皆さん、運動前にウォーミングアップ(準備運動)をしていますか?多くの方はイエスと答えるでしょう。では、なぜウォーミングアップをするのでしょうか。その目的については、はっきりと答えられない人も多いように思います。
また、プロアスリートが試合直前に息が上がるほどのハードなウォーミングアップをする光景を見たことがある人もいるでしょう。「これから試合をするのに、なぜきつい準備運動をするのだろう?疲れないのかな?」と疑問に思うかもしれません。
今回はウォーミングアップの目的と、その具体的な方法について解説していきます。
ウォーミングアップの目的は、体と心の準備
ウォーミングアップの目的は、これから行う運動(皆さんの場合はカートの運転)に向けて、体と心の準備をすることです。体の準備に着目すると、筋肉、反応力、持久力(代謝)3つを準備する必要があります。これらを達成するには、何をやるか、どれくらいの強度でやるか、という2つのことが大事なのです。
それぞれについて細かく見ていきましょう。
筋肉の準備
レーシングカートでは、シートに座った状態で体のおおよその姿勢が固定されます。しかし首や体幹を自分の筋肉で安定させないと、確かなハンドルさばきやペダルワークはできませんよね。
普段の生活で、体幹や首周りはカートレースほど強度高く使ってはいないはずです。これも、ウォーミングアップでしっかりと使える状態にしておかないと、ドライビングパフォーマンス低下だけでなく、ケガのもとにもなります。しっかりと使える状態にしておいてください。
全身を協調させたり、体幹を安定させるウォーミングアップエクササイズについて、いくつか紹介します。
フォワードランジローテーション
インバーテッドハムストリングス
ドロップランジ
ダイナミッククアドストレッチ
カーフストレッチ
フロントキープ片手上げ
サイドキープ片脚上げ
反応力の準備
カートレースでは、瞬間的な判断の速さと正確性が必要です。この反応力、普段の生活レベルのまま、急にカートレースに入って大丈夫なのでしょうか。
この反応力の速さと正確性は、一定の強度、例えば少しハアハアするくらいの運動をすることで高まることがわかっています※1。そうすると、カートの練習をする前のウォーミングアップでは、少しハアハアするくらいの運動(最高心拍数※2の70%くらい)をした方がよいですよね。
※1
参考文献:The effect of changes in cerebral blood flow on cognitive function during exercise
※2
最高心拍数は、おおよそ [220-年齢] で計算します。
20歳の最高心拍数は、220-20=200拍/分です。
20歳のウォームアップ時の心拍数は、(220-20)×0.7=140拍/分となります。
持久力(代謝)の準備
カートでは練習でもレースでも、高い持久力が求められます。その際に、できる限り血液のなかのヘモグロビンから酸素を筋肉に供給してあげる必要があります。血液から酸素を筋肉に効率的に供給するためには、少しハアハアするくらい(最高心拍数の70%くらい)の運動を事前にしておくことが必要なのです。
やはり、ある程度、強度の高いウォーミングアップは必要ですね。
以上、カートレース前に適切なウォーミングアップをすることで、少しでもパフォーマンスを高めた状態で臨んでください。