(2019年2月25日追記)当該規則に関するJAFの公式解釈が発表されています。詳しくは↓をご覧ください。
2019年全日本/地方/ジュニアカート選手権統一規則に記載された、
第21条 車両検査
1.~3.(略)
4.ドライバーの服装に関しては「カート競技会参加に関する規定」第11条を適用する。また車両検査時においては、技術委員の点検を受けるものとする。レーシングスーツは皮製またはCIK-FIA公認またはJAF公認のものとする。
また、ヘルメットはCIK技術規則(Article3 Karting and Equipment Safety 3.2 )Equipment Safety)に従ったものとする。
のCIK技術規則(Article3 Karting and Equipment Safety 3.2 )Equipment Safety)とはどのような規則なのか、何に気をつければよいのかについて、ルールブックの解釈を行いました。
また当該のルール全体に対してPaddock GateではJAFへ問い合わせを行っています。JAFによる回答は2月の第2週ごろに行われる予定とのことですので、そちらが判明し次第追記あるいは修正を行います。(2019年2月25日追記)JAFによる公式解釈が発表されたため、一部訂正や追記を行っています。
当該規則の抜粋
該当する規則は、CIK-FIAのWEBサイトのREGULATION>TECHNICAL>Technical Regurationsからダウンロードできます。
以下に全日本/地方/ジュニアカート規則に適用さえた箇所のヘルメットに関する項目を抜粋、翻訳します。
3.2) EQUIPMENT SAFETY
3.2)安全装置
The Driver must wear:
* A helmet with an efficient and unbreakable protection for the eyes.
Helmets must comply with the following prescriptions (Appendix 2):ドライバーは必ず、目を守るための効率的で壊れないヘルメットを装着してください。ヘルメットは二つの付録の規定を厳守してください。
For Drivers under 15 years old:
– Snell-FIA CM (Snell-FIA CMS2016 and Snell-FIA CMR2016),
– Snell-FIA CMH (Snell-FIA CMS2007 and Snell-FIA CMR2007),15歳未満のドライバーは以下の規定のヘルメットを使用してください
– Snell-FIA CM (Snell-FIA CMS2016 and Snell-FIA CMR2016),
– Snell-FIA CMH (Snell-FIA CMS2007 and Snell-FIA CMR2007),For Drivers over 15 years old:
– Snell Foundation K2005, SA2005, K2010, K2015, SA2010, SAH 2010 and SA 2015,
– FIA 8859-2015, FIA 8860-2004, FIA 8860-210, FIA 8860-2018 and FIA 8860-2018-ABP
– SFI Foundation Inc., Spec. SFI 31.1A and 31.2A,
– Snell-FIA CM (Snell-FIA CMS2016 and Snell-FIA CMR2016),
– Snell-FIA CMH (Snell-FIA CMS2007 and Snell-FIA CMR2007).15歳以上のドライバーは以下の規定のヘルメットを使用してください
– Snell Foundation K2005, SA2005, K2010, K2015, SA2010, SAH 2010 and SA 2015,
– FIA 8859-2015, FIA 8860-2004, FIA 8860-210, FIA 8860-2018 and FIA 8860-2018-ABP
– SFI Foundation Inc., Spec. SFI 31.1A and 31.2A,
– Snell-FIA CM (Snell-FIA CMS2016 and Snell-FIA CMR2016),
– Snell-FIA CMH (Snell-FIA CMS2007 and Snell-FIA CMR2007).Any modification to the above list will be published in the CIK Bulletin.
上記リストに対する修正があった場合は、CIKの公示に掲載されます。
It must be noted that certain types of helmets must not be painted or carry adhesive material. In accordance with Appendix L to the International Sporting Code (Chapter III, Article 1.2), any addition of devices, whether aerodynamic or other, to helmets is forbidden if they have not been homologated with the helmet concerned.
ある種のヘルメットは塗装や接着剤の使用が禁止されます。国際スポーツコード付録L(第3章、1.2条)に基づき、ヘルメットへ付加物を取り付けることは、それが空力的であろうとなかろうと、ヘルメットが該当する規格で公認されていない限り禁止です。
(中略)
Furthermore, long hair must be contained entirely in the helmet.
さらに、長い髪はヘルメットの中に完全に納めなければなりません。
(略)
参照:2019 Technical Regulations (as updated on 11 January 2019)/31ページ
またさらに、当該箇所に記載されている”Appendix L to the International Sporting Code (Chapter III, Article 1.2)”についても、以下に引用します。
1.2 Recognised Standard to be used without Frontal Head Restraint system (FHR)
1.2 FHR(HANS等の頭部拘束装備品)を使用しない場合の標準認識
When the use of an FHR is not mandatory, drivers competing in circuit competitions, hill climbs or rally special stages, registered on the FIA Calendar, must wear crash helmets homologated to one of the standards listed in FIA Technical List N° 25.
FHRの使用が必須でない場合、FIAカレンダーに登録されているサーキット競技・ヒルクライム・ラリースペシャルステージに参加するドライバーは、FIAテクニカルリスト25番に記載されているいずれかの基準にて公認されたヘルメットを着用する必要があります。
レギュレーションの要点
15歳未満のドライバーはCMR規格(=ジュニア用)ヘルメットの使用が義務
15歳未満のドライバーが全日本/地方/ジュニアカート選手権に出場する場合、CMR規格のヘルメットの使用が義務化されました。CMR規格のヘルメットとは、いわゆる「ジュニア用ヘルメット」のことです。以下に、現時点で国内で購入可能なCMR規格ヘルメットの例を示します。
ARAI SK-6に代表されるカート専用ヘルメットや、四輪用ヘルメット、バイク用ヘルメットの使用も不可です。CMR規格のヘルメットは、モータースポーツに使用できる安全性を確保しながらも、同時にドライバーの首への負担を軽減するための軽量さを高めたものです。”It must be noted that certain types of helmets must not be painted or carry adhesive material.(ある種のヘルメットは塗装や接着剤の使用が禁止されます)”の部分については、一部のモデルにおいて公認時点でCMR規定の重量ギリギリとなっているため、塗装による重量増を許容できないことによるものだと考えられます。(2019年2月25日追記)「熱可塑性樹脂帽体(ABS、ポリカーボネット等)素材のヘルメットに塗装することは禁止される。」という解釈が発表されました。
また15歳未満という記述を文字通りに読み取れば、当該年度15歳であるか否かに関わらず、レース参戦時に15歳未満であることが条件であると考えられます。
15歳以上のドライバーは四輪用/カート用/ジュニア用ヘルメットの使用が可能
15歳以上のドライバーは、公認された四輪用/カート用/CMR規格ヘルメットの使用が可能です。バイク用ヘルメットの使用は不可です。
チンスポイラー、ディフューザーの使用は原則不可
レーシングカートはFHR(HANS等の頭部拘束装備品)を使用しないため、公認された状態でヘルメットを使用する必要があります。ごく一部のヘルメット(ARAI GP-6 RC等の公認時にスポイラーが登録されているもの)を除き、ヘルメットに装着するチンスポイラーやディフューザー等の使用は禁止されます。これは万が一ヘルメットが衝撃を受けた際に、本来ヘルメットが持つ安全性能が付加物によって阻害される危険性があるためだと考えられます。一例として、国内で流通しているARAI SK-6 PEDについては、販売時点でGP-PEDと呼ばれるスポイラーが付属していますが、これらは装着状態での公認が取られていないため、使用不可だと判断できます。(2019年2月25日追記)「販売時に付属されている純正品であれば使用が認められる」という判断が下されました。
社外品への置き換えに関しては不明確
また社外ティアオフシールドポストや社外シールド留め具、社外シールドについてですが、こちらはもともと付いていたものを交換しているため、「付加物」に該当するか否かの判断が不明です。しかし、一般的にこれらはヘルメットに付随する公認規格を取得していないため、使用不可だと考えるほうが無難です。現在、一般にメーカーが販売する四輪ヘルメット用純正シールドにはFIA公認ステッカーが貼られていますので、使用しているシールドが公認されているか否かはそちらである程度判断が可能です。
付加物という意味では、雨天時のターボバイザーの使用も禁止だと考えられます。一方で、四輪ヘルメットへのHANSアンカー取り付けについては不明です。こちらはJAFからの回答待ちの状態です。
(2019年2月25日追記)社外シールドは純正同等品でかつ技術委員長が安全だと判断したものが使用可能です。またターボバイザーも、目の保護に十分なものであれば使用可能です。社外シールド留め具等については「付加物」に当たらないため使用可能です。HANSアンカーの取り付けは、四輪用公認ヘルメット+公認アンカーの組み合わせであれば問題ありません。ヘルメットへのステッカーの貼付は認められますが、ラインストーン等の装飾品は禁止されます。
参加者のとるべき対策とは
実際のレース運営上の問題として、車両検査時に当該項目についてどこまで明確な基準をもって判断が下されるのか、現時点では不明です。また当該レギュレーションについても、解釈に自由度を持たせるような記述がなされています。このため、全日本/地方/ジュニアカート選手権への参加予定者は、対策を行う必要があるとPaddock Gateは考えます。ただし、以下に示す対策は現時点でのPaddock Gateによる解釈に基づいたものであり、今後JAFにより発表される情報によって変化する可能性があります。このため、少なくとも15歳以上のドライバーが慌てて対策を行う必要は、現時点では無いと考えます。一方で15歳未満のドライバーはCMR規格ヘルメットが義務化される点はほぼ間違いないと考えられます。
(2019年2月25日追記)JAFによる公式解釈が発表されました。
全ての参加者:スポイラーの撤去が必要、かつ全ての部品は純正品の使用を推奨
全ての参加者は、ごく一部の場合を除き、ヘルメットにチンスポイラーやディフューザーを装着している場合は撤去が必要です。また社外装飾品を装着している場合はこれらを撤去し、かつ全ての部品は純正品の使用を推奨します。
(2019年2月25日追記)販売時に付属していることがカタログ等にて証明できる純正品であれば、チンスポイラーやディフューザーの使用は可能です。社外装飾品に関しては使用可能ですが、ラインストーン等が張り付けられているものの使用は不可能です。
15歳未満の参加者:CMR規格のヘルメットの使用が義務
15歳未満の参加者は、CMR規格のヘルメットの使用が義務となります。現在CMR規格以外を使用しているユーザーは、参戦予定のレースまでに当該ヘルメットを用意しておく必要があります。塗装やステッカー等の貼付に関しては、CMR2007またはCMR2016規格で定められた総重量を超えない範囲で可能です。下に示す表の「Helmets configured to accept face shields」の部分を参照してください。
関連情報
https://paddock-gate.com/wp/8030/
https://paddock-gate.com/wp/7836/