今シーズン最後のレースとなるOK第10戦は15:40から24周のレースにて行われた。昼前に発生した計測器のトラブルにより、本来のタイムスケジュールよりも20分遅れでのスタートとなったため、昨日行われた第9戦予選ヒートのときに近いスタート時刻となった。西日が雲に隠れ、気温もぐっと下がっている。2周のフォーメーションラップが行われ、最終コーナー手前まで各車がけん制しながらローリングが組まれ、そしてレッドシグナルが消灯した。
スタートと同時にぐっと前に出たのは#3名取鉄平だったが、ポールスタートの#23佐々木大樹は辛くも食らいつき1コーナーを最初に抜ける。3番手に立ったのは#81山田杯利、#1佐藤蓮はスタートと同時に中央にマシンを振ったが4番手、以下#24宮下源都、#4朝日ターボ、#7三村壮太郎、#25佐藤巧望、#43皆木駿輔、#27武井遥斗、#44水野皓稀の順となる。#2野中誠太はマシントラブルか、オープニングラップのS字でマシンをストップさせてしまった。後半の勝負にかけているのか序盤は大きな動きがみられないが、#23佐々木大樹が徐々に2番手以下を突き放してく。4周目、2番手争いがテールトゥーノーズとなり、3コーナーで#81山田杯利が#3名取鉄平のインをつこうとするがわずかに届かず。6番手争いの先頭に立つ#4朝日ターボに対し、#7三村壮太郎がヘアピンで、#25佐藤巧望が最終コーナーでかわしていく。また同周回に#95綿谷浩明と#28伊藤琢磨が最終コーナーで絡み、2台共に出口でストップしてしまった。
#7三村壮太郎は予選ヒートでタイヤを使いすぎたためか、特にリアタイヤが厳しい様子が見受けられ、6周目に#25佐藤巧望にパスされ7番手にドロップ。対し#25佐藤巧望は好ペースで少し前を走る#24宮下源都に対し追い上げをかける。また若干のマージンを気づいていたトップの#23佐々木大樹だが、7周目に#3名取鉄平に追いつかれ、その後ろの#81山田杯利、#1佐藤蓮らとともに4台によるトップ集団が形成された。好ペースで追い上げていた#25佐藤巧望だが、#24宮下源都に対しテールトゥーノーズまでもっていったものの、10周目付近から25Rでリアを滑らせるなど挙動が怪しくなってきた。またその後ろでは#7三村壮太郎、#44水野皓稀、#8高橋悠之による7番手争いが形成され、#8高橋悠之が徐々に順位を上げていく。
一時は等間隔状態となったトップ4だが、11周目に#81山田杯利のペースが悪化、2番手の#3名取鉄平との距離が少し離れた。そこで12周目の1コーナーでインを刺そうとする#1佐藤蓮だったが、パッシングには至らず。態勢を整えなおした#1佐藤蓮は同周回の最終コーナーで#81山田杯利をパスし3番手に浮上。また6番手の#25佐藤巧望に、#8高橋悠之を先頭とする7番手争いが追いついたため、#24宮下源都を先頭とする5台の5番手争いが形成された。#81山田杯利はトップ3のペースについていくことができず、徐々に単独状態となる。5番手争いは#8高橋悠之が制し、集団から一歩抜け出していく。
16周目、これまで様子を見るかのように走っていた#1佐藤蓮がペースを上げてきた。0.5秒差となっていた2番手#3名取鉄平のギャップをぐいぐいと詰めていき、翌周には完全にロックオン。後ろの#81山田杯利とは3.8秒ほどのタイムギャップが形成され、さらに後ろの#8高橋悠之も単独。6番t値争いは#25佐藤巧望と#44水野皓稀の2名となるが、#44水野皓稀が17周目の1コーナーでパスしこれを制した。18周目の3コーナーで#1佐藤蓮がマシンをインに振るが、パッシングはできず。しかしストレートスピードが伸びる佐藤蓮は、19周目の1コーナーで#3名取鉄平をかわし2番手に立った。さらに20周目のバックストレートでトップ#23佐々木大樹の背中を#1佐藤蓮が完全に捉えた。#23佐々木大樹の走りは安定しているものの、#1佐藤蓮と比べれば余力は少ないか。また4番手の#81山田杯利に対し#8高橋悠之が追いつき、そのままパスして4番手に浮上した。
20周目の最終コーナーでマシンをイン側に振った#23佐々木大樹に対し、通常ラインからコーナーに進入する#1佐藤蓮。二人のラインは交錯しつつも、1コーナーでイン側に並んだのは#1佐藤蓮だった。そしてトップに立った#1佐藤蓮に対し、22周目の3コーナーでインをつこうとする#23佐々木大樹だが、タイヤの限界が近いのかブレーキングを詰めることができずにパッシングできない。さらにホームストレートエンドでは#23佐々木大樹のエンジンからは異音がしているようにも聞こえた。二人のタイムギャップは23周目には0.3秒ほどに広がった。また3番手の#3名取鉄平はトップ2のペースについていくことができず離されてしまっている。
そしてラストラップに突入した。#1佐藤蓮の優勝がほぼ見えかけたその時、#23佐々木大樹が2コーナーで決死の飛び込みをしてイン側に並んだ。2台はサイドカウルを接触させながら2コーナーを並んで駆け上がるが、アウト側に追いやられた#1佐藤蓮が一歩引いたことで#23佐々木大樹がトップに返り咲く。これで#1佐藤蓮はわずかな遅れをとったため、残す勝負所は最終コーナーのみ。#23佐々木大樹がマシンをイン側に振って#1佐藤蓮をけん制。#1佐藤蓮はミドルラインからコーナーに進入。ここで立ち上がりからホームストレートをイン側を走ることで#23佐々木大樹の前を行こうとする#1佐藤蓮だが、#23佐々木大樹が全く同じ方向にマシンをぐっと寄せたことによって#1佐藤蓮は立ち上がりで詰まってしまう。ここでチェッカーフラッグが振られた。
最終コーナーの立ち上がりを完璧に抑えた#23佐々木大樹がシリーズチャンピオンを完全に抑え込み、2連勝・今期4勝目を獲得。2位は#1佐藤蓮が悔しさをにじませ、3位表彰台には#3名取鉄平が入った。以下#8高橋悠之、#81山田杯利、#21古谷悠河、#12森山冬星、#44水野皓稀、#25佐藤巧望、#7三村壮太郎がトップ10に入った。
1位 佐々木大樹
最後の勝負ポイントはあの2コーナーしかありませんでした。正直言って佐藤蓮はストレートスピードで勝っていたうえに、タイヤのタレも向こうのほうが余力がありました。佐藤蓮に抜かれた後に食らいついたのはもはや意地のレベルで、どうにかスリップが使えるギリギリの距離にいれるようにプッシュしていました。苦しかったけども、これまでのレースの中で一番嬉しかったです。最後の最終コーナーの抑えはラインの読みあいでした。カンの部分もありましたが、ピッタリと佐藤蓮を抑えることで優勝を手にすることができました。
今期出場した8戦中4戦で優勝しましたが、やはり全戦出場ができないのにチャンピオンが獲れるほど甘いレースではありませんでした。来年出場できるかどうかはまだわかりませんが、おそらく全戦出場できるでしょう。来年こそはチャンピオンを奪還します。
2位 佐藤蓮
悔しさでいっぱいです。まさか佐々木大樹が最後の最後に一勝負できる分を残していたとは、予想外でした。その点以外は考えていた通りのレースでした。YHの初動がBSに比べるとよくないので、最初は食らいついて行けさえすればOKだと考えていましたから。
チャンピオンを獲れたことは素直にうれしいです。しかし、マシンもタイヤも完璧な状態に仕上がっていたにも関わらず、自分が足りなかったせいで優勝できなかった、それが悔しいです。ラストラップの佐々木大樹は2コーナーでゴリゴリに来ましたし、シケインでもけん制してきました。最終コーナーの読み合いに負けたこと、最後はアウトに振ればよかったと反省すべき点もあり、とにかく悔しいです。
3位 名取鉄平
悔しいレースでした。スタートで前に出れたのは良かったですが、早いタイミングで佐々木大樹に先行されてしまいました。特に序盤は佐々木大樹のほうがタイヤの温まりがよかったために少し話されてしまいましたが、こちらのタイヤが温まってからは徐々に差を詰め、様子をうかがっていました。序盤は後ろに山田杯利がいたので、イメージ的には本庄のときのように2人で逃げて、最後のほうに勝負しようと考えていました。午前中の決勝レースでセッティングが少しずれていたことが分かったので、それを見越してセッティングを変更したのですが、結果的には裏目に出て、後半はリアタイヤが厳しい状況になってしまいました。さらにスケジュールが押したことで気温も予想外に下がってしまったので、それが大きく出ました。
2016年から最高峰カテゴリーで走り、一度もチャンピオンを獲れなかったことは悔しいです。しかし10年間乗り続けているBirelARTというブランドを背負ってレースができたことは幸せで、感謝でいっぱいです。少しでもBirelユーザーの希望になれたのであればうれしいです。
関連情報
https://paddock-gate.com/wp/7191/