昨日とは打って変わって春の陽気に包まれている鈴鹿サーキットで、午前9時20分からOK部門第1戦の24周の決勝が行われた。2周のフォーメーションラップを挟み、ゆっくりとしたローリングで隊列はスタートラインへ向かうと、シグナルがブラックアウトしてレースがスタートした。
スタート時にポールの#5高橋悠之がけん制するようにイン側にラインを寄せつつも、予選の時と同様に#8山田杯利が好スタートを決め最初に1コーナーに飛び込む。しかし#5高橋悠之が2コーナーで順位を取り返すと、そこに#27伊藤琢磨も続いた。3番手に落ちた#8山田杯利だったが、すかさず3コーナーで#27伊藤琢磨をまくり2位に帰ってくる。その間にトップの#5高橋悠之は軽くマージンを築いた。4番手には#2佐々木大樹、5番手に#24古谷悠河がつける。#2佐々木大樹は前を行く#27伊藤琢磨に対し各コーナー入口でマシンをインに振るが、若干届かない様子。しかしテールトゥーノーズ状態で2周走ると、3周目の1コーナーでパッシングに成功し、そのまま2番手に向けて追い上げをかけた。
5周目の段階で、トップ#5高橋悠之から、#8山田杯利、#2佐々木大樹、#27伊藤琢磨、#24古谷悠河、#16廣岡陸勢、#34渡会太一、#9宮下源都のトップ8が第一集団となり、そこに第二集団の先頭から抜け出した#93大草りくが追い付いてきている様相となる。#5高橋悠之は同周回のヘアピンで#8山田杯利にかわされると、そこで#2佐々木大樹との距離もつまり、最終コーナーで3位までドロップ。また#16廣岡陸勢は集団の中ではペースが悪く、次第に後方に順位を下げていった。9周目、トップ7にしばらく大きな動きがない状態でレースが続いていたが、ここで#2佐々木大樹が動いた。25Rでプレッシャーをかけるような動きを見せ、そして最終コーナーで#8山田杯利をパッシング、トップに浮上した。また#93大草りくが完全に上位集団に追い付き、第一集団が8台となった。ところがその次の周回に入ったとたん、4番手を走行していた#27伊藤琢磨のエンジンが焼き付き、ホームストレート上でストップ。これで#24古谷悠河が4番手に立ったが、#34渡会太一が最終コーナーでかわしたため4番手が入れ替わった。#24古谷悠河はペースが上がらないのか、11周目には#9宮下源都と#93大草りくとの激しいバトルを行うが、あえなく7番手まで順位を下げてしまう。
12周目、レースはちょうど折り返し地点に到達した。今回のBS勢は強いと思っていた矢先、なんと最後尾スタートである#21井本大雅が8番手まで上がってきた。予選はトラブルで走れずタイヤが残っている#21井本大雅が、圧倒的なペースで順位を駆け上がってきている。13周目のヘアピンで#24古谷悠河を交わすと、前方へぐんぐんと追いつき15周目には最終コーナーで#9宮下源都をパス。さらに17周目には#93大草りくも交わしてきた。同時期に4番手を走っていた#34渡会太一のペースが悪化。徐々に前方から離されていった#34渡会太一は、18周目に#21古谷悠河と#93大草りくにかわされると、トップ争いから完全に離脱してしまった。
19周目。トップを走る#2佐々木大樹と#8山田杯利はつかず離れずの距離感でいたが、次第に#2佐々木大樹の修正舵が増えてきたようだ。山田杯利も徐々にラインがコンパクトになってきており、タイヤの限界が近づいている。そこへ#21古谷悠河が猛烈な勢いで追い付いてきた。単独となっていた3番手#5高橋悠之を20周目の最終コーナーでかわすと、トップ2との間隔を詰めていく。さらに21周目の1コーナーで#8山田杯利が#2佐々木大樹を交わしたことにより、トップ3は完全にワンパック状態になる。#21井本大雅は最終コーナーで一度パッシングを試みるがこれは失敗。しかし続く22周目の3~4コーナーで#2佐々木大樹のインにぐっと入り2番手に浮上。23周目にはホームストレートで#8山田杯利の右側に並び、2台はマシンサイドを軽く接触させながらブレーキング、そしてついに#21井本大雅がトップに立った。ここで#8山田杯利は若干遅れたか、トップとの差がぐっと開いた形となった。ヘアピン立ち上がりでわずかに失速した#8山田杯利に対し、#2佐々木大樹と#5高橋悠之がシケインに向けマシンをインに振った。2つ順位を落とした#8山田杯利はすかさず最終コーナーで仕掛け、3台のマシンのラインは交錯。しかしクロスラインを取ったTONYワークスの2台のほうが上手だった。そして最終ラップに突入。トップ#21井本大雅、#2佐々木大樹、#5高橋悠之は安定しているが、#8山田杯利は後方にのまれまいとこらえている。そこへ#93大草りくが勝負をかけパッシング、4位に浮上した。
そしてチェッカーが振られた。優勝は最後尾からオーバーテイクを見せた#21井本大雅、2位に#2佐々木大樹、3位に#5高橋悠之、以下#93大草りく、#8山田杯利、#34渡会太一、#10冨田自然、#43皆木駿輔、#7朝日ターボ、#9宮下源都となった。しかし3位チェッカーの#5高橋悠之はスタート時のコリドー違反により3位降格のペナルティ、#93大草りくが繰り上げで表彰台を獲得した。
1位 井本大雅
予選をトラブルによって走れなかったのが心残りでした。決勝レースではとにかく一台一台着実に抜いていこうと考えました。レースを走っている感触では、タイヤが悪いというイメージはなかったので、とにかく前を見て走っていたのですが、気が付いた時にはトップに立っていたというのが正直なところです。まさかここまでできるとは思いませんでした。佐々木大樹や山田杯利を抜くときは、ここでいかなければ後方に飲まれてしまうと考え、もうここしかない!と思いながら抜きました。トップに立ってからは後方との間隔が開いて、気持ち的には安心できたのですが、マシントラブルの内容にだけ気を付けました。とにかく優勝できて嬉しいです。
午後のレースではちゃんと予選から走って、最後までしっかりと戦っていきたいです。
2位 佐々木大樹
今回のBSタイヤは決勝で垂れてしまう傾向にあるので、正直厳しいところがあります。個人的にも木曜日に走ることができず、また金・土曜日と午前中に雨が降ったこともあって、テスト不足が否めません。しかし、だいぶ調子も取り戻してきてので、午後のレースは大丈夫です。決勝レースでは途中で山田杯利を抜く必要はなかったのですが、自分自身に余力があったわけではありませんし、レース後半のことを考えておくと、前を走っておいてよかったかなと思います。
しかしながら今回DLが優勝しましたし、去年はYHがシリーズチャンピオンを取りました。OKの厳しさを体現したようなレースだったと思います。井本大雅もいいドライビングをしていましたし、予選で走れなかったとはいえDL勢の中でも特に速かったです。
正直なところ今の温度域に対して厳しいタイヤとなっているところがあります。午後のレースは決勝の時間もいつもよりも少し早いので、路面温度が高い状態が維持されるでしょう。厳しいレースになるのではないかと考えています。
3位 大草りく
TTでエンジンを焼いてしまったため、予選では後方からの追い上げとなりました。とにかく順位を上げようと頑張ったため、決勝は10位からスタートすることができました。予選では走ってもそこまでタイムが落ちませんでしたが、今回の決勝ではそこまでの余力がなかったです。自分の走りに安定感があったのですが、パッシングできるポイントで行けなかったことがあり、前に追い付いたり離れたりを繰り返したのがもったいなかったです。ズバッと抜ければもう少し順位を上げられたかもしれません。
午後のレースでは、予選は昨日と同じぐらい順位を上げ、そして決勝は安定して走り、上位を狙っていきます。
関連情報
【2019全日本カート鈴鹿】OK第1戦 予選ヒート | Paddock Gate
OK第1戦の予選ヒートは12周、16時10分からスタート。フォーメーションラップ中に3コーナーで#21井本大雅が、そして最終コーナーで#33水野皓稀がストップし、28台でレースがスタートした。