【2018全日本カート本庄】タイヤメーカーインタビュー【OK】

本庄サーキットについてタイヤ開発者に話を聞くと、メーカー間でばらばらの回答が返ってくる。コース特性に対する理解はどこも同じであるにも関わらず、開発思想の違いによるものなのか、開発の進め方は全く異なるものとなっているようだ。果たしてどのアプローチが最善なのか。技術者たちの思惑を探る。

DUNLOP「他のコースとは違った尺度で開発を行った」

Paddock Gate 藤松楽久:前回のもてぎでは皆木駿輔の活躍こそあれ、DUNLOP全体としてはパッとしない結果に終わってしまいましたが、どのような受け取り方をしていますか?

DUNLOP 大小瀬求:リザルトが全てですから、特にいうことはありません。ただ、その時その場所での結果が出なかったにしても、技術的な課題は抽出できました。あのレースでは、タイヤそのもののポテンシャルが備わっていなかった点と、運がなかった点、その両方がありました。しかし今となってはあのような結果に終わってしまった事実があるだけですので、あとはそこで見えた課題をクリアしていくのみです。

藤松:去年のもてぎで見えていた課題というのは解決できていたのでしょうか?

大小瀬:去年のもてぎでは絶対的なグリップ不足が顕著に出たため、今年はそこを改善することに努めました。ただ、結果としてはその高めたグリップをタイヤ全体で使いこなすことができませんでした。さらにコンディションも、そのネガティブな面が出やすい方向に変化していったため、あのような結果に終わったのだと思います。

藤松:本庄サーキットでのスペシャルタイヤレースは今年で2回目となるわけですが、去年と今年では何か進化した点はありますか?

大小瀬:去年のレースを通じて、この本庄サーキットでは他のコースとは違うポイントに課題があることが分かりました。コースレイアウト的にタイヤのスペックがタイムに影響しずらいのですが、なぜそういう現象が起こるのか?をよく考えました。今までの常識とはまた違った見方・尺度で開発を行わないとタイムに変化が起きないのではないか?と。そこをトライして開発を行いました。

藤松:ではその異なった見方で開発されたタイヤは、今回のレースに持ち込んだタイヤに体現されたのでしょうか?

大小瀬:スペックとしてはバッチリ体現することができました。もちろんそれは、1回目よりも2回目のほうが精度・性能が向上する、という当たり前のことかもしれませんが、少なくとも狙っている通りのタイヤができたことは間違いありません。テストでもいい方向性が見えているため、前向きにとらえています。これがどういう結果になるのかは非常に楽しみです。

YOKOHAMA「ストレートスピードを意識してきた」

Paddock Gate 藤松楽久:開幕戦のもてぎではついにYOKOHAMAタイヤ初のドライコンディション優勝を獲得しましたね。

YOKOHAMA 三好雅章:思っていたよりも出来すぎたレースだったなというのが感想になります。第1レースの決勝こそ佐々木大樹にやられましたが、そのほかのヒートは常にトップでした。想像以上の実力が発揮されたことであのような結果がついてきたのですが、それにしてもまさかあそこまで行くとは思っていませんでした。オフシーズンのテストでやってきたことの成果が出てよかったです。しかし、やっと勝てたあのレースは一つの区切りです。あのレースはフェイクじゃないのだと証明しなければなりません。今後のレースへのハードルが上がったなと感じました。

藤松:去年は初の本庄サーキット開催となり、YOKOHAMAは他社に比べて一歩劣るかなという結果に終わりましたが、去年の課題はなんだったのでしょうか?

三好:去年の我々の問題として、ストレートスピードが劣っていたなという印象が大きいです。コースレイアウトはストップ&ゴーでかつ直線が長いので、高い速度が出せることが重要です。そこを重点的に改善してきたので、レースでそこを確認したいです。

藤松:DUNLOPは、「本庄はタイヤのスペック差が出ずらい」と言っていたのですが、YOKOHAMA的にはどうですか?

三好:そこまで出ずらいコースではないと思います。うちのタイヤはタイムに構造・コンパウンドのスペック差が反映されています。本庄はタイヤにやさしいサーキットのためコンパウンドはソフトに振り、そしてカートコースではないでコンディション変化が大きいことを意識して開発を行っています。

藤松:その開発方向は現状で正しい方向に向かっていますか?

三好:向かっています。ストレートスピードとコース特性を考慮してコンパウンドをチョイスしました。前回のもてぎの結果を維持し続けられるように、昨年以上に力を入れて開発を行っていますので、必ず勝ちます。

BRIDGESTONE「タイヤに関する不安要素はない」

Paddock Gate 藤松楽久:中井さんは前回初めて全日本カート選手権のレースに携わりましたが、どのような感想を抱きましたか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:事前にいろいろ聞いてはいましたが、レースに対してタイヤの差がはっきり出るのだなということを肌で感じました。だからこそドライバーはかなりシビアにタイヤについて考えますし、こちらとしてもしっかりとタイヤを作らねばならないのだなと自覚させられました。レース事態はYOKOHAMAのほうが一発も耐久性もよく、これは本来であれば相反する性能であるはずです。それがBRIDGESTONEよりも上ということは、タイヤとして負けているのだなと強く感じました。またカート界のの常識もわかってきました。これまでいたSuperGTの現場とは異なり、ドライバーは特に摩耗について強く気にしています。そこを意識して開発をせねばならないですね。

藤松:去年の本庄は各メーカーにとって初めてのサーキットであったため、どの開発者も手探り状態でタイヤを作っていたように感じました。今回のBRIDGESTONEのタイヤは去年の課題を解決できたタイヤになっているのでしょうか?

中井:正直なところ、私はこの本庄サーキットのテストとタイヤ生産に、配属された時期の関係で関与できていないため、具体的なところはわからない、というのが回答になります。ただ、もちろん前任の本田がテストを担当しましたし、コンパウンドも去年の反省を生かして開発したので、改善しているはずです。今年は去年よりも少し暑いぐらいの予報なので、タイヤに関しての不安要素はありません。

藤松:去年の本庄ではBRIDGESTONEだけが特に縦方向を意識したタイヤを作ったのではないか、というように我々はとらえたのですが、その方向性に変化はありませんか?

中井:昨年と方向性は変わっていません。ただ、構造的にはコースによって使い分けるというよりも、ほかのサーキットでも速かったものをここでも使っている、というのが事実です。ゆえに開発方向は同じです。金曜日のセッションまでを見たところ、タイム的な優位性は今のところあるようです。ただ、それは今後ラバーが乗っていったときにどうなるかわかりません。重たい路面になったときの悪影響がこちらに出るのか、はたまた他社に出るのかは心配です。そういう点では安心はしていませんが、負ける気もありません。

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