BS中井佑輔「結果が出ることは予想していた」【2018全日本カート茂原】

2018全日本カート選手権本庄大会では、BRIDGESTONEタイヤは木曜日のレースウィーク初日からライバルよりも好調だった。決して他社に対してずば抜けて速いわけではないが、しかしユーザー全員がそこそこ速いという状況でレーススケジュールに突入すると、全てのセッションでBRIDGESTONEユーザーが上位を占めていった。レース中最も過酷なコンディションとなる第6戦予選ヒートでは一部のユーザーのタイヤがブローするという現象に襲われながらも、決勝ヒートでは再び速さを取り戻すという離れ業まで披露。この強さはどこから生まれてくるのか。勝利に沸くBRIDGESTONE中井佑輔氏にその秘密を聞いてきた。

Paddock Gate 藤松楽久:前回の本庄までは前任の本田さんが作ったタイヤということでしたが、今回からは中井さんが主導で作り上げてきたタイヤが投入されたんですよね。自分が作ったタイヤを履いたドライバーたちが第5戦では表彰台を独占、第6戦でもワンツーフィニッシュを獲得しましたが、今の心境はどうですか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:しっかりいい物を作れたのだという達成感と、強いやりがいを感じています。私が主導で開発したとはいえ、過去のデータを見て、今までの問題への対策を練ったタイヤを作ったので、ある程度結果が出ることは予想していました。しかし、今回は構造ももちろんのことながら、特にコンパウンダーがいい物を作ってくれたところが大きいので、データと新コンパウンドの相乗効果による結果だと考えます。

藤松:今回のBRIDGESTONEは練習走行の時から調子が良かったように見えました。過去のレースでは、練習走行で速くても、いざレーススケジュールが始めると形勢逆転する、ということも多かったのですが、そうならなかったのには何か理由があるのでしょうか?

中井:もし理由があるとすれば、テストでしっかりとデータの蓄積ができた、という点が大きいでしょう。事前のタイヤテストで高橋悠之や、レースには出場しませんでしたが佐々木大樹、そして津田耕治、井上寛之らがしっかり走って、ショートでもロングでも多くのタイヤを評価してくれました。それが今回の”練習走行からレースまで一貫して速さを維持できた”という結果に繋がったのではないでしょうか。

藤松:第5戦予選の直後に高橋悠之が「決勝ヒートの28周はテストでもこなしていない未知の領域だ」と言っていたのですが、例年以上に多い周回数でも戦えたのも、そのデータの蓄積によるものなのでしょうか?

中井:確かにタイヤテストの時は、テストドライバーたちに決勝ヒートの周回数を走ってもらっていませんでした。しかし一方で、タイヤテストではテストドライバーでないドライバーたちにも、テストタイヤではありませんが違うタイヤで走ってもらっています。しかもそれはテスト組と比較するとかなりの長距離になります。ですから「もしそのタイヤをレースで投入したら?」という比較も可能なのです。テストドライバーとは違ったところでまた別のデータが蓄積しているわけですから、あの長い周回数は我々にとって未知数ではなく、ある程度想定していました。

藤松:ところで、第6戦予選で一部のドライバーに発生したタイヤブローの原因はつかめていますか?

中井:もちろん原因は分かっています。しかし、レースではコンディション変化や、ドライバーの乗り方、使用環境の違いといった様々な要因があります。正直なところ、我々としても余裕を持ってタイヤを持ち込んでいるわけではありません。常に耐久力とグリップという背反をいかに攻められるか、という点を詰めていっています。第6戦予選だけを見れば、確かにちょっと攻めすぎてブローしてしまったのかもしれませんが、決勝まで通して見れば、問題はなかったのかなと思っています。そもそも茂原はタイヤに厳しいサーキットですし、加えて路面温度が非常に上昇することも分かっています。第6戦予選のタイミングは路面温度も高く、加えて新品タイヤでのレースということでタイヤに熱がこもりやすいため、他のセッションに比べると厳しくなるということは想定していました。その想定よりも少し上に行ってしまったためブローしてしまったという点については、我々の見込みが甘かったと考えています。しかし、タイヤを外してしまったというわけではありません。

第6戦決勝ヒート直前の高橋悠之のリアタイヤ

藤松:第6戦決勝後に、優勝した名取鉄平が「予選でブローしたタイヤでも、決勝ヒートがスタートした瞬間から意外と普通に走れたので驚いた」という話をしてくれたのですが、つまり予選ヒートの時だけタイヤのピークを越えてしまっただけなのでしょうか。

中井:そうですね。第6戦決勝は遅い時間にやることは分かっていましたし、第6戦予選だけを乗り越えれば、路面温度は下がりグリップが戻ってくるはずだと踏んでいました。なのでブローはしましたがそこまでの心配はしていませんでした。また、第5戦では路面温度が低くなった状況でYOKOHAMAタイヤが少しタレていたようだったので、レースに関しても心配はしていませんでした。逆に言えば第6戦決勝で佐藤蓮があそこまで走ったことは驚きでした。三村壮太郎や三宅淳詞が後半ペースを落としていく中、タイヤマネジメントをしつつあそこまでのペースで走り続けられるのは本当にすごいなと。ただ、そんなすごいドライバーに対して、ルーキーである山田杯利、森山冬星、水野皓稀らが我々のタイヤを履いて同じポジションで走れているのも事実です。彼らにはそこでドライビングテクニックを盗み、成長するチャンスがあると思います。そしてBRIDGESTONEで上位を独占できるよう、私も彼らと共に頑張っていきたいです。

藤松:次戦のSUGOは佐々木大樹が得意とするサーキットですが、昨年はDUNLOPタイヤを履いた佐藤蓮が2連勝した場所でもあります。茂原とはまた違った厳しさのあるサーキットですが、自信はありますか?

中井:もちろんあります。しかし、あぐらをかいて勝てるほどの余裕があるわけではありません。しっかり準備をして、やれることをきちんと全てやっていけば、勝てるコースだと考えています。今回以上の結果を目指しタイヤを開発していきます。

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