SL9がハイグリップ化?新旧ロットにより大幅な性能差がある疑惑が浮上

2017年1月10日に発表されたJAFモータースポーツ公示2-3月号(カート)により、2017年の地方カート選手権FS-125部門の指定タイヤがこれまでのDUNLOP SL6からDUNLOP SL9へと変更になった。これに伴い、全国各地のローカルレースではX30クラスのタイヤを地方選手権のレギュレーションに合わせてSL9へと移行されていった。そもそもSL6は「SLタイヤ」として登録されてはいるもののKT100などのローパワーエンジン用のグリップの低いタイヤではなく、それなりに高いグリップ性能を誇るいわば「セミハイグリップ」といえる存在であった。それに対し、今シーズンから指定されたSL9はまさに一般的な「SLタイヤ」であるため、SL6と比較するとグリップに劣る。最低重量155kg、ハイパワーな水冷125ccエンジンであるIAME X30を使用する地方選手権並びにローカルX30シリーズではタイムダウンが見込まれ、全日本カート選手権FS-125部門との差別化がより図られることになるだろうと考えられた。

鈴鹿で検証する

SL6とSL9でどの程度の差が生じるのだろうか。これを知るために我々は鈴鹿サーキット国際南コースへと向かった。X30クラスがある鈴鹿選手権の第1戦が3月5日に行われたのだ。全日本カート選手権の最終戦の地でもある鈴鹿サーキット国際南コースで開催される鈴鹿選手権には、毎回全国各地から猛者が集まりハイレベルなレースを展開している。X30クラスには東西の全日本/地方選手権FS-125に参戦するドライバーも数多くエントリーするため、タイヤによる性能やドライビングの変化を見るにはうってつけだ。

ロットによって大きな性能差がある?

ところが、練習走行中にとある話を耳にした。どうやら数週間前の練習走行で新品のSL9を下したドライバーが複数人おり、そのタイミングでのタイムは速い人で50秒後半だったが、同じように新品を下した別のドライバーのベストタイムは52秒台でとても51秒台に入るとは思えないような状況であったという。そこで聞いた速かったドライバーや遅かったドライバーにはともに鈴鹿選手権の上位ランカーの名前も含まれており、ドライバーによってそこまで大きなタイム差が生じてしまっているとは考えられない。遅かったドライバーはレースウィークの土曜日にコースに来場しているDUNLOPのサービスから新品のタイヤを新たに購入、それを練習に使ってみたところ、前週下したタイヤとは比べ物にならないほどのグリップがあり、タイムも他のドライバーとそん色ないレベルに回復していた。ただタイヤを先週下したものからコースで購入したものへと変えただけである。こんなことがあるだろうか。

明らかにロゴの大きさが異なる

これが実際にあるドライバーが使用したSL9である。右側が数週前に下したグリップの低い物、左側がレース当日に使用したコース内で購入したものである。DUNLOPのロゴの大きさが異なっていることが見て取れるだろうか。新品タイヤのロゴのほうが中古タイヤのロゴよりもわずかに小さいのだ。

ただ、この点に関してはDUNLOPでは昨年12月にロゴの変更を行い、従来より一回り小さい物になったとのこと。小さいロゴのタイヤは新しいロットだということになる。

ロゴ以外の刻印にはTUBULESSの隣の刻印が「Q2410-N2」か「Q2598-N2」かの差があるが、それ以外には外見では特別な違いは見いだせない。単なるロゴの変更だけなら問題はないのだが、一方はレースで50秒台前半を記録し、もう一方は練習走行だが52秒台でしか走ることができなかったのだ。

レースでもSL6と大差ないタイムを記録

いざレースが開幕しタイムトライアルでタイムが計測されていくと、X30クラスのトップタイムは49.929が記録された。鈴鹿サーキット国際南コースでのX30コースレコードは49.482であり、とてもローグリップタイヤに変更になったとは考えられないタイム差である。その後レースラップを重ねていっても50秒台前半が当たり前のように記録されていく様を見ると、SL6の6の文字をひっくり返しただけではないかと思うほどにタイヤが変更された影響が見当たらなかった。なぜ52秒台の選手がいなかったのか。それは単純に出場した選手のほぼ全員が南コースのDUNLOPサービスカーからタイヤを購入したためだろう。もし自分がレース用に事前に購入したタイヤがとんでもなくグリップの低いものであったら、そう考えるととてもじゃないがレースにそのタイヤを使うことなどできない。DUNLOPサービスカーが鈴鹿に持ち込むタイヤは比較的新しいロットのものだと噂されているため、ここで買ったタイヤをレースに用いるのが最も安全な方法だと考えられているのだ。

DUNLOPでは現在調査中

もしやすると秘密裏にSL9はハイグリップ化したのだろうか。それとも旧ロットのグリップが落ちてしまうような何らかの原因があったのだろうか。この件に関してDUNLOPに問い合わせを行ったところ、同様の情報が複数寄せられており、現在品質管理や製造工場にて調査を行っているとの回答を得た。実際に昨年の12月にロゴを一回り小さいサイズに変更したため新旧ロゴが市場に混在しているのは事実ではあるため、”ロゴが小さいほうが新しい”ことには間違いないが、”ロゴが小さいほうが速い”ことは基本的にはあり得ない、とのこと。SL9は昨年まで一部シリーズでのみ使用されていたタイヤであるために長期保管品となっているものが存在する可能性は否定できないが、性能の大幅な低下が起こり得るような保管方法をDUNLOPが行っているとは考え難い。調査の結果がいかようなものであれ、ワンメイク指定のタイヤだからこそ徹底した品質の均一化を強く訴えたい。

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