2016全日本カート選手権鈴鹿 タイヤメーカーインタビュー

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ついに今年の全日本カート選手権も最終戦を迎えた。テクニカル&ハイスピードな鈴鹿サーキット国際南コースでは、金曜日の日中は気温が上がり夏日となったが、さすがに夕方になると一気に気温が下がり季節が秋だということを強く実感させられた。女心と形容されるほど秋の空は移り気だが、今週末も再び天候の変化に振り回されることとなるのか、それとも安定した週末を送ることができるのか。さて、今回がシーズンの最終戦ということで、タイヤメーカー各社はより一層の気合を入れてここ鈴鹿に来ている。今シーズンの集大成ともいえるタイヤはいったいどのようなものなのだろうか。

目次

BRIDGESTONE「僅差の印象」

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Paddock Gate 藤松 楽久(以下藤松):前回のSUGOではBSユーザーである佐々木大樹選手の2連勝という結果を得ることができましたが、反面かなりきわどいところでの優勝だったように思います。BSから見て、前回のレースはどのように思いますか?

BRIDGESTONE 本田 真悟(以下本田):おっしゃる通りで、ギリギリのところでの勝利でした。しかし、2連勝という結果が残ったことは非常に大きなことです。さらにウエットで上位をBSユーザーで占めることができたので、自分たちの努力や試行錯誤の方向性に間違いがなかったことが証明されました。このことは我々にとってとても良い出来事でした。

藤松:瑞浪でのレインタイヤの失態からわずか3か月、パターンも新型となり、かつあのような素晴らしい結果を収めることができたのは、さすがはBSだなと感心しました。

本田:パターンに関してはいくつか考えた中で最良と思われるものを形にしました。さらに、パターンが変わったことから、タイヤのパッケージ全体への見直しも行いました。

藤松:ただ、雨量が増えた時の性能はYHに一歩劣っていた、そのことが明白なレースでもありました。

本田:雨量の増加への対応ができなかったというよりも、あちらのほうが雨量の多い場合にマッチしたタイヤだったのではないでしょうか。雨量が多い場合への対応にはまた違ったアイデアがあるのですが、SUGOに関しては一般的にありうるコンディションを想定したタイヤを持ち込みました。もちろん、コースや状況により少し外れたりすることもあり得ますが、過去の開発データからSUGOに合わせて細かな調整を行っていますが。その結果として、BSのタイヤが他社よりも優れていたという結末を迎えることができました。

藤松:今回の最終戦の舞台となる鈴鹿サーキット国際南コースは、BSから見るとどのようなサーキットなのでしょうか。

本田:前回のSUGOとは異なり、コーナリングしている時間はあまり長くありません。S字の切り返しなどがありますが、一つ一つは短く、一番長いコーナーでも25R(※S字の最後にあるコーナーの通称)ぐらいです。とにかくその距離のわりに曲がっている時間が短いという印象です。ただ、ここ数年はタイムを出すのにも苦労しています。この原因を追究し、どのようにすべきなのか考えてました。コースそのものに対しても研究を行い、新たな発見もありました。

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藤松:佐々木大樹選手が、事前のテストではあまりいい手ごたえを得ることができなかったが、BSの開発能力の高さに期待している、というコメントをしてくれたのですが、金曜日の現時点で手ごたえはどうでしょうか?

本田:テストでのコンディションとレースでのそれは同じではないため難しいところがあるのですが、テスト中にレースで使えそうなものがいくつかありました。これらを組み合わせて今回のタイヤを作ってきました。今のところ、全体的に僅差だという印象があり、この先に進んでみないことにはどうなるのかわかりません。天気は涼しくなる傾向のようですが、中には雨予報もあるようなので、コンディションの変化に合わせられることが結果につながるのではないでしょうか。

 

DUNLOP「チャンピオンへの気合」

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藤松:SUGOは残念な結果に終わってしまいましたね。瑞浪のレインレースでは調子が良かっただけに、いったいどうしてしまったのだろうと驚いたのですが、何が原因だったのでしょうか。

DUNLOP 大小瀬 求(以下大小瀬):瑞浪のレースや茂原のTTは結果出すことができましたが、ではSUGOではどうするのかとなったときに、現状ではDLの持つ知恵や技術、そしてそれらの見極めが足りていませんでした。それがあの形となって現れました。これは隠しようのない事実です。SUGOで我々は長年勝てずにいるため、気合を入れて臨み、実際にドライとなったTTではトップタイムを出すなどポテンシャルがあっただけに決勝が楽しみでした。しかし翌日には天気は雨となり、ドライでのガチンコ勝負とはなりませんでした。もちろんドライのレースだけがレースではありませんが、少し残念で、広い意味でコンディションに対応するだけの実力が不足していた、そのように捉えています。

藤松:DLは鈴鹿サーキット国際南コースをどのように見ていますか。

大小瀬:他のコースに比べるとストレートが長く、そしてコース幅もあります。しかしその割にコーナーを1つミスしてしまうと尾を引く、そのようなコースだと思います。しかし、DLにとってはこの鈴鹿南コースはそれほど特殊な存在ではありません。2012年以降、鈴鹿ではずっと勝ち続けています。これはつまり、鈴鹿に対してのタイヤの価値観が的を得ていることを証明しています。一番重視しているのは3コーナーから25Rまでの区間で、ここをいかに抜けるかが大切です。全体のタイムに効いてくるだけでなく、あの区間で滑ってしまうと、ほかの区間がほぼストレートとなっているだけに、やたらとタイヤがなくなってしまうのです。安定したレースをするためには、3コーナー~25Rまでの区間の攻略が大切です。

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藤松:勝ち続けていることで鈴鹿への強い自信があると思いますが、金曜日の現状での手ごたえはどうでしょうか。

大小瀬:鈴鹿に対するタイヤの方向性には自信を持っており、その哲学にのっとったタイヤを準備してきました。タイヤも進化していて、現状では思っていた通りのいい手ごたえを掴んでいます。ただ相手がいることなので、結果となるとどうなるのかはわかりません。我々は手ごたえを感じていますし、ドライバーもチャンピオン獲得への気合が入っています。今回のレースで負けることはできません。

 

YOKOHAMA「明るい兆しが見える」

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藤松:SUGOの1レース目の途中までYHの優勝を信じて疑わなかったのですが、あと一歩のところで逃してしまう惜しいレースでした。また、水量の増減に振り回されたレースでもありましたし、三村壮太郎選手の2レース1セット作戦という前代未聞のこともあり、いろいろと話題に尽きないレースでもありましたが、今一度振り返ってみるとどのような週末だったのでしょうか?

YOKOHAMA 内藤 充(以下内藤):実は1レース目での小高一斗選手のスピンにより車に不具合が発生してしまって、それが2レース目でも残っている状態でした。もし不具合がなければ2レース目勝つことができたのではないだろうかと思っているだけに悔しい週末でした。また水量によって他社との違いが明白に見え、特に1レース目では増加した降雨量に助けました。逆に2レース目は水量が減ってしまい、もうわずかに高い温度でゴムが対応できるべきだったという問題も見えました。そしてBSの、瑞浪からのSUGOまでのわずか3か月での改良という早さやパターンの変更など、実力や体力の差を強く感じるレースでもありました。レインタイヤでの優位性があり少し安心していたところもあったのですが、やはり気が抜けない状況にあるのだと再確認しました。三村選手のタイヤ無交換作戦ですが、これは一か八かで行きました。予定ではもちろんもっと持つはずだったのですが、水量の減少によりそううまくはいきませんでした。テストではUSEDのほうが調子が良かったのですが、最後の最後までは持ちませんでした。

藤松:YHにとって鈴鹿サーキット国際南コースはどのようなコースですか?

内藤:ここ鈴鹿では、今まで鳴かず飛ばずの結果となっています。今までは特に、変化の大きいゴム路面に苦しめられてきており、さらに去年からは一発のタイムすら出なくなってしまい、苦手意識があります。特に3~4コーナーという最も負荷がかかるところが鬼門となっていました。

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藤松:それは改善できているのですか?

内藤:もちろん努力してきました。前回のSUGOでドライコンディションでの課題が出たため、その結果を踏まえてテスト用タイヤを作ったのですが、残念ながらテスト時ではあまりいい結果を得ることができませんでした。これをコンパウンドだけでなく構造も見直し、テストで出たネガティブな点を修正してきました。現時点でフィーリングはよさそうで、テストでのネガや今までの悪い兆候も消えています。前進が見られ、タイヤの方向性が見えてきました。明るい兆しがあり、いい結果を期待できそうです。

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