【2019全日本カート茂原】タイヤメーカーインタビュー【OK】

例年「灼熱」の形容詞が付くほど暑いという印象が強い茂原ツインサーキットだが、どうやら今週は様子が異なる。初日となる木曜日は、断続的に強雨に襲われ、そして金曜日は走行セッション中は終日曇りで、夕方にはむしろ肌寒さすら感じるほどであった。レースの土日は雨になるという情報は天気予報をチェックするたびに変化しており、もはや明日のコンディションを予想することすら困難な状況だ。

そのような不安定なコンディションに悩まされているのは、もちろんタイヤメーカーも同じ事…と思いきや、そうでないところもあるらしい。勝手気ままな天候に左右されず強さを発揮できるタイヤメーカーはいったいどこになるのか?金曜日のセッション後の各メーカー開発者に話を聞いた。

DUNLOP「展開次第では勝負できる」

Paddock Gate 藤松楽久:本庄のレースでは圧倒的な初動の良さを見せ、特にレース序盤ではDLユーザーが展開をリードしました。今一度振り返ってみると、どんなレースでしたか?

DUNLOP 大小瀬求:初動の良さについては、たまたま他社と比べてそうだった、という話にすぎないと考えます。もちろんタイヤを作るうえで意識する部分ではありますが、相対的な性能でしかありません。対して耐久性やピークグリップについては、結果的に悪くない塩梅でした。今年に向けた開発の方向性が少なくとも的外れではないことが確認できました。メーカーとして優勝を手に入れたのではなく、初動の良さというイレギュラーの部分をユーザーやチームが生かすようにセットアップやレース展開を組み立てて、結果に繋げてくれた、そのようなレースでした。

藤松:去年の茂原ではDLタイヤはあまり性能を発揮できませんでしたが、あれはどのようなところに原因があったのでしょうか?

大小瀬:去年はテストの時点ではパフォーマンスを出せていたのですが、いざ本番になったときには、事前テストのようにはならず、そのまま終わってしまいました。しかし、去年の原因はおおよそ見えていますし、その対策を含め今年の準備をしてきました。

藤松:今回の茂原はいつもと違い比較的涼しい天候なようですが、これは予想していましたか?

大小瀬:7月上旬の開催なので、普通に考えれば梅雨入りしています。むしろ去年のような暑さのほうが異常だったのではないでしょうか。梅雨らしい天候であるとするならば、昨日今日のような天候になるでしょう。ですから、決してこの低気温が予想外だとは思っていません。路面温度や気温が低くなることは十分にあり得ると考えて、その時のための準備もしてきています。

藤松:レインコンディションの場合はどうでしょう?木曜日の雨ではかなり速かったという話を伺っています。

大小瀬:もちろん最善の準備をしているつもりではあります。しかし、一口に雨といってもコンディションは様々ありますから、そこのコメントをするのは難しいですね。

藤松:ドライコンディションでの感触はどうですか?

大小瀬:去年の一件があるので、まずは戦える土俵に上がることが第一目標です。今日走った時点では、少なくともそこには迎えているという感触があります。常に課題として持っている「広いコンディションへの対応」という部分でも手ごたえを感じています。現在持ち合わせている情報の限りでは、勝つためには多少の運要素が必要かもしれないとは考えています。しかし、それは展開次第では勝負できるということでもあるため、結果への期待感を持っています。

YOKOHAMA「天気に運を任せるほかない」

藤松:本庄では開幕戦の鈴鹿のような悲劇的展開はなく、また三村壮太郎が3位表彰台を獲得しました。

YOKOHAMA 須賀勇一:本庄は想定よりも気温が低かったので、パフォーマンスを発揮しきれない部分がありました。我々は40℃ほどの路面温度になるだろうと読んでいたのですが、実際には32~33℃しかありませんでした。その中でも三村壮太郎が粘って3位になったのは安心しましたが、タイヤの出来栄えとしては良くありませんでした。さらに本庄はヘアピンと直線を結んだサーキットですが、それによってコーナーの脱出速度とその後の伸び、という部分でのタイヤ性能の差が顕著に出ます。以前より課題ではありますが、路面温度への依存性が高さ、そしてケリの悪さという問題が改めて見えたレースでした。

藤松:茂原は全日本カート選手権開催コースの中でもタイヤに厳しいという意見が多いですが、今年のYHはここをどのように戦っていくのでしょうか?

須賀:茂原はアップダウンが激しく、ブレーキングで負荷が強くかかります。さらに最終コーナーは長くGがかかるので右リアタイヤに厳しく、実際に去年の我々のタイヤはバーストしてしましました。また茂原は例年非常に高温になるため、路面温度も高めを想定し、去年の反省をもとにタイヤを持ってきました。しかしながらどうやら今週は曇りや雨が続き、想定よりもずっと路面温度が低くなってしまっています。あとは天気に運を任せるほかありません。

藤松:YHといえばレインで強い、という印象がありますが、木曜日のレインコンディションではどうだったのでしょうか?

須賀:DLもBSも非常に速かったですね。昨日は雨が強くなったり弱くなったりと、様々なコンディションの中で走ることができたのですが、昨日の段階では我々に速さはありませんでした。確かに去年のSUGOでは雨の中表彰台を独占するという活躍をしたのですが、あの時は冷雨でした。我々は長年夏のレインコンディションには課題を抱えており、得意ではありません。

藤松:つまり現状で予想されるコンディションでは厳しいレースになる、ということでしょうか。

須賀:曇りや雨では難しいでしょう。が、天気予報も次々と変化していますし、日曜日の午後は晴れる、なんて予報すら出てきているので、どうなるかはまだわかりません。事前のテストでも晴れたコンディションではよかったので、温まった時の不安はありません。状況が変わることに期待したいです。

BRIDGESTONE「優位性の違いを生かし戦う」

藤松:前回の本庄では、第2戦こそDLにもっていかれましたが、BS全体としては悪くないレースだったのではないかと考えています。中井さんから見るとどのようなレースに見えましたか?

BRIDGESTONE 中井佑輔:ウォームアップはDLが非常に良かったですが、レース後半にかけては我々に分がありました。実際それは第3戦の予選・決勝では出ていました。第4戦については2位争いが激しかったこと、またDLユーザーの皆木駿輔選手がうまくレース展開を組み立てたことによって我々は敗北しました。しかし、リザルトにはそこまで現れなかったですが、トータルではレースだったと考えています。

藤松:去年の茂原ではBSタイヤが高い優位性を発揮しましたが、そこはどう考えていますか?

中井:確かにその部分はあったと思いますが、他社がコンディションから大きく外していたという部分もあります。ですから、今回に向けても決してこのコースが得意だとは考えず、謙虚な姿勢で開発を進めていきました。テストでは1日雨が降り、ドライコンディションで走れる機会は少なかったです。しかしその分一般ユーザーに多く走ってもらい、データを収集することができました。ですので開発もうまく進んだ感触があります。

藤松:去年の茂原では一部ユーザーにタイヤブローなどのトラブルが発生しましたが、それについては対策できているのでしょうか?

中井:去年は路面温度が想像以上の高温になりましたが、そのような場合でのタイヤの扱いについて理解が足りなかった部分がありました。今年は天候的にそのような事態になりそうにないので、特に心配はしていません。

藤松:むしろ今年は去年と違い低い路面温度での戦いとなりそうですが、そのコンディションへの対応はできていますか?

中井:例年の茂原とは違うのでなかなか難しいコンディションではありますが、そこは他社も同じだと思います。我々は「ドライバー全員が使いやすいタイヤ」というコンセプトを掲げていますが、それはどんなコンディションであっても走れるタイヤ、という意味でもあります。ですから、多少想定温度域を外しても、走れる優位性があると考えています。

藤松:木曜日・金曜日と様々なコンディションを経験しましたが、他社と比べてどのような印象を持ちましたか?

中井:DLもYHも、今日の最終セッションで気温がぐっと低くなった時でもタイムは出ていました。ですから、決して我々が勝っているとは思っていません。自分たちのタイヤのいいところも悪いところも見えてきていますが、どうやらそのポイントが他社とは異なるようです。例えばDLは今回も初動がよさそうに見えますね。昨日のレインコンディションでは、雨量が多い時はDLにメリットがあるようですが、少ない時には我々が速かったです。そのような優位性の違いがあるので、そこを生かしたセットアップやレース展開をユーザーとともに考えていけば、勝てる可能性は十分にあると感じています。

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