OK第5戦の28周の決勝ヒートは9:40にスタートした。今朝から降り続いている霧雨のような弱い雨が路面をしっとりと濡らし、所によっては川もできている状況。コースオープンと同時に各車一斉にエンジンに火が入るが、#5高橋悠之のマシンがぐずり、大きく出遅れる形となる。さらに#6野中誠太がフォーメーションラップ中にトラブルかスローダウンしいったんピットイン。トラブルを確認後に再びコースに入っていった。2周行われたフォーメーションラップ中に#5高橋悠之はどうにか10番手あたりに順位を戻し、レッドシグナルが消灯、レースがスタートした。
予選と同じく#43皆木駿輔が抜群のスタートを決め後方を突き放すと、そこに#17高木悠帆、#7朝日ターボ、#21井本大雅、#27伊藤琢磨、#23新原光太郎、#22渡部樹が続いていく。スタート直後に大きな混乱はなく走っていくが、やはりこのコンディションではDL勢が序盤からペースがいいのか、2周目の2~3コーナーで#27伊藤琢磨が#23新原光太郎と#22渡部樹にかわされ7番手にドロップ。その後ろには#10冨田自然を先頭とする第二集団が迫っている。トラブルによりスタート前に後方にドロップした#5高橋悠之は同周回に#10冨田自然を交わし、さらに3周目のシケインで#27伊藤琢磨をパス、続いて4周目の1コーナーと最終コーナーで#22渡部樹と#23新原光太郎を交わし5番手まで戻ってきた。全体的にBS勢が苦労している印象が多い中、この#5高橋悠之が好調を見せており、すでにそれぞれ単独状態となりつつあるトップ4にじわじわと追い付いていく。またまたDLユーザー同士の戦いも勃発し、5周目のヘリポートコーナーで#22渡部樹が#23新原光太郎をパス。また#10冨田自然もこのあたりから速さを見せ始め、同周回の最終コーナーで#23新原光太郎を交わし7番手に立ち、後方を突き放し始めた。
トップから#43皆木駿輔、#17高木悠帆、#7朝日ターボ、#21井本大雅がそれぞれ単独で、この中でも#43皆木駿輔が他よりもコンマ1秒ほど速いペースで独走状態を築いていく。また5番手に浮上した#5高橋悠之が徐々に追い上げを見せ、9周目には#21井本大雅の背中を捉え、ヘリポートコーナーでかわし4番手となった。反撃を見せようと食らいつく#21井本大雅だが、2周が経過した11周目から徐々に離され、後ろの#22渡部樹に追い付かれてきた。13周目には#22渡部樹に背中を捉えられた#21井本大雅は、同周回のヘリポートコーナーや8コーナーで#22渡部樹の追撃をどうにかかわして順位をキープしたが、14周目のヘリポートコーナーでかわされ順位がドロップ。さらにそこに#10冨田自然が迫ってきている状況だ。全体的にバトルが膠着状態になっている中、17周目に#21井本大雅を捉えた#10冨田自然が、18周目にこれを交わし6番手に浮上した。また同周回で最後尾を走っていた#6野中誠太に排除旗が振れらた。
周回遅れを作り出すほどのハイペースで走っていた#43皆木駿輔だったが、ここで悲劇が訪れる。なんと18周目の最終コーナーでまさかの左リアタイヤが脱落し、最終コーナーアウト側のクラッシュパッドに突き刺さってしまった。完全に独走体勢となっていたトップが突如消えたことで、代わりにトップとなったのが#17高木悠帆。その後ろは#7朝日ターボ、#5高橋悠之であるが、二名ともにそれなりに距離が開いている。さらに後方では#22渡部樹、#10冨田自然、#21井本大雅、#23新原光太郎、#20堀尾風允と、それぞれが微妙な距離感を保ちながら走行している。22周目には#21井本大雅が先頭とする#23新原光太郎、#20堀尾風允、#2佐々木大樹、#18辻本始温の5台の距離がぐっとつまりワンパック状態となる。ここで強さを見せたのが#2佐々木大樹で、23周目の最終コーナーで#20堀尾風允を交わすと、機会をうかがうように前を狙っていた。またこのあたりではいったん雨量が減ったためがBSユーザーが優位な様子を呈してきた。3番手になった#5高橋悠之と2番手#7朝日ターボのタイムはほぼ変わらない45.5秒だったが、距離がじわりじわりと近づいてきて、さらに25周目には#7朝日ターボがミスをしたのか2台の距離がぐっと近づいた。しかしまだ射程距離圏内とは言えない状況だ。上位はそれぞれ単独で拮抗状態のなか、ラスト2周のヘリポートコーナーで#23新原光太郎と#2佐々木大樹が#21井本大雅をパス、さらに#2佐々木大樹は最終ラップに#23新原光太郎を交わし6番手にたった。ラスト2周ほどで雨量が再び増えたためか、2番手争いの距離はわずかに開き、その状態でチェッカーが振られた。
トップは#17高木悠帆がルーキーにしてOK初優勝を獲得。2位は#7朝日ターボ、3位が#5高橋悠之、以下#22渡部樹、#10冨田自然、#2佐々木大樹、#23新原光太郎、#21井本大雅、#18辻本始温、#20堀尾風允がトップ10となった。
1位 高木悠帆
昨日の予選ヒートから皆木駿輔は終始安定して走り、後半は温存していたので、決勝は特に序盤が踏ん張りどころだろうと考えていました。途中自分のペースが落ち、朝日ターボは落ちなかった場面では焦りも感じましたが、チームが予選・決勝ともに後半にかけて伸びるようなセットアップを施してくれていたので、マシンやチームを信じ、恐怖心を払拭しました。実際にラストでは安心して走ることができました。皆木駿輔に離されていくときは、彼の非常に速く無駄のない走りを観察し、マネをし、少しでも後半に追い付けるように走っていました。ただ後半では最終コーナー入口の川が大きくなってきて、ちょうどそのタイミングで皆木駿輔がリタイヤしてしまったので、アクセルを開けるのが怖い状況もありました。
これまでシングルを目指してレースをしていたのに、昨日の予選では上位を走り、ついに今日は自分が一番になりました。 優勝したことは正直なところ今はまだ実感がなく、まだ受け入れられていません。ただサクシードの皆は今日2連覇することを目指してやっています。次も勝つことだけを考えて、チームを信じて頑張ります。
2位 朝日ターボ
公式練習で様々なセットアップを施したのですが、なかなかいいところが見つかりませんでした。予選の結果から皆木駿輔と高木悠帆、そして後半伸びてくる高橋悠之を警戒していました。スタートではもっと行けるという読みがあったのですが、思ったほど出だしが良くなく、終始3番手を走行することとなりました。自分のほうが前の二台よりも後半までペース良く走れると考えていたのですが、実際には自分が先にペースダウンしてしまいました。ただ最後の数周で高橋悠之に迫られたときには、それまで我慢して走っていたおかげでこらえることができました。ただ全体的にDLユーザーが序盤良く後半落ちる傾向の中、自分のピークが足りないのが課題として残りました。
皆木駿輔のリタイヤは残念でしたが、もし走っていれば間違いなくぶっちぎりで優勝していたでしょう。あそこまで車を作り上げていくのは今の状況では難しい部分があり、これも次戦への課題です。そこさえクリアできれば間違いなく速く走れるはずです。ただ今日は路面コンディションの変化が大きく、天候に大きく左右される状況へセットアップやタイヤの内圧を合わせこんでいくことが難しいです。ここまでの結果やデータを精査し、次戦に向けて調整していきます。
3位 高橋悠之
開発ドライバーとしてタイヤの課題が明確に表れたレースでした。具体的にはドライもレインも路面温度への反応が敏感であり、特に今回では雨が少なくなった中盤から後半にかけてはペースが上がってきたのですが、ラストで雨量が増えてきたときにはペースダウンしてしまったところがあげられます。もっと環境変化に強い安定したタイヤが作れれば、このような結果には終わらなかったでしょう。またスタートでのトラブルがなければ…という思いもありますが、結果として残ったので仕方がありません。今日はあともう一戦あるので、先ほどのレースの反省を踏まえて戦っていきます。
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【2019全日本カート茂原】OK第5戦 予選ヒート | Paddock Gate
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