【2019全日本カート本庄】タイヤメーカーインタビュー【OK】

本庄サーキットはとにかくタイヤへの依存度が低く、コンペティションタイヤを使用するOK部門であってもタイヤメーカー間の差が見えずらいコースだ。とはいっても開発するうえでのポイントはそれぞれあり、ベストな選択をするのはやはり他のコースと同様に難しいようだ。木金の練習走行では各車ほぼ同タイムを刻んでおり、特別突出したドライバーやタイヤが現れることはなかった。しかし決勝ヒートを終えた後は、それとは違った結果が残る可能性はゼロではない。3メーカーの動向を探っていこう。

BRIDGESTONE「全方位で進化している」

Paddoc Gate藤松:今回はカートタイヤ開発のユニットリーダーである山本貴彦さんにお話を伺います。前回のレースでは基本的にはかなりの優位性を見せたBSタイヤですが、振り返ってみるとどのようなレースでしたか?

BRIDGESTONE 山本貴彦:レースをトータルで見れば、予選は上位を独占しましたし、レースでも追い上げられはしましたが、負けてはいませんでした。BSとDLのタイヤキャラクターの違いが明確にでて、実にモータースポーツらしいレースだったのではないでしょうか。ただその一方で、我々はユーザー数が多いですが、みんなが使えるタイヤだったか?という点からみると疑問符が残りました。少々タイムを出すことに寄りすぎており、使いにくいタイヤだったかもしれません。ただ、ルーキーを含む若いドライバーには、前回の経験を糧にパワーアップしてくれればと思います。寒暖差も激しめの天候ではありましたが、結果からみればわかるように、基本的にタイヤの働きは想定の範囲内に収まりました。開発者である中井の頑張りが出た結果だと思います。

藤松:本庄サーキットはどうのような特徴のあるコースだと思いますか?

山本:ここはそこまでタイヤに厳しいコースではなく、またレイアウト的にタイヤの性能さも出ずらいです。しかし、だからといって攻めすぎるとすぐにタイヤが壊れてしまいます。本庄でのOK開催は3年目ということもあり、おそらくどこのメーカーもそれはわかっていて、大外ししにくいようにしてきているでしょう。ですから余計にメーカー間の差が出ずらい状況にあります。他のコースと比べると、勝利のためには相対的にチームやドライバーの寄与率が高くなるサーキットです。そういった意味でも、我々はユーザーが多く層が厚いので、恵まれた状況にあると考えています。

藤松:木金とセッションをこなしてきて、今のところどのような印象がありますか?

山本:現在のところタイヤの差はあまり見えません。しかし、本庄を経験した過去2年間によって我々のタイヤは以前よりもさらに良くなっています。優位性を持てていると確信しています。

藤松:では今週末はどうなりそうですか?

山本:去年の本庄は悪くなかったですし、過去の良さを失うことなく全方位で進化しています。フィーリングは悪くないですが、土日は暑くなりそうな点も踏まえて、公式練習などで蓋を開けてみないことには見えてこない部分はあります。他社と比較しても仕方がないので、私たちは道を踏み間違えないようにしてタイヤを選んでいけば、結果がついてくるはずだと考えています。余裕ではありませんが、戦える状態にはあります。レースが終われば、見えずらかったタイヤメーカー間の差もはっきりと見えてくるでしょう。

DUNLOP「エラーが起きないよう気を付けた」

藤松:開幕戦の鈴鹿では、去年とは比較にならないほどDLタイヤは進化を見せました。これにはどんな要因があったのでしょうか?

DUNLOP 大小瀬求: 何か特効薬を見つけたわけではありません。オフシーズンの間には、ドライバビリティの向上や、コンディション変化に対する強さ、これらを中心に課題として設定し、的を絞って開発に取り組みました。地道な開発の積み重ねが、あのリザルトに繋がりました。リザルトよりもタイヤの性能という観点から言うと、去年との違いは安定したタイム、そして寒い路面温度でもきちんと走れた、その二点がありました。これはオフシーズンテストの結果が妥当な形で現れたものでした。ただ正直なところ、一発のタイムであそこまでBSに差をつけられるとは思っていませんでした。勝てはしないにしても、もう一歩詰められると考えていたからです。そこは今後の課題として残りました。

藤松:去年の本庄サーキットではDLタイヤユーザーはタイヤブローに悩まされたセッションがありましたが、そこはどうですか?

大小瀬:確かに我々だけエラーが発生しました。このサーキットはタイヤに性能差が出ずらく、仕様を変化しても感度が高くありませんが、その分エラーが出るとユーザーの足を大きく引っ張ってしまいます。それが起きないように気を使いました。去年の対策はしっかりと取っており、今のところ問題はありません。しかし、やはりタイヤに差が出ずらいサーキットであるからこそ、今回もトラブルが出ないように気を付けました。

藤松:木金と走ってきてつかんだ感触はどのようなものですか?

大小瀬:鈴鹿と比べてタイヤの差は少なく、特殊なことは何もありません。各チームやドライバーが必要以上にタイヤに気を遣わず、それぞれの目の前の課題に取り組んでいます。ここでのタイヤメーカーとしての課題や必要条件は満たしており、今持てる100%の技術をつぎ込んでいます。タイヤの特性を踏まえて、それをどのように生かしていくべきなのか?そこをユーザーとともに考えていきたいです。結果はそこについていきます。

YOKOHAMA「進化は明らかだが不安が残る」

藤松:前回はディフェンディングチャンピオンらしからぬ、タイヤが機能しない状況に陥ってしまっていましたが、いったい何が原因だったのでしょうか?

YOKOHAMA 須賀勇一: 地獄のようなレースウィークでした。去年見えた課題は明確にあったので、それを直そうとオフシーズンでひと手間を加えました。それによってテスト中では課題は解決されたため、同じものをレースに投入したのですが、レース路面、特に金曜の4セッション目あたりから急激にゴム路面が形成されたときに、突然異変が起きました。ここは全く予測できておらず、反省点として大きいです。評価の方法から考え直していかねばなりません。改善したはずのポイントから原因を断定し、今回はそこを改良しました。

藤松:改良の結果はうまくいっていますか?

須賀:今のところ、出来としては悪くないところにあります。鈴鹿よりはかなりマシです。他社の背中が見えてきたかなとは思いますが、本庄での走りを見ていても、他社のタイヤユーザーと我々ではマシンの動きが違うポイントがいくつかあり、まだまだ課題は残っています。

藤松:本庄はタイヤの差が出ずらいサーキットだという評価がありますが、ここで勝つためのポイントとは何でしょうか?

須賀:やはりとにかくストレートが長いため、立ち上がりのスピードが稼げることが大切です。コーナーのミドルから出口までのタイムロスをいかになくせるか、そこがポイントであり、同時に我々の課題でもあります。そういう意味では、タイヤの出来栄えとしては他社を凌駕する域には達していません。

藤松:木金と走ってきて、他社と比べて現在のYHの立ち位置はどこにあると考えますか?

須賀:BSよりは少し下にいるように思います。DLはいまいち見えてこない部分があるのですが、イコールぐらいではないでしょうか。ただそれはあくまでもここまでの話であって、これからレース路面になった時には変化していくかもしれません。甲乙つけがたいです。

藤松:YHユーザー全体の雰囲気やモチベーションはどうですか?

須賀:チームもドライバーもポジティブな状態にあります。誰しもが去年よりも明らかにタイヤが進化していることを実感しており、そこにはとても救われています。結果にも期待したいですが、前回のような出来事があったので油断はできません。レース路面に対する不安があるので、今はまだ何とも言えません。

関連情報

【2019全日本カート鈴鹿】タイヤメーカーインタビュー【OK】 | Paddock Gate

昨シーズンの全日本カート選手権OK部門のタイヤ戦争は、BSとYHが激しい攻防戦を行いながらも、YOKOHAMA初のチャンピオン獲得という形で決着した。

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