【2018全日本カート茂原】タイヤメーカーインタビュー【OK】

2年ぶりに全日本カート選手権最高峰カテゴリーが茂原ツインサーキットに帰ってきた。本日の午前中に関東甲信地方の梅雨明けが宣言されたことを象徴するように、強い日照りがサーキットに降り注ぎ、灼熱の茂原に来たのだとドライバーらに痛感させた。現時点で木・金曜日とセッションをこなしてきたが、とびぬけて速いというドライバーがいない一方で、各ドライバーのタイムはかなり接近しているようだ。タイヤ勢力図は、BRIDGESTONEとYOKOHAMAがほぼ互角、それをDUNLOPが追う格好となっている。さて、ドライバーにもマシンにもタイヤにも厳しいこの茂原ツインサーキットを、タイヤメーカーはどのように攻略していくのか。

YOKOHAMA「熱と転がりに重点を置いて対策した」

今回は開発責任者の三好さんが不在のため、コンパウンダーの中川隆太郎さんにお話を伺いました。

Paddock Gate 藤松楽久:前回の本庄のレースでは、YOKOHAMAよりもBRIDGESTONEのほうが一枚上手だったような印象があります。それはどのようなところに原因があったのでしょうか?

YOKOHAMA 中川隆太郎:我々の苦手のしている部分が出てしまったレースだったと思います。苦手にしていた部分とはストレートスピードであり、つまり「転がり」の悪さが出てしまったということです。本庄サーキットは全日本カート選手権開催サーキットの中でも特にストレートが長かったので、それが顕著な形で出てしまった結果だと思います。それについての改善方法はいろいろと試してきており、もちろん今回もその対応策を打ってきました。テストの段階では、それは一部うまく働いている部分も見えてきています。

藤松:逆に他社に勝っていた点はありますか?

中川:コーナリングのスピード・グリップ力ですね。そこは少しかもしれませんが優位に立ててる部分はあると思います。ですので、特に本庄での結果を悲観はしていません。むしろ立ち位置としてはもてぎの時と本庄の時は変わっていないと考えています。コースの特性によりタイヤの特徴が出た形です。ですが、もちろん転がりの悪さに関しては課題の一つですので、改善していこうとしています。

藤松:茂原はアップダウンも激しく、かつ例年気温も高いため人にも車にも厳しいサーキットだという印象があるのですが、中川さんとしてはどうですか?

中川:私は茂原でレースを担当するのが今回が初めてなのですが、過去の結果を見ていくと、とにかく暑いのでタイヤのブローやタイヤの重さ、転がりにくさがネックになっているようです。本庄ほどではありませんが、茂原も最終コーナー~ホームストレートにかけて長い高速区間があるので、本庄の課題も踏まえ、熱と転がりに重点を置いて対策してきました。それはこの木・金曜日のセッションで良い方向に出ているので、本庄の時よりもいいレースができると思います。

藤松:現時点で他社と比較したときはどうですか?

中川:ベストタイムで言えばBRIDGESTONEと同等、DUNLOPより少しは速いかなと思います。ただ暑いので、周回を重ねた時に、耐久力のあるBRIDGESTONEに対してどれだけついていけるか、それが勝負のポイントとなるでしょう。もちろんついていける自信はあります。

DUNLOP「新コンセプトの課題を解消する」

Paddock Gate 藤松楽久:前回の本庄大会では、DUNLOPユーザーのタイヤにトラブルが発生していたように見えましたが、今回のレースでは大丈夫なのでしょうか?

DUNLOP 大小瀬求:タイヤがブローした原因はわかっているので、もちろん今回は対策済みです。というよりも、あれは開発を攻めた結果によるエラーであるため、あの時だけのものです。一発のタイムはTTでの朝日ターボの活躍を見ればわかりますが、その後はブローが発生することもあり、ドライバーとしてもプッシュしたいけどもできないという状況でした。ドライバー達に思う存分走らせてあげられなかったことは申し訳なかったです。同じことは二度と起こしません。タイヤのポテンシャルとしてはもっとあったはずなので、もしブローしていなければ…という思いはあります。自分たちのタイヤを手懐けられなかったことが敗因です。

藤松:2年前の茂木大会では宮田莉朋やほかのDUNLOP勢が猛威を振るったという記憶があるのですが、この2年間の間にDUNLOPはコンセプトの大幅な変更を行っています。コンセプトの変更により、DUNLOPとしての茂原に対する印象は変わりましたか?

大小瀬:私としては、2年前のレースを圧倒的に勝ったとは思っておらず、むしろドライバーの力も借りて首の皮一枚で勝ったという印象です。また、去年ここでレースをしていない中で、シーズンを通じてアップデートはしていますが、特別に我々が得意にしているコースだとは思っていません。苦手だとは思っていませんが、茂原は他のコースにない特殊さがあります。他のサーキットも含め開発に継続性を持たせている中では、我々のタイヤがこのコースにベストマッチしているとは思っていません。

藤松:それは去年の後半に行ったコンセプト変更の影響もあるのですか?

大小瀬:今使っているコンセプトは、茂原のような上下方向の強い入力に対してはどうなのだろうか、と思うところはあります。もちろん、どのようなコンセプトであっても苦手とする部分があるので、今の我々のコンセプトに問題があるという話ではありません。ですから、現コンセプトの課題を解消することを考えてきました。その一方で、茂原を走るためだけのタイヤになっては意味がありません。開発の継続性が必要ですので、ほかのコースでも使え、かつこのコースにマッチさせる技術が必要です。そういう意識付けの中でレースに向け準備をしてきました。少なくとも、これまでのたいやよりはいい方向に向かっているようです。将来に向けての期待感を持っています。

藤松:木・金曜日とレースウィークをこなしてきましたが、他社と比較したときにはどうでしょうか?

大小瀬:我々は、特に一発のタイムで劣っているなというように感じています。もちろんレースを戦う以上、ベストタイムもタイヤの耐久性も必要ですが、一方でタイヤだけでレースをしているわけではありません。今年のレースを見ていくと、我々はまだいいレースができておらず、今回は勝てるといえる状況にありません。新コンセプトもありますし、今シーズンの結果を見ても、我々はチャレンジャーだという気持ちで戦っています。もちろんそれが不本意なドライバーもいるとは思いますが、開発陣・ドライバー・チーム全員のALL DUNLOPで頑張っていきたいです。

BRIDGESTONE「扱いやすさ=勝負強さを体現する」

Paddock Gate 藤松楽久:前回の本庄大会ではBRIDGESTONE勢が表彰台をほぼ独占という結果に終わりました。全体的にBRIDGESTONEユーザーの調子が良かったように思えましたが、改めてどのような点に勝因があったのでしょうか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:タイヤの調子がよかったというよりも、当たり前のことを当たり前にやれるようにマネジメントをし、レースウィークをこなしたことで結果がついてきたのだと思います。これまで開発していた本田を含め、我々の開発陣はレース経験が長いチームメイトが多く、カンや経験則に沿ってレースをしていた部分が少なからずありました。一方で私はまだレース経験が浅いです。ですから、先輩たちのサポートを受けつつ、基礎的な事柄からしっかりとやっていこうと考えました。経験則による開発と、これまで蓄積してきたデータをもう一度まとめなおすことを同時に行った結果、相乗効果でうまくいったことが本庄のリザルトに繋がったのだと思います。

藤松:茂原でのスペシャルタイヤレースは2年ぶりの開催となりますが、このコースの印象はどうですか?

中井:3コーナーの先にあるシケインの縁石を飛び越えるという厳しさと、最終コーナーが高速かつ長いためタイヤへの入力時間が長い厳しさ、この二つの要素が大きいです。過去の結果を見ると、我々としてはあまり得意なイメージはなく、DUNLOPが速いようですね。またタイヤに厳しいサーキットゆえに摩耗にもきついです。ですが、これまで我々が掲げている、「扱いやすさ」というキーコンセプトは本田さんが開発していたときから不変です。茂原は身体的にも厳しいサーキットであるので、ピーキーなタイヤは特に避けたいです。仮にピーキーなタイヤで一発のタイムが出ても、ドライバーに厳しいのであればレースは勝てません。ですから、今までの方向性を推し進めたタイヤを持ち込みました。

藤松:レース後のインタビューで、「茂原のテストではユーザーの課題に対して取り組んだ」とおっしゃいましたが、それはどのような点だったのでしょうか?

中井:「扱いやすさ」というものをより具体的に表現した、ということです。ドライバーにとって走りやすいタイヤであれば、スライドせず、カウンター量も減り、摩耗も抑えられます。特定のドライバーにだけ速いのではなく、オールマイティーであるということは、レースでも強いタイヤになります。

藤松:そのコンセプトは現時点で実現できていますか?

中井:自信はあります。他社と比較したときには、現時点ではどのメーカー・ドライバーも速いのですが、逆に言えば我々も遅くないので悪くはないと思います。一発のタイムで見ると、まだ残りの2社の実力が見えきっていない部分があるのでわかりません。それは明日の公式練習やTTで分かるでしょう。ただ、2年前のDUNLOPがずっと速く、BRIDGESTONEとYOKOHAMAがタレるというレース展開になることは心配していません。他社の一発のタイムだけ気にはしていますが、レースの勝敗に関しての心配は皆無です。

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