本日2022年12月1日に新型SLタイヤとなるDUNLOP SL22がリリースされました。これはヤマハモーターパワープロダクツ株式会社が住友ゴム工業株式会社へ開発/製造を依頼した新型のSLカートミーティング向けタイヤで、従来品であるDUNLOP SL9と比較して、
- ドライバーの技量をタイムに反映するローグリップ化
- 長期間の練習走行に耐えるロングライフ化
- コントロール性能向上による旋回時のステアバランスを改善
- 走行後の時間経過による性能低下を抑制する性能持続性の向上
を図っているそうです。
と言われても、2017年~2022年まではYAMAHA SSクラスはBRIDGESTONE SL17が指定タイヤだったので、僕らユーザーからすればSL17とどう違うかのほうが知りたいところ。そこでPaddock Gateではヤマハモーターパワープロダクツ株式会社の協力を得て、リリース前のSL22をテストしました。
今年いっぱいでBRIDGESTONEとYOKOHAMAがカートタイヤから撤退することで、未来を支える国産タイヤメーカーはDUNLOPただ一社となってしまいました。YAMAHA×DUNLOPの作る、日本カート界において最もベーシックな物になるであろうこのタイヤは、どのような性能を発揮するのでしょうか?
DUNLOP SL22の外観とサイズ
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SL22の商品画像が出てきたときから「やたら四角く見えるな」と思っていたのですが、実際のSL22もかなり角張ったタイヤでした。SL17が比較的丸みを帯びていたこともあり、なんだか少し懐かしさがありますね。またサイズも幅広さと外形の小ささが気になります。なので新品のSL17と共に、タイヤ単体での各部のサイズを測ってみましょう。ちなみに表記上のサイズは(表記方法に違いはありますが)どちらも同じであり、フロントが10×4.50-5、リアが11×7.10-5となります。
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DL SL22 | BS SL17 | |
---|---|---|
F 幅 | 138mm | 135mm |
F 外周長 | 790mm | 821mm |
F 外形 | 247mm | 260mm |
F 重さ | 1158g | 1185g |
R 幅 | 214mm | 189mm |
R 外周長 | 825mm | 860mm |
R 外形 | 262mm | 274mm |
R 重さ | 1670g | 1745g |
計算すると外形と外周長がいまいち合わないのですが、これは計測方法に難ありだったためです。特にSL22は単体ではトレッド面の中央部分が少し凹んでおり、トレッド中央で測ると外周長が若干小さめに計測されてしましました。なので細かい数値を正確に見るのではなく、比較として見ていただけると幸いです。
写真でも数値でも明らかな通りとにかくリアトレッドが広いSL22ですが、そんなことよりも外形の小ささが非常に気になります。前後ともに外形が12~13mm小さいので、単純に装着すれば車高が6mmほど下がることになります。またタイヤ外形が小さいということはつまり実質的なギア比がショートになるということなので、グリップ力次第ですがドリブンスプロケットを今より1~2丁は小さくしても良いかもしれません。重量もDUNLOPタイヤらしく少し軽いので加速が良さそうです。
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僕はタイヤ交換があまり得意ではないのですが、SL22はタイヤ脱着の難易度が高かったです。特にショルダー部分が固く、潰しても勝手に戻ってくるので装着は若干手間取りました。困ったのがリアタイヤを外すときで、小径で幅広なタイヤが今どきのローボリュームデザインなホイールに引っかかってかなり抜きづらかったです。ホイールとの相性もありますが、ハイグリップタイヤ以外で初めてタイヤ脱着工具が欲しいと思いました。
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サイドウォールにはローテーションの表示がありました。かつてのSL02やSL6には無かったはずなので少し意外です。DUNLOPの黄色いレターはタイヤの片側にしか無いので、ローテーション通りに装着すると車体左側にだけ黄色いレターが描かれる仕様となっていました。今回はすべてローテーション通りに装着してテストしています。
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ロット番号と思わしき刻印もあります。もしかすると50年後もレーシングカートで遊べることの証明かもしれません。
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ホイールに装着しても垂直に立ったサイドウォールが幅広さを印象付けます。
実走テスト
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さて、実走行でのテストに移りましょう。テスト車両はKT100SECを搭載したYAMAHA SS仕様のPAROLIN Le Mans。テストコースは大分県のソニックパーク安心院、ドライバーは筆者です。重量だけは安心院シリーズ規定に合わせて通常のYAMAHA SSより5kg重い150kgに設定しています。テストは11月20日と11月27日の2日間に分けて行いました。