2026年5月30日、AUTOBACS GPR KARTING SERIES/全日本カート選手権が開催されている鈴鹿サーキット南コースにて、ARAIの四輪レース用ヘルメットGPV-R RO 8859ならびにカートレース用ヘルメットSKV-R RO 8878が発表されました。

新型四輪用ヘルメットGPV-R RO 8859/カート用ヘルメットSKV-R RO 8878

ARAI GPV-Rシリーズは新開発のGPV-Rシールドロックシステムを採用。最新FIA規格検討時に「シールドはセンターロック」という要件が存在し、実際の規格要件では削除されたものの、「救護時に左右どちらからもアクセスできる」というメリットを重視し採用されました。GPV-Rシールドロックシステムはヘルメットが強い衝撃を受けてもロック状態を維持しつつ、2タッチで簡単に解除できるように設計されています。

GV-VASシールドシステムではシールド取り付けネジ穴をGP-6シリーズから25mm、GP-7シリーズから18mm下げ、滑らかな面を増やし「かわす性能」を高めています。試験での衝突ラインからネジ穴を下げることで過度な補強を減らし、低重心化もに貢献しています。特許技術の可動軸を採用したこと事により、シールド下端が尻下りの新しいARAIデザインと、ドライバーの命を守る性能を実現します。

ハンドルに搭載されるインジケーターやボタン類の視認性を高めたいというフォーミュラドライバーからの要望を受け、開口部を下方に8mm拡大。安全性能を損なうことなく視界領域を広げています。

内装は二輪用ヘルメットに類似する着脱式に進化し、洗濯や交換、調整が容易になりました。両サイドには厚み調整可能なアダスタブル機能も兼ね備え、個々人の形状にきめ細かく対応します。ベンチレーションも改良され、上部の穴位置変更やシールド下の開口部が拡大。通気性が向上しています。
GPV-R RO 8859とSKV-R RO 8878は前モデルと重量こそ変化がないものの、低重心化が行われたことで被り心地がさらに改善。実重量以上の軽さを実感させます。SKV-Rの内装は二輪用ヘルメットで定評のあるエコピアを採用し、抗菌・防臭機能を搭載しています。

四輪レース用のGPV-R RO 8859はメーカー希望小売価格が税別98,000円(税込107,800円)、カートレース用のSKV-R RO 8878が税別67,000円(税込73,700円)です。6月からの受注を受付し、8月末の発売を予定しています。
山本尚貴選手のコメント

スーパーフォーミュラ開発テストでカーボンモデルのGPV-Rのテストを行いました。第一印象としては被り心地は安心のARAI品質で、日本人の頭にぴったりあっていると感じました。重量こそ代わりがありませんが、重量バランスが良いために横Gがかかったときの負荷が減ったと感じます。
センターロックのシールドシステムは操作しやすく、かつ不意に開くこともありません。近年のフォーミュラやGTではハンドル上のモニターやボタンの重要性が高まっていますが、下方視野が8mm広がったことにより頭を下げず、視線を下げるだけで操作できました。近年は上下方向に視野が狭いヘルメットが増えているので、これはGPV-Rシリーズの優位性だと思います。内装が外して洗えるのも、日本の暑い夏にはぴったりだと感じます。うまく乾燥できないとかびたりする場合もあり、従来は内装交換も容易ではなかったので、ヘルメット内部の環境が向上しました。

空力性能としては、GPV-Rは新開発のGP-PEDを取り付けなくてもフォーミュラ乗車時の浮き上がりが減っていると感じました。僕はドライアイで、GP-6着用時は目に風があたって乾くこともあったのですが、GPV-Rでは口元に風が吹くことで目が乾きません。ウエットテストも行いましたが、シールドの曇りが減っていました。
近年は軽さを求めたヘルメットが増えている中、ARAIのヘルメットは決して軽いヘルメットとは言えません。しかしARAIがドライバーの命を第一に考えていることは、私自身も大クラッシュした経験から実感しています。自分の命を預けられるヘルメットだと確信しています。
松田次生選手のコメント

今回のGPR ShifterクラスにSKV-Rを着用して参戦しています。これまでGP-6を着用していたこともあり、SKV-Rでは第一印象として軽さを感じました。以前は通気性のためにシールドを少し開けて走っていたのですが、SKV-Rではシールドを閉じていても風が通り、とても蒸れにくそうだという印象を受けます。以前は走行終了後は消臭スプレーを吹いて乾燥させていましたが、SKV-Rはベンチレーションの良さからかそもそも汗のかき方も減っているようにも思います。内装が洗えるのでこれからの季節でも快適に使用できそうです。
佐藤蓮選手のコメント

今回のGPR 全日本カート選手権OK部門にSKV-Rを着用して参戦しています。四輪用ヘルメットと比べて軽量で、センターロックのシールド操作は非常に軽いです。従来モデル比で通気性が良いようで、今回走っていて汗のかきづらさを実感しています。特にSKV-Rでは二輪用ヘルメットで定評のあるエコピア内装を採用しているのも違いを生んでいるかもしれません。重心バランスが良いためか、首が振られたり負荷がかかったりする印象が減っています。

筆者による試着レビュー
今回の発表では新型ヘルメットの試着も可能だったので、その感想を書きます。
試着したのはSKV-Rでしたが、手に持った印象としては特別に軽い印象はないものの、被った際には確かに若干軽いような印象を受けました。被り心地はいつものARAIといった印象で安心感を覚えましたし、着脱も容易でした。
センターロックシステムは黒い部分を引き下げ、ロック部分を持ち上げることで操作できますが、操作方法を理解したあとには簡単に操作できました。閉めるときにカチッとハマる感触があったのも好印象です。全体的なデザインはシールド面積が大きいためか今どきではないように感じましたが、被ってみると確かに下方向への視野の広さを実感します。ARAIの文字が内装の目の横あたりに書かれているのワンポイントで良いです。


GPV-Rセンターロックシステム開発者の魚谷さんはこれの開発に数年をかけ、夢に出てくるほど試行錯誤を繰り返したとのことです。開発者の情熱と安全性に対する信念を感じる一品でありながら、従来モデルと比べても軽く操作できる点は驚きです。ただしこのロック部分はかなり繊細な設計がなされているそうで、ペイントする際に取り外すことの内容にしてほしいとのことでした。
選手たちのコメントで印象的だったベンチレーションに関しては試着では把握できませんでしたが、ぜひ実際の走行で確認してみたいところです。価格も他社製品に比べて安価に抑えられており、安全性にこだわった国産製品が手の届きやすい価格で手に入る企業努力には脱帽です。
今回は国内カート用モデルとしては20年以上ぶりの新製品ということで、気合を入れて全日本カート選手権のレース会場での発表を行ったとのこと。子供用カートヘルメット規格であるCMR規格適合の新製品も開発中とのことで、より軽量なモデルを求めるユーザーも期待できるのではないでしょうか。









