OTK Kart JapanはOTKカート用の新型ステアリングナックル「HST4」を今年5月末に発売した。これはタイロッドの取り付け位置を4個所から選べるようにしたもの。
6月15日にモビリティリゾートもてぎにて行われたGPR/全日本カート選手権OK部門では、YAMAHA MOTOR Formula Blueの3台のEXPRITがこの新型ナックルを装着していた。

左右の前輪の舵角差=アッカーマンジオメトリー
タイロッドの取り付け位置が標準よりもキングピンから遠くなると、テコの原理からハンドルが軽くなる効果が得られる。が、このナックルの真の目的はそこではなく、アッカーマンジオメトリー(左右の前輪の舵角差)の変更にある。
一般公道を走る車においてアッカーマンはディファレンシャルギアと同様に重要な機構だ。タイヤを滑らせずに定常円旋回する時、アウト側のタイヤはイン側のタイヤよりも半径の大きい円を描く。故にアウト側のタイヤはイン側のタイヤよりもステアリング舵角が少ないほうが、転がり抵抗が少なくタイヤの摩耗も抑えられる。一般公道を普通に走る場合、スムーズな旋回にアッカーマンジオメトリーは欠かせない。
ところがレーシングカートのようなレーシングマシンの場合は話が変わってくる。一部のレーシングカーはあえてアッカーマンをゼロ(左右の舵角差が無い=パラレルジオメトリー)にする場合もあるという。これは最大グリップを得るためにはむしろタイヤが若干滑っている方が都合が良いためであったり、アッカーマンが邪魔になる場合もあるからだ。例えばドリフト競技の場合は、パラレルにしてフロントタイヤの転がりを重視することが知られている。
YAMAHA MOTOR Formula BlueとTEAM EMATYの試み

YAMAHA MOTOR Formula Blueは土曜日の練習走行時、佐藤佑月樹・金子准也・横山優之介が乗る3台のマシンでそれぞれタイロッド取り付け位置を変更して走行を重ねていた。タイロッド取り付け位置を変更するとタイロッド長の調整も必要になるので、これは非常に効率の良いテストの方法だ。
そして実は、特注品のステアリングナックルを使用してアッカーマンを調整していたチームが存在した。それがTEAM EMATYだ。