【2018全日本カートもてぎ】タイヤメーカーインタビュー【OK】

ついに2018シーズンのオートバックス全日本カート選手権OK部門が開幕。まだ4月末であるにもかかわらず、ここツインリンクもてぎは春を通り越して夏の陽気に包まれつつある。現時点で確認する限り日曜日の最高気温は29℃との予報が発表されており、すでにサーキットでは半袖シャツで過ごす人が大半という異常気象である。

この状況の中で木曜日・金曜日と行われた練習走行では、どうやらYOKOHAMA勢の調子がいいらしい。聞こえてきた限りでは、YOKOHAMAトップが35.8秒、続いてBSトップが36.0秒、そしてDLトップが36.2秒との情報が入ってきている。どうやらこのオフシーズンに大幅なアップデートを施したというYOKOHAMAタイヤだが、Paddock Gateの予想通りこの開幕戦ではYOKOHAMA旋風が巻き起こりそうだ。しかしながらニュースはそれだけではない。BRIDGESTONEは開発担当者が変更になり、組織の中に若く風が入ってきている。一方でDUNLOPも開発体制の強化を行い、前年投入した大径タイヤを確実なものにしようとしている。勝利の女神はいったい誰に微笑むのか。タイヤメーカー3社にインタビューを行った。

BRIDGESTONE「技術の進歩が見えた」

Paddock Gate 藤松楽久:今シーズンから、BSの開発主任が本田さんから中井さんに変わりましたが、中井さんはレーシングカートにどのような印象を抱きましたか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:まず第一に、思ってたよりずっと速いなと思いました。見た目は小さいけども中身は本物のレーシングカーなんだと。同時にマシンがシンプルなので、タイヤの重要性が非常によくわかるカテゴリーだとも感じました。また以前担当していたSuperGTの現場では、タイヤ開発チームの組織が大きく、自分が関われる範囲は開発の中でも一部分でした。しかしレーシングカートの現場では、タイヤを作り、ドライバーからコメントを聞き、またそれをもとにタイヤを作る、という流れすべてに関わっていくことになるので、やりがいと責任を感じています。

藤松:中井さんはつい最近開発主任になられたばかりだということですが、自身初の全日本カート選手権となる今回に対してはどのようなことをやってきたのでしょうか?

中井:正直なところ、私がタイヤ開発者として関わっていくのは次回のレースからになります。今回のレースで使用するタイヤは前任の本田が作り上げたもので、今回はそれをどう生かしていくかが私の仕事になります。

藤松:ではその本田さんが作り上げた今回のタイヤは、どのような方向性で開発されたのでしょうか?

中井:昨年のもてぎでは耐久性に課題があったので、今回はライフに振った方向で持ってきました。特にコンパウンドの開発担当者が去年の反省を生かし改善を行ったのですが、木曜日・金曜日と走ってきて、ロングディスタンスでのタイムの速さと安定性が確保されており、昨年のような問題は解消されたことが確認できています。また少しソフトな方向で作ったものでも摩耗状態が良好だったので、我々としても技術の進歩が見えました。

藤松:では今回のレースはどのような展開になりそうですか?

中井:我々のタイヤはタレも少なくウォームアップもいいので、最初に逃げて、そのまま逃げ続けるレース展開ができればなと思います。他社に比べても優秀なドライバーが我々にはいますし、もちろんタイヤの出来も良好です。勝つことを信じて開発を行っているので、必ず優勝します。

DUNLOP「熟成を重ね、正常進化した」

Paddock Gate 藤松楽久:昨シーズンは、特にシーズン後半から前例のないようなチャレンジをDUNLOPは行いましたが、あれにはどのような意図があったのでしょうか?

DUNLOP 大小瀬求:全日本カート選手権を戦ううえで、我々もチームもドライバーもそれぞれが一生懸命にやっています。その一方でレーシングカート用のタイヤはとてもシンプルなので、技術としてはかなり出来上がっちゃってる部分がありました。そこでもう一段ステップアップするには、常識を壊す必要があるのではないかと考え、それを実行しました。そのようなチャレンジングな開発を行うことができたことには手ごたえを強く感じました。ただ、その一方で前例のないことだったので生みの苦しみがあり、ユーザーには楽な戦いをさせてあげられなかったことは反省点としてあります。結果から言えばチャンピオンを獲得できたので、チャレンジと成績を両立できた点に関してはポジティブにとらえています。

藤松:例年もてぎでDUNLOPは勝率が悪いですが、もてぎへの不得意さには何か原因が見えているのでしょうか?

大小瀬:私としては、もてぎが不得意だなぁとしみじみと思ったことはありません。確かに、ここ数年の結果を見るといまいちではありますが、個人的には嫌いなサーキットではありません。ハイスピード&テクニカルなサーキットで挑戦し甲斐があります。ただその分だけ難しいサーキットだなとも思っています。

藤松:今週のもてぎはかなり気温が上昇するという予報が出ていますが、そこには対応できますか?

大小瀬:気温の変化に対しては、我々の中でのある程度のセオリーがあるので、それに基づいてやってきました。過去、グリップはあるけど耐久性が低かったり、逆にグリップはないけど耐久性が高かったりと、極端なものも含め様々なデータがあるので、そのバランスを考えちょうどいいところをついてきたものを持ってきています。

藤松:昨シーズンに大胆な改革を加えたDUNLOPタイヤですが、この開幕戦に用意したタイヤは昨年に比べると何か進化している点はありますか?

大小瀬:ざっくりいうと、昨年変更したコンセプトをしっかりと使いこなせるように熟成を重ねたことです。去年の最終戦のような飛び道具はありませんが、昨シーズンで収集したデータの中で悪い点をいかに打ち消すかを進めていきました。もちろんそれはまだ完全だとは言えませんが、確実に成熟、正常進化しています。全体的にパッケージとして成長していると言えます。

藤松:今週末はどのようなレースになりそうですか?

大小瀬:開幕戦ということもありますし、特にシーズンに弾みをつけるために絶対に勝つつもりでやっています。木曜日の時点では思った通りに行かなかった部分もあり混乱しかけましたが、それはそれで評価分析し、クリアになりました。開発チームと一緒にタイヤはもちろんそれ以外の部分も進化しているので、期待しています。

YOKOHAMA「戦えるタイヤになっている実感がある」

Paddock Gate 藤松楽久:三好さんは昨シーズンから全日本カート選手権の開発を担当することになりましたが、改めて振り返ると昨年はどのようなシーズンでしたか?

YOKOHAMA 三好雅章:特にシーズン後半にタイヤ開発が進み、他社に近づくことができました。ただ超えることはできませんでした。確かに昨年のもてぎはかなり惜しいレースではあったのですが、それゆえに我々のタイヤのコンディション変化へ対応するための幅の狭さが顕著に見え、まだまだ足りてないのだと痛感しました。そこでここまでのオフシーズンでは、その幅の狭さを解消すべくテストを重ねてきました。その方向性に間違いがなかったかどうかが、この開幕戦で見えるのではないかと思っています。

藤松:昨年のもてぎでは三村壮太郎が2位と3位を獲得はしましたが、他の選手の結果は良くなかったですね。

三好:高度なタイヤマネジメントができないと戦えないタイヤであった、ということが昨シーズンの課題でした。そのため三村にはとても助けられました。あの時のもてぎのレースでは佐藤蓮や野中誠太のタイヤマネジメントもすごかったので、逆にあそこで勝てなくてよかったのではないかとも思っています。今年につながるレースでした。

藤松:今週のもてぎはとても気温が高くなるとのことですが、ここで昨シーズンの課題が解消できたかが確認出来そうですね。

三好:はい。去年までのタイヤから進化してますが、それがどこまで使えるのか、高い路面温度への想定はしていますがそれがどこまで機能するのかはとても気になります。もちろんこれは我々はもちろん他社にも厳しいコンディションになるわけですから、冬の開発の成果が試されるでしょう。

藤松:現時点ではどのような感触がありますか?

三好:去年の高度なマネジメントを必要とするピーキーなタイヤというものから脱却し、様々なドライバーが使えることを目的に開発を行ったのですが、木曜日・金曜日と走ってきた現時点で悪いフィーリングはなく、この2日間のタイムもいいですし、戦えるタイヤになっているなという実感があります。ただやはり他社との差はあまりないですし、レースになってくると現時点で見えた優位性を保てるかは気になります。昨年のいい点悪い点は整理できましたし、オフシーズンのテストではさらなる発見をしました。よかったところを伸ばしていけば、ウエットはもちろん悲願のドライでの優勝もあり得ると思っています。今年は上位で戦えるはずなので、チーム・ドライバー・メーカーの3者で状況をよく考えて、一番の選択をしてレースに挑み、しっかりと結果を出したいです。

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