2026年6月28日のモビリティリゾートもてぎで行われたGPR/全日本カート選手権 OK部門第5・6戦は、ウエットコンディションのコースを元田心絆(YAMAHA MOTOR Formula Blue)が2戦連続での圧勝を見せた。勝因について「僕は雨が得意で、今回はうまくいきました」と元田自身は語ってくれたが、彼の独特なウエットドライビングはライバルから注目を集めていた。雨天を味方につけたルーキードライバーの走りをチェックする。 元田心絆のウエットドライビングテクニック 第6戦で表彰台を飾った元田心絆、三村壮太郎、佐藤蓮の3人の写真を並べて比較してみよう。 元田心絆 三村壮太郎 佐藤蓮 この3人で比べると、元田心絆は明らかにアウト側に体を寄せている。体を動かして外側に荷重移動させるのはレーシングカートのレインテクニックとしては一般的だが、タイヤのグリップが上がるほど一般的にやらなくなる傾向がある。それはわざわざそんなことをしなくてもタイヤのグリップが強いために曲がるから。特に現代レーシングカートはフレームの性能が高いため、昔ほどやらなくてもコーナリング出来るようになっている。 しかし元田心絆は3人の中で、というよりもこの大会に出場した19人のOKドライバーの中で誰よりも積極的に体を動かしていた。何よりもすごいのが、上の写真がもてぎのS時コーナーで撮影したものだということ。次のコーナーまでの間隔が狭いセクションでこれを毎周やるのは結構大変なはず。 そして彼の走りで何よりも特徴的な点が、体をものすごく前に動かすこと。ブレーキングし始めるポイントから体を前に出すため、雨にしては少なめなハンドル舵角でも簡単にインリフトを作り出すためコーナリング初期の旋回性がよく、結果コーナー全体を通してハンドルの舵角が極めて少ない。フロントタイヤが滑っている時間が短いとも言えるだろう。 過剰にも見える体重移動を行うことで、高速コーナー故に雨だと誰もカットしない3コーナーイン側の縁石を異常なほど跨ぎ、誰よりも最短距離でコーナリングをこなしていた。クリップポイント前後もリア荷重は抜け気味なためコーナリングの安定感は低いはずだが、無駄にリアを滑らせるような動きは見せない。 4コーナーの立ち上がりだが、まだシートと背中が離れている 驚くべきことに元田心絆はアクセルを踏んでいるはずのタイミングでもまだ体が前に出ている。単純なトラクションよりも外側のタイヤを使うことを重視しているのか、あるいはそれほどまでにフロントタイヤの手応えを意識しているのか。どちらにしても立ち上がりでこれをやるには、パワーのあるOKエンジンでは特に繊細なアクセルワークが必要とされるはず。元田心絆のヨーロッパで鍛えた低ミュー路面へのドライビングが活きているのかもしれない。