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Home 特集記事 PG Test

新世代レーシングカートタイヤを独自テスト!NEXXIVE S1Eは「走りの楽しさ」を体現する

藤松 楽久 by 藤松 楽久
2026/02/27
in PG Test
0
新世代レーシングカートタイヤを独自テスト!NEXXIVE S1Eは「走りの楽しさ」を体現する
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2026年1月20日にNEXXIVE S1Eが発売された。今回はこのS1Eを現在のYAMAHA SSクラスパッケージで独自テストを実行、その性能を探っていく。

NEXXIVE S1Eが2026年1月20日に発売 一般向けレーシングカート向けタイヤで高い操縦性と耐摩耗性を両立

SLタイヤ相当!?NEXXIVE S1Eの実力やいかに

2024年に日本で誕生した新しいカートタイヤブランドNEXXIVEは、これまでS1LとS1Kという主にレンタルカート用タイヤとして設計されたタイヤを販売してきたが、ブランド第2弾商品となるS1Eは「ローカルレース向けのレーシングカート用タイヤ」として設計されている。これはつまり、日本市場で言うところの「SLタイヤ」相当品ということ。

実際に歴代のSLタイヤをかなり意識した開発が行われたとのことで、現時点でDUNLOP SL22しか事実上存在しないSLタイヤの選択肢を増やすものになる可能性を秘めている。その実力を示すように、2023~2025年シーズンまでDURO SL(HF-242V)、それ以前はBRIDGESTONE SL17タイヤを採用していたPRD Avantiクラスは、2026年からS1Eを採用することが発売とほぼ同時に発表されている。

リアタイヤの丸みが特徴的なスリックタイヤ

NEXXIVE S1Eはフロントが4.5×10.0-5、リアが7.1×11.0-5という一般的なレーシングカート用タイヤのサイズとなっている。S1Kでも同様だが、NEXXIVEのロゴがサイドウォールの片面に色鮮やかに印刷されており、ビートを上げたときの衝撃でも剥がれないようになっているのが嬉しい。また地味な話だが、サイドウォールの刻印の数が控えめなので、レースの車検の際にタイヤマーキングを書きやすいのは助かる。

前後共にS1Eのロゴがサイドウォールに表記される。リアに限って言えば赤いラインが入っていることで製品を見分けることも可能。また前後共に回転方向の指定がある。

手元には中古品のDUNLOP SL22しか無かったのだが、比べてみるとS1EとSL22はほぼ同等の重量・外形となっていた。若干フロントタイヤは重たかったが、数十gの差に収まっていた。重たいタイヤは車両への負荷が増すので、一般的な範囲に収まっているのは嬉しい。

ホイールなしの状態

NEXXIVE S1Eのフロントタイヤは角ばった形状をしているが、リアタイヤは丸みが特徴的。実際のタイヤ幅に対して接地面の幅は狭く、ここでリアタイヤの旋回性を発揮するような設計思想になっているのではないかと読み取れる。

ホイールに組んでエアを貼った状態

ホイールに組んで0.7MPaまでエアを張ると、更にリアタイヤの丸みや接地面の細さが際立った印象。

SLタイヤは手組みのしやすさも一つ重要なポイントだが、NEXXIVE S1Eのリアタイヤは比較的柔らかいので作業は容易。慣れている人なら特に難しいとは感じないだろう。対してフロントタイヤはトレッド面が固く、タイヤを潰しても戻ってくるので若干の組みにくさがあった。ただビートはそこまで固くないので、慣れればさほど問題にはならないはず。ホイールから外すときも同様の印象だった。

SLはもちろんホビーカーターにもベストマッチな乗り味

NEXXIVE S1EはSLタイヤ相当ということで、やはりテストするならYAMAHA SSクラスのパッケージで行うべきだろう。筆者のPAROLIN LeMansにYAMAHA KT100SECを搭載し、ソニックパーク安心院にて走行テストを行った。テスト当日は2月ながらに春の陽気を思わせる20度超えの気温。春一番が吹いたため少し埃っぽい路面状況ではあったが、終始ドライコンディションでの走行を重ねることが出来た。タイヤのエア圧は冷間0.7MPaに揃えてコースイン。

新品タイヤなので少し慎重にコースインしたが、皮剥き前にしては不安感が少ない。いくつかのコーナーを回り、ハードブレーキングするポイントでブレーキをかけた時、そのフィーリングにまず驚かされた。思っているよりも強くしっかりと止まるのだ。これは期待できそうだ。

アウトラップを終えた時点で新品タイヤへの不安感は一切無くなったので、ペースを上げていき、計測開始から2~3周もすればピークグリップがやってきた。NEXXIVE S1Eの温まりはかなり早い印象だ。そしてその操縦性はまさにレーシングカートに期待する乗り味そのもの。前後バランスが良く、硬質で、ニュートラルステアでよく曲がる。フロントタイヤを軸にスイスイと旋回していくのはとても楽しい。グリップレベルこそ違えどNEXXIVE S1Kも似た印象であったことを思い出した。

特に印象的なのはフロントタイヤのグリップや手応えがしっかりしていること。ハンドルを切ったときの応答性が早く、コーナリング中の負荷がかかった状態でも破綻が少なく、常にハンドルにグリップを伝えてくる。リアタイヤの旋回性能が非常に良いため、最小限の舵角でニュートラルなコーナリングを実現してくれる。ハンドルの舵角がとても少ないのに、車がよく曲がる。かといってオーバーステアというわけではない。例えばかつてのYOKOHAMA SL07タイヤにあったサイドウォールのヨレ感も無く、現代のレーシングカートシャーシの特性によくマッチしているように感じる。

リアタイヤの旋回性が良い=リアのグリップが低い、と考える人もいるかもしれないが、それは違う。ブレーキング時の縦グリップはかなり良いし、特に新品時はフロントもリアも共に少し引っかかりすぎる(※初使用のタイヤで特性を理解していなかったゆえの感覚でもある)ぐらいの横グリップがある。旋回初期にはインリフトを補助し、コーナーミドルには適切なだけ滑り、そして立ち上がりではしっかりとトラクションを確保してくれる。Rの大きいコーナーでもリアタイヤが邪魔してプッシングアンダーになるような感触はない。このリアタイヤの旋回性能があってフロントタイヤが活きていることが伝わってくる。

フィーリングだけで言えばよりハイグリップなタイヤを使っていると錯覚するだけの手応えがあるが、あくまでも「グリップ感」があるだけ。決して劇的にタイムが良くなったりはしなかった。仮に新品同士で比較したとして、1周50秒ほどのサーキットならDUNLOP SL22から良くて0.2~0.3秒アップと言った具合ではないだろうか。個人的には現代のSLタイヤはグリップ過多に思っているので、ワンメイクのSLタイヤであればここまでのグリップは必要ないと考える。が、NEXXIVE S1Eの製品としての立ち位置を考えると妥当なタイムだろう。複数のタイヤ銘柄から選択可能なカテゴリーであれば強みを発揮するだろう。

とは言え良いところばかりではないのも事実。イマイチな点の1つ目はリアタイヤの粘り感。わずかにスライドしている範疇まではとてもコントローラルブな一方、わざと無理をしてその領域を超えていくと、ズルっとグリップが抜けるポイントがある。他製品と比べると美味しいところが若干だが狭い印象だ。丁寧な走りができるドライバーはさほど気にならないだろうが、マシンを振り回して乗りたいドライバーは少し苦労するかもしれない。

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藤松 楽久

Paddock Gate 編集長。2010年に全日本カート選手権Super KF部門に出場。レーシングカートをもっと盛り上げるべく、マニアックな視点から情報を発信していきます。

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