【2019全日本カート鈴鹿】タイヤメーカーインタビュー【OK】

昨シーズンの全日本カート選手権OK部門のタイヤ戦争は、BSとYHが激しい攻防戦を行いながらも、YOKOHAMA初のチャンピオン獲得という形で決着した。そこから5か月のオフシーズンが挟まり、各社ともに精力的にテストを重ねてきたという情報が入っている。

YOKOHAMAはチャンピオンを決めた地となるここ鈴鹿サーキットで、またしても速さを見せつけるのか。そのような予想を立てながら木・金曜日の走行セッションを観察したのだが、どうやら事態は大きく変化したようだ。安定した速さを見せるBSに対し、ディフェンディングチャンピオンYHは大きく後れを取っている。そこにDLがBS並みのタイムと、外から見てもわかるほどの扱いやすさを手に入れてきた。今週末は各メーカーとも、いつになくタイヤ選択の判断が早かったように見えた。それは自信の表れか、あるいは他に選択肢がなかったのか。 誰一人として予想していなかった週末の低気温が、勝敗の分かれ目になるのかもしれない。

YOKOHAMA「厳しい戦いになる」

Paddock Gate藤松:須賀さんは、昨シーズンまでの三好さんからカートタイヤの開発を引き継ぎ、OK部門で戦っていくことになりました。まずはYOKOHAMA初のシリーズチャンピオンを獲得した昨シーズンについて教えてください。

YOKOHAMA 須賀勇一:去年は開発の方向性を非常に明確に設定していました。私たちには足らない部分が多かった分、テストを行うごとに着実にステップアップしていくことができ、それがあのような結果に繋がりました。また私自身は去年の後半戦から現場に訪れていましたが、私たちのタイヤはドライバーを選ぶタイヤだなという実感を得て、それが課題に思いました。

藤松:木曜日・金曜日とセッションをこなしてきて、2日とも朝に雨が降ったのでコンディション的にはいまいちな状況ですが、現状YOKOHAMAはどのような立ち位置にいると考えていますか?

須賀:思ったポジションには到達していません。テストでは調子が良かったのですが、なぜこうなっているのかわかっていない部分があります。過去のデータを見ても、レーシングカートではテストとレースで真逆の結果が出ることがあるようなので、全く読めなくて難しいですね。手持ちのカードでも対処するのは難しく、路面に対して大外ししてしまっていると言わざるを得ません。

藤松:他社に対してはどのような印象を持っていますか?

須賀:DLはタイヤ外形が大きいままでタイムも伸びてきていますし、BSはつねに安定しています。今後の路面変化に対してどうなっていくかはわかりませんが、2社とも手強いですね。

藤松:ということは、今回の鈴鹿ではYOKOHAMAは厳しい戦いを強いられるということでしょうか。

須賀:今回は我慢のレースになるかもしれません。週末の低気温も少し予想外でした。しかし、事前のテストでは調子が良かったので、セッションを重ねていくことによってコンディションが変わることを期待したいです。また開幕戦で鈴鹿ということもあり、荒れるレースになるかもしれません。レース展開に対して生き残れるようにしていきたいです。

BRIDGESTONE「タイヤが着実に進化している」

藤松:去年のBRIDGESTONEはあと一歩のところでチャンピオンを逃してしまいました。今一度振り返ってみて、どのようなシーズンだったと考えますか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:ドライでは優位性がありましたが、ウェットでは改善すべき点が残りました。雨天になったSUGOでは持ち込んだタイヤがコンディションに対して間違っていたこと、そして単純に他社に対してタイヤの戦闘力が劣っていたことが敗因です。また1年カートタイヤの開発に携わってきて思ったことは、タイヤに求められることが四輪とは全く異なるということです。内圧がとても低く、デフがないというマシン特性によって、タイヤを固く作れば乗りにくく、やわらかく作れば横Gに耐えられません。そのあたりの塩梅が難しいですね。

藤松:今日までのセッションをこなしてきて、自社や他社の様子はどのように考えていますか?

中井:まずDLは、かつての調子を取り戻しているように見えます。YHは去年と同じような、コンスタントに同じペースで走っていくコンセプトなのかな?と思っています。それに対して我々BRIDGESTONEは、ピークのタイムはDLと同じぐらいのようです。タレに関しては各社どのタイヤがレースで投入されるか不明なので、実際に戦ってみないことにはわかりません。

藤松:今週末は4月下旬にしては気温が下がるという予報が出ていますが、これは予想していましたか?

中井:予報上の土曜日の寒さは正直なところ想定外でした。ただ、寒いといっても、我々にとってそこまで問題はないのではないかと思います。結局のところ、時期的に寒暖差が激しいのは明らかですし、日曜日の決勝も毎回早朝で冷え込みます。GTと異なり、OKのレースでは一つのタイヤで一日中走るわけですから、我々はそこを意識して開発をしています。レースでも行けると見込んでいます。

藤松:オフシーズンの間に、タイヤが進化したな、という実感を得ることはできましたか?

中井:オフシーズンには主に佐々木大樹や高橋悠之に走ってもらいデータを収集しましたし、なにより今シーズンはBRIDGESTONEユーザーが18人という多さなので、これまで以上のデータが集まっています。去年はドライで調子がよく、そこを伸ばすことを意識してきました。実際に去年よりもピークがよく、耐摩耗性もテストごとに着実に良くなっています。一戦一戦をきちんと戦って、18名のユーザー全員が勝てるチャンスを得られるようにしてきます。

藤松:では、今回の鈴鹿は良い感触があるということですか?

中井:オフでの開発が進んだことによってテスト段階での進化は確認できています。ただレースになると他社がおり、そして特に今回はDLの動きが気になります。蓋を開けてみないことには、どのような結果になるかはわかりません。

DUNLOP「ドライバビリティの向上に着目した」

藤松:昨シーズンのDUNLOPは、なかなか思うような結果を残すことができなかったように思います。あれにはどのような原因があったのでしょうか?

DUNLOP 大小瀬求: 去年はデータ取りにいそしんでいました。大径タイヤの話題が多かったようですが、タイヤの大きさは特性ではなく、単なる寸法にすぎません。大きかろうが小さかろうが、勝てなかったのは事実です。根本的なレベルアップが必要なことを強く実感したシーズンでした。負けている分だけ、直すべきところが明確に見えていたため、オフシーズンには修正部分へしっかりと時間をエネルギーをつぎ込むことができました。それぞれの課題に対してやるべきことはやりましたが、それは他社も同じはずです。これで十分やったか?と言われると、そんなことはないでしょう。

藤松:今回のDUNLOPユーザーの走りは、去年より明らかに乗りやすそうにドライブしているように見えます。摩耗肌も良好ですし、今回のDUNLOPは調子がいいのではないかという話もよく耳にしますが、そこはどうでしょうか?

大小瀬: 我々の数ある課題の一つとして、オフシーズンにはドライバビリティの向上に着目し、対策をしてきました。もちろん他にもさまざまな課題はありますが、その結果として見てわかるレベルで改善されました。

藤松:今週末の寒さは予想していましたか?

大小瀬: 時期的に寒いこともあり得るとは考えていましたが、思っていたよりもずっと寒いですね。温度に対するスイートスポットの狭さは、去年から引き継いだ課題の一つではありますが、それへの対策の結果が見れそうです。

藤松:今回の鈴鹿では、どのような結果を得ることができそうですか?

大小瀬: オフシーズンの間には、DUNLOPとしてタイヤの進化がはっきりと見えています。それがユーザーが満足できるレベルかどうか、すなわち他社に対して優位かどうかは、現時点では不明です。他社がいきなり的外れなことをしてくることはありえませんし、それぞれオフシーズンの間に進化しているはずです。今回の結果がどのようになるのかは、終わってみるまではわかりません。

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