新型PRD AVANTI-19をテスト!キャブの圧倒的な進化と、さらなる扱いやすさを確認

空冷のイージーメンテナンスと適度なトルクで人気のPRD AVANTIが2019年モデルでビッグアップデートを施されたことはすでにお伝えした通り。100cc時代のエンジンをベースとしていた腰下とキャブレターが一新され、さらなる扱いやすさと耐久性を手に入れた。

そんなPRD AVANTI-19を、CRG JAPANの協力によりPaddock Gateでは2018年12月にテストすることができた。今回はその模様と、テストで分かった新型AVANTIの実力についてレポートしていく。また、今回のテストは新旧エンジンの性能調整方法を探ることも目的として行われてたため、CRG JAPANの要望に沿った手順でテストを行っている。テストコースは鈴鹿サーキット国際南コース、マシンはAVANTIの車両規則に合わせ、タイヤはBS SL17を使用している。当日の気温は10度前後で曇りがちだった。

キャブレターの進化が大きい

左:新型 HW-30A / 右:旧型 HL360

左:新型 HW-30A / 右:旧型 HL360

結論から言えば、今回のアップデートにより最も性能に影響を及ぼしている部分が、このキャブレターである。Tilotoson製のHW-30Aと名付けれらたそれは、OKやX30などで使用されているものと同様の構造となっている。固定方法もパイプナットに変更されたため、短めのヘックスレンチがあれば簡単に取り外しが可能。AVANTIの不満の大きかった整備性が改善されていた。ベンチュリー径は最大24mmで新旧共に変化なし。

ただし新旧エンジンでキャブレターの取り付け角度が大きく異なるため、旧型エンジンに取り付けた場合はキャブが少し傾いて装着される。キャブ開度の操作性に関してはそれほど問題を感じなかった。またエンジンから生えるスタッドボルトがほんのわずかに短いため、ネジの掛かりに注意する必要がある。

さらに、キャブが斜めに取り付けられることによりアクセルワイヤーとコイルが干渉するため、コイルを外側へ逃がす加工を行う必要がある。今回は暫定的にクラッチカバーにスペーサーを挟むことで対応したが、常用するのであればコイル本体を逃がしたほうが吉だろう。

新型キャブによりエンジンが大変身

旧型エンジンに新型キャブを取り付けて走ったところ、驚くほどの違いがそこにはあった。その前に旧型キャブの特性について説明すると、これは基本設計が古く、また安価で製造できるように単純な構造を取っている。熱量の大きい空冷式の125ccエンジンということもあってか、冬場であっても周回数を重ねていくとパーコレーションに似たような現象が起き、次第にキャブがボケて、ハイニードルをじわじわと開けていかなければならなかった。

しかし新型キャブの場合は、20分の走行セッションをフルで走り切ってもキャブがボケる現象は皆無。さらに、旧型キャブで感じていた一部回転域でのトルクの谷が無くなり、回転数に比例したパワーとトルクが出てきた。また、RK100時代から「PRDのエンジンとはそういうものだ」という認識が筆者にはあったのだが、AVANTI特有のガサツな回り方や、高回転域でのガシャガシャとした不安を覚える機械音が無くなった。AVANTIはおよそ14,000回転前後まで回るエンジンだが、12,000回転を超えた辺りからの伸びは完全に別物と言えるほどで、気持ちの良い音とともに走っていく。キャブレターによる気化性能の違いが確実に体感できるレベルで良くなっている。

ただし、その反面としてアクセルペダルを踏みだした瞬間のレスポンスがほんのわずかに遅れる現象が確認された。アクセルオンのタイミングを意識的にワンテンポ早めなければ、旧型キャブと同様のポイントでの加速ができない。しかし、そこから先のアクセル開度とトルクの出方は非常にリニアで、踏み出し以外のポイントでの操縦性は高い。またキャブの開度変更に対する応答性も高く、きちっとしたセッティングを出せる。とはいっても、キャブ開度をあえてわずかに外したところに設定してみても全く走らなくなるわけではないため、扱いやすさも確保されていた。

タイムの話をすると、旧型キャブでの当日ベストタイムは54.5秒だった。そして新型キャブでのベストタイムは53.7秒。ここだけ見るとコンマ8秒もの大差がついてしまっている。しかし実際には、新型キャブを使用したタイミングで日が出て路面温度が向上ことによりコンディションが大幅に改善、さらにベストラップではスリップストリームに掛かったため、実際のタイム差はコンマ3秒程度に収まると見られる。しかしキャブレターを変更しただけでここまでのタイム差が生まれるのは驚きであった。

コースによっては純正インテークサイレンサーもアリ

ここまではFreeLine製インテークサイレンサーを使用してテストを行っていたが、新型AVANTI-19では指定されるPRD純正のインテークサイレンサーもテストしてみる。つまり現在の状態は、旧型エンジン+新型キャブ+純正インテークである。

PRD純正インテークは、形状的には以前から使われているARROW製のそれに類似しており、内部にはスポンジフィルターが装着されている。FreeLineインテークと比べると容量的にはかなり小さい。

走りの特性としては、まず一番にアクセル踏み始めのレスポンスが大幅に改善されたことが挙げられる。旧型キャブ使用時の応答性が戻ってきたような印象だ。その一方で中高速域での伸びが悪化し、ふんずまり感が強い。インテークの容量減少による影響が大きく出ている。ただし新型キャブにより改善された回転のスムーズさは健在で、アクセル開度とトルクの出方も基本的には一致しているため、扱いやすさはそのままだ。タイムは54.3秒止まりとなったが、これは雲が出て路面温度が再び下がったこと、そして高速サーキットの鈴鹿南コースでのテストという影響が大きい。よりコンパクトで低中速域が重要視されるサーキットであれば、純正インテークのメリットは出てくるはず。実際にCRG JAPANが琵琶湖スポーツランドで行ったテストでは、純正インテークで好タイムが記録されたそうだ。

新型エンジンをテスト!精度が高く、フラットトルクな特性が好印象

さて、本題の新型エンジンのテストに移ろう。こちらは新型キャブテストの翌日に行った。シャーシはCRG JAPANが用意したCRG KT2 2019年モデルを使用した。インテークサイレンサーは純正、この時点では採用されるかどうかは未定であったカーボン製のリードペダルが装着されていた。午前中に雨が降ったため路面コンディションはさほど良いとは言えず、またそのような天候のため旧型エンジンとの純粋なタイム比較を行うことができなかった。

乗ってすぐに感じることができた旧型エンジン+新型キャブとの大きな違いはそのトルク感。旧型エンジンでは回転に比例してトルクが湧き上がってくるような一般的な感触があったが、こちらは全域にわたってフラットトルク。腰下が強化され腰下重量が増した影響か。純正インテークを装着していることもあってかレスポンスもよく、欲しいところで欲しいパワーが引き出せる。さらにフラットトルクなため非常に扱いやすく、比較的楽に安定したラップタイムを刻み続けることができた。高回転域まで回しても、これまでのPRDエンジンにありがちだった不安な音や振動が皆無で、エンジン自体の精度の向上がうかがえた。一方で「乗り味」という意味では正直なところ退屈で、旧型エンジン+純正インテーク以上に高速域で伸びていくような印象がない。趣味性の高い乗り物という観点からすると、官能的とは言えないので少し不満がある。しかしこの扱いやすさは安心感が高い。冬場ということもあるだろうが、20分間のセッションを全開で走り続けてもエンジンのパワーダウンやキャブ開度の変化等はほぼ確認できず、終始安定して走り続けることができた。

使用したエンジンは箱出し状態からまだあまり走行時間を重ねていないという条件もあってか、若干腰下の回り方に重さが残っており、もっと軽やかに回りそうなのに回っていかないような印象が強かった。筆者の経験則に基づくと、もう少し走行時間を重ねるか、あるいはきっちりと組みなおせば解消されるような感触。そのためか、新型エンジンのタイムは、当日の旧型エンジン使用者の最速タイムよりもわずかに遅い程度であった。実際に後日行われたテストでは、テスト時の様々な条件の違いはあれど旧型エンジンよりもコンマ3秒ほど新型エンジンのほうが速かったという情報も入ってきている。

最後に、試しに新型エンジンにフリーライン製インテークを装着した。するとやはりアクセル踏み始めでの応答性は下がるものの、中高速域での伸びがよくなりタイムが向上、乗り味も一気に改善された。リードペダルがX30等と同等サイズまで大型化されている影響か、インテーク容量による変化は旧型よりもわずかに大きく感じた。

2019レギュレーションでは性能調整が入る

今回や別の機会でのテストによって、2019年のAVANTIに関するレギュレーションがCRG JAPANより発表された。その概要を示す。

  • 旧型エンジンは、新型キャブレター(HW-30A)の使用解禁以外の点で変更は無し。インテークサイレンサーは自由。ただしボトムエンドを新型に変更したエンジンは、新型エンジン規定が適用される。
  • 新型エンジン(AVANTI-19)は、新旧キャブレターの使用が可能。リードペダルはグラスファイバー製のみの使用が可能。インテークサイレンサーはPRD純正のみ。

CRG JAPANは2019年1月までに行ったテストにおいて、新旧エンジンに著しいタイム差は無いと判断。ただし旧型エンジンには新型キャブを使用可能とし、かつ新型エンジンはグラスファイバー製のリードペダルと純正サイレンサーを指定することで性能調整が図られた。

参照:CRG JAPAN 2019 AVANTI 追加車両規則 

レギュレーション上は新旧エンジンともに旧型キャブの使用が可能となっているが、前述のとおり今回のアップデートにおいてはキャブレターの性能向上が最大のポイントである。ゆえにレースを戦うにあたっては最低でも新型キャブレターの装着は必須になると考えられる。近日中にキャンペーン価格でのボトムエンドコンバージョンキットや新型キャブの販売が行われるということなので、既存のAVANTIユーザーは要チェックだ。
(2月1日追記)

CRG JAPANよりコンバージョンキットとキャブレターの販売キャンペーンが2月1日より開始された。

参照:CRG JAPAN AVANTI シリーズ応援キャンペーン 2019 / AVANTI 19 コンバージョン販売 4月末日まで

ホビーカーターに歓迎されるアップデート

あくまでもPRD AVANTIというエンジンは、ホビーカーターにレーシングカートを末永く楽しんでもらうための商品だ。それを考えたとき、必要とされるのは安価でかつ安定した性能を長時間にわたって発揮できることだろう。現代化された腰下は耐久性の向上を狙ってのことで、おそらく新型AVANTIは構造的にはレースで戦える性能をより長い時間維持し続けられると考えられる。またキャブレターだけを変更した場合においても、その優れた燃料気化性能により、速さだけでなくエンジンの耐久性をも向上させる可能性は十二分にありうる。確かに既存ユーザーにとっては予期せぬ出費にはなってしまうが、今回テストした限りではキャブレター性能は間違いなく満足できるはずで、AVANTIというエンジンがこれまで以上に楽しくなるキーパーツになることは間違いない。PRD AVANTIがさらに魅力的なホビーエンジンとなる予感が、今回のテストによって漂ってきた。

文:藤松楽久
写真:Paddock Gate・CRG JAPAN

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