第1戦、第2戦合わせて表彰台の5/6を占め、唯一DUNLOP勢に譲ったポジションも第1戦の3位という、BRIDGESTONEの圧勝に終わったKF部門の開幕戦。各チームからも「今年のBSは大きく変わった」とのコメントもいただいた。昨年までのシーズンとはいったい何が変わったのか?さすがにインタビューではそこまで詳しく説明していただけなかったので、元KFドライバーの筆者なりに写真や経験・記憶を頼りに考察する。ただし、以下の内容はかなりの部分で推測と筆者の持論を含むため真偽のほどは確かではないことをあらかじめ記述しておく。
その1:狙った温度域の違い
土曜日のタイヤ各社へのインタビュー記事を見ていただければわかることだが、BS、DLの2社はもてぎに対して幅広い温度域に対応できるタイヤを持ってきていると言っていた。確かにレース当日のもてぎは朝は白く息が白くなるほど寒いのに対し、昼間は上着を着るか迷うほどに暖かくなることがあった。夏や冬と違い寒暖の差が激しい3月下旬でピンポイントな路面温度を予想するのは不可能だろう。
ここで問題になるのは、各社が果たしてどのあたりまでの温度域を考えていたか、という点だ。土曜日の予選1や日曜日の決勝2では直前に路面温度が下がったのだが、緊迫した空気の中でも筆者にはDL開発陣の焦りとBS開発陣の余裕を感じた。印象だけではなく、予選2直後にDLユーザー菅波冬悟は「路面温度が上昇しDLのゴムが機能しやすいコンディションだった」とコメントしている。おそらくであるが、DLが想定していた温度域よりもBSが想定していたそれのほうがわずかに低かったのだ。であるから昼間に行われた予選2では(ポールとセカンドが不在になったとはいえ)DLユーザーが前を行き、逆に日曜日の早朝と夕方に行われた決勝1、2ではBSに有利なコンディションとなったのではないかと思われる。
ちなみに、YHもDLほど高い温度域を想定してはいなかったと思われる。これは「T.T.での温度上昇に対応できなかった」という日曜朝のコメントからの推測である。しかしながら今回のYHはBS13台、DL9台という今まで以上にDLが増えた今大会での路面に乗ったゴムに対応できておらず、自身のタイヤが機能していないように見られた。実際にレース後に車検場に戻ったタイヤを見ても、ゴムが溶けたというよりも他社のタイヤをまとってきたといった方が正しいように見える。そんななかでも10位前後でゴールする三村壮太郎には筆者は感心するばかりであった。