予選ヒートでのBSタイヤのトラブルは路面温度の上昇によるものだったようで、決勝ヒートまでの長いインターバルの間にBS陣営は路面温度の低下を、そしてYH陣営は温度維持を期待していた。FP-Jr.と全日本FS-125の決勝ヒート中の赤旗中断によりOK第6戦決勝のスタート時刻は予定より25分遅れの16時35分となった。これでBS陣営の期待通り、西日が差しつつも路面温度は徐々に下がっていった。また#8高橋悠之はスローパンクチャーにより、右フロントタイヤを予選ヒート後のタイヤと同等程度の摩耗具合のタイヤに差し替えていた。
ダミーグリッドから各車がコースに入っていく中、#25佐藤巧望のエンジンがかからずDNSに終わってしまう。フロントローの駆け引きにより2回スタートが見送られ、3周目のフォーメーションラップでは予選ヒートの時よりも若干速めのローリングスピードで隊列が組まれた。
そしてブラックアウト。ポールポジションの#3名取鉄平がホールショットをとり、その真後ろに#9三宅淳詞、#2野中誠太。#11冨田自然、#1佐藤蓮、#81山田杯利、#8高橋悠之、#7三村壮太郎が続く。オープニングラップで#8高橋悠之がヘリポートで#81山田杯利をパスし6番手に立った。2周目にはトップ2が頭一つ抜け出しテールトゥーノーズ。5番手の#1佐藤蓮は#11冨田自然にピタリとつけ、最終コーナーの進入でインを刺して4番手に浮上した。さらに3周目には冨田自然は#8高橋悠之にヘリポートでかわされ6番手にドロップ。4周目の時点でトップの#3名取鉄平、#9三宅淳詞、#2野中誠太、#1佐藤蓮、#8高橋悠之、#11冨田自然、#81山田杯利、#7三村壮太郎のトップ8が一時ほぼ等間隔となる。しかし5周目に#2野中誠太がヘリポートで#9三宅淳詞を刺したこと状況は一変。遅れた#9三宅淳詞を#1佐藤蓮がヘアピンで刺し、トップの#3名取鉄平は後方に対し若干のマージンが生まれ、さらに#9三宅淳詞と#8高橋悠之の差がぐっと詰まった。さらに8周目に#1佐藤蓮が#2野中誠太のインを刺し2番手に浮上、さらに#8高橋悠之が続くストレートで#2野中誠太に並び、1コーナーでパスした。
12周目の隊列はトップ#3名取鉄平が2位以下に1秒ほどのタイムギャップを築いた状態で走り、#1佐藤蓮と#8高橋悠之が2番手争い、4番手の#2野中誠太は#8高橋悠之に追いつこうとマシンをプッシュし、5番手争いは#9三宅淳詞、#11冨田自然、#7三村壮太郎、#81山田杯利の4台、その後ろには#34大草りきを先頭とする9番手争いが激しくやりあっていた。13周目に#11冨田自然が#9三宅淳詞をヘリポートで刺すが、#9三宅淳詞はすかさずクロスをとり順位を死守。しかし#11冨田自然が続くヘアピンで刺し返し、さらに#9三宅淳詞が最終コーナーでインをついた。これで#11冨田自然がアウトにはじかれたか遅れてしまい、5番手争いの一番後ろとなる8番手にドロップ。4番手の#2野中誠太は一時2番手争いに加わろうと#8高橋悠之の真後ろにつけるが、15周目あたりからやや出遅れ、単独状態になった。その間に5番手争いの先頭に#7三村壮太郎が立つが、どうやら2番手の#1佐藤蓮を除くYH勢はかなり厳しい様子で、その後#9三宅淳詞とともに後方にずるずるとドロップしていった。
18周目に入りレースは後半戦に突入。トップは#3名取鉄平、少し離れて#1佐藤蓮が2番手を走行し、真後ろで#8高橋悠之がパッシングの機会をうかがっている。4番手の野中誠太は前方に追いつけるだけの勢いはないものの、トップ3と同じ40.8秒で巡行。大きく離れて5番t値争いは#81山田杯利を先頭とし、#11冨田自然、#44水野皓稀、#7三村壮太郎、#34大草りき、#27武井遥斗らが激しくやりあっていた。#8高橋悠之は10周目に#1佐藤蓮の後ろにつけてからずっとパッシングの機会をうかがっているが、左フロントタイヤが予選ヒートでブローしたものだったためか、パッシングポイントとなるヘリポートの前のコーナーであるシケインや、ヘアピン前のS字で遅れるためパッシングが困難な状況。一方で#1佐藤蓮のタイヤも厳しい様子で、グリップの限界はとうに迎えている様子だ。そうして2台の距離が1周の間に詰まったり離れたりを繰り返していたのだが、23周目の2コーナーでついに#8高橋悠之が#1佐藤蓮のインをつき2番手に立った。ついにパッシングに成功した#8高橋悠之は前方の#3名取鉄平に向け猛アタックを開始。#1佐藤蓮もそこについていこうとプッシュするが、もはやそこまでのスピードは残されていないようだ。残り4周。両者ともにタイヤの摩耗がかなり来ている様子だが、#3名取鉄平のほうがやや苦しいか。トップ2の間隔がじわりじわりと詰まっていくが、最終ラップを迎えた時点でその差はちょうどカート1台分程度。両者ともにマシンをプッシュさせるが、ヘリポート、ヘアピン、そして最終コーナーの進入に来ても、#8高橋悠之はギリギリパッシングに至れる距離までは詰めることができなかった。
そしてチェッカー。優勝は#3名取鉄平が逃げ切り今季2勝目を獲得。2位に#8高橋悠之、3位に#1佐藤蓮が入り、以下#2野中誠太、#11冨田自然、#81山田杯利、#44水野皓稀、#12森山冬星、#27武井遥斗、#24宮下源都がトップ10に入った。
1位 名取鉄平
正直言ってかなり苦しいレースでした。特に終盤は後方のほうがペースがよかったので、常にプッシュし続けていました。スタートは悪くなかったですし、その後のラップも安定していました。予選でブローはしてしまいましたが、それでも問題なく走ることができるような素晴らしいタイヤを用意してくれたBRIDGESTONEには感謝しています。長いレースでしたので、とにかく後ろを気にして集中力を切らしてはダメだと全力でアタックしていました。最後の3周ほどは振り返ってしまいましたが、レースの内容は満足できました。第5戦は表彰台を独占、第6戦はワンツーフィニッシュできたので、BRIDGESTONEには喜んでもらえたと思います。
自分の目標はF1ドライバーになることです。世界で戦える強いドライバーになる目標があるのに、第5戦予選のようなミスはあってはならないものであり、チームに申し訳なかったです。ですが第6戦は完全勝利をおさめられたので、何とか名誉挽回できたかなと思います。これからはSUGO、鈴鹿とシーズンが続いていきます。
鈴鹿は日本一得意なコースなので自信しかありませんが、SUGOは過去のレースの経験から良いイメージがありません。次戦はこれを払しょくしたいです。確実にポイントをとり、今季こそシリーズチャンピオンを獲得します。
2位 高橋悠之
佐藤蓮の後ろについた後の、自分と佐藤蓮の速いところ・遅いところの違いによりなかなかパッシングできずもどかしさを感じました。しかしその中でも佐藤蓮の速さはさすがでした。自分の予想ではもっと早い段階でタレると考えていました。ただ、レースの敗因は自分が展開をまとめきれなかったことにあります。最低限の仕事はしましたが、満足のいく結果ではありませんでした。特に予選でタイヤをブローさせてしまったことは自分のミスですし、開発ドライバーとしてタイヤマネジメントを徹底できなかったのは問題です。次戦のSUGOでは、今回欠場した佐々木大樹が出場します。自分にとって良い先輩であると同時にライバルでもある彼に本庄での雪辱を晴らし、優勝したいです。
3位 佐藤蓮
今回の茂原は決勝ヒートが28周と長かったですが、もしこれまで通りの周回数であれば2番手だったと思います。予選ヒートでは第5戦の流れを見て、完走を絶対条件としつつ、多少順位を犠牲にしてもタイヤを温存する作戦で走りました。それが功を制したため、決勝ヒートでこの順位にいることができました。やれるだけのことはやりきりました。ポイントは最低限のものは獲得しましたから、シリーズチャンピオンへの影響は最小に抑えられました。次回のSUGOは自分にとって特に得意なサーキットなので、絶対に2連勝します。
関連情報
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