BRIDGESTONE、DUNLOP、YOKOHAMAの3メーカーによるタイヤ開発戦争は、今回のレースで終わりを迎える。タイヤが積まれている大型トラックの中を覗くと明らかに普段よりもタイヤの量が多く、絶対に負けられないBSと、そこに一矢報いたいDL・YHという構図がはっきりと目に見えてくる。
新路面になった鈴鹿サーキットの印象は各社まちまちで、メーカー間のものさしの違いというのは非常に面白いポイントだ。とは言え練習走行の時点ですでに44秒台中盤に突入するタイムが刻まれており、コースレコードが大幅に更新されることだけは間違いないだろう。
BRIDGESTONE「レース全体を通しての優位性がある」
PG:前回の茂原大会では、結果としてはBSが表彰台独占を果たしました。一方でDLの皆木駿輔が第7戦で6位入賞したり、YHの渡会太一が第8戦の予選から決勝中盤までトップを走ったりと、思った以上に食い込まれた印象もありました。
BRIDGESTONE 内村康人:去年の茂原の結果を振り返ると、ドライではグリップが他社に負けていたところがありました。それを改善するために今年はグリップと耐久性の両立に注力していました。テストでは両立できる結果が出たので、その自信作を茂原のレースに投入しました。結果としては他社対比でピークグリップは同等だったかもしれませんが、耐久面では優位性を見せたので、狙い通りの結果だったかなと思っています。
PG:茂原は例年ブリスターの発生も問題になりますが、今年はそこも改善されていましたね。
内村:我々はもちろんおそらく他社も、茂原でのブリスターには苦しめられてきました。特に今年は路面温度が50度ぐらいまで上がった中で、BS勢は大きなトラブルがなくレースがこなせました。ブリスターが発生するとタイムが大きく落ちますが、それが全く無く、他の性能と両立できたのは前回の一番の収穫でした。
PG:今回の鈴鹿に話を移します。やはり今年一番のトピックスは鈴鹿の路面が貼り変わったことだと思うのですが、路面張替えによってタイヤ開発の面でなにか変化はありましたか?
内村:張替え直後のスポーツ走行ではタイムが1秒以上上がったという情報だったので、やはり路面もかなり変化があるのだろうと思っていました。このため、おそらく各社やっていると思いますが、まずはテストの前に路面の調査を行いました。その結果を解析したところ、新路面は御殿場ほどの特殊性はなく、もちろん旧路面に比べればマイルドにはなっていますが、全日本カートの開催コースの中ではもてぎやSUGOに近いということがわかりました。その解析結果から見えた路面に適したゴムや構造を持ち込んでテストに挑み、ベストな結果を得られたものを今回選んできました。
PG:つまり新路面になったからと言って何かが劇的に変わった感じはなかったということですか?