗輝哉がゲートクローズに間に合わなかった」というニュースが、ダミーグリッドに響き渡ったのだ。
全日本カート選手権では「ゲートクローズ時刻」があり、予選・決勝ヒートのスタート時刻から数分前(GPRの場合は7分前)までにパルクフェルメのゲートを車両が通過しなければレースに出走できないと定められている。ゲート通過後は工具を使った一切の作業が禁止されるが、ゲート前では車幅を測るなど簡単な検査が行われるため、大抵の参加者はある程度時間に余裕を持ってゲートを通過するのが通例となっている。
ゲートに並んだ鈴木斗輝哉のマシンには、あろうことか必需部品であるインテークサイレンサーが取り付けられていなかった。そもそもマシン上にインテークサイレンサーが無かった。ゲートを通過する直前にそれに気づいたチームスタッフは部品を取りにパドックまで走ったが、この日の鈴鹿南コースのパドックは西パドックに用意されており、部品と工具を取るにはどうしても時間がかかる。そしてゲートクローズ時間がやってきて、鈴木斗輝哉はピットロードの向こう側へ閉じ込められたのだった。
最高峰カテゴリーであるOKエンジンに使用されるキャブレターは、モデルによってはじわじわと燃料が垂れてしまうものが存在する。このため、インテークサイレンサー内に燃料が溜まるのを嫌い、ゲートを通過する直前までインテークを外しておく場合が多い。恐らく鈴木斗輝哉も同様の狙いでインテークを外しておいたのだろう。しかしまさか付け忘れるとは…。1年ぶりに出場したチャンピオンが起こした珍事件だった。