選択肢が広がった!?DUNLOPは大径でも小径でもイケるらしい【2018全日本カート】

2018全日本カート選手権SUGO大会中にパドックで関係者と会話をしていると、興味深い話が飛び込んできた。木曜日のDUNLOP陣営では、昨シーズンの瑞浪大会から使い続けてきた大径タイヤだけではなく、従来の小径タイヤもテストしていたという話だ。そういえば、走ってるDUNLOPユーザーのタイヤは他とあまり変わらない気がする…?

大径でも小径と変わらないタイムが出る

毎大会ごとに行っているタイヤメーカーへのインタビューの際に、筆者は本件についてDUNLOP 大小瀬氏に話を聞いてみた。するとレースウィークに小径タイヤをテストしたというのは事実であることが判明したのだった。ついに大径タイヤに見切りをつける時が来たのか…。一瞬そのようにも考え、技術革新の未来が途絶えたとガッカリしてしまったが、どうやら事実は異なるらしい。そのテストでは大径と小径で1周のタイムに全く差はなかった、というのだ。それどころか、一部のユーザーからは大径タイヤのほうがいいという意見まで出てきたという。この事実に対し大小瀬氏は「我々の選択肢が広がった形となった」と表現したのだった。

特性を生かしコースごとにタイヤを選択してくる可能性

選択肢が広がったということは、今後DUNLOPでは各サーキットの特性に対しタイヤのサイズをチョイスできる状態になった、ということだろう。ここで単純にタイヤ外形が変化したときのメリット・デメリットをまとめると、

大径 小径
メリット 耐久性が高い
転がり抵抗が少ない
ギャップの吸収性が高い
負荷能力が高い
タイヤが軽い
操作に対するレスポンスが良い
温まりが良い
特殊セッティングが不要
デメリット 車両セッティングが特殊
タイヤが重たい
操作に対するレスポンスが悪い
温まりが悪い
転がり抵抗が多い
耐久性が低い
ギャップの吸収性が低い
負荷能力が低い

このような形になる。各項目は完全に相反する事柄となり、それぞれ一長一短がはっきりしている。しかし、どのデメリットもいづれは技術的に解決されていくとすれば、大径タイヤのほうが未来があるのではないか。おそらくDUNLOP陣営はそのように考えて開発を進めている。また車両セッティングの特殊さについては、実際にDUNLOP使用チームはスペシャルなベアリングホルダーを使用するなどして対策が進んでいる。技術の進歩と車両の最適化によって、DUNLOPでは従来の小径タイヤと変わらないタイムを大径タイヤでも出せるようになってきたのだろう。

さて、メリット・デメリットの項目の中で、最も注目すべきは「転がり抵抗」と「操作に対するレスポンス」ではないだろうか。例えば、スポーツランドSUGO西コースのようにコンパクトかつテクニカルなサーキットの場合、転がり抵抗は多少犠牲にしてでもレスポンスのいいタイヤのほうがドライビングが容易で、安定してタイムが刻めるだろうし、バトルの際にも優位性が高いことが考えられる。一方で(今年はOK部門を開催していないが)フェスティカサーキット瑞浪のような直線長が長くハイスピードを維持する必要のあるサーキットの場合、転がり抵抗の良さは勝敗を大きく左右するだろう。おそらく、最終戦の開催地である鈴鹿サーキット南コースは比較的コーナーが大きく直線も長いため、大径タイヤが導入されるのではないかと予想される。ただしユーザーにとっての問題は残されている。大径タイヤはそれ用にセッティングしたマシンが必要なので、どちらを使うかわからない時は、仕様の異なるマシンを用意する必要があるのだ。

開発スピードを維持できるか

もう一つ懸念されるのは開発スピードの低下。おそらく共通項目は多数あると思われるので、さすがに開発速度が半減することはないだろう。しかし現在のDUNLOPのユーザー数や開発ドライバーの人数を考えたとき、2種類のタイヤを同時に開発して他社と同等の開発力を維持できるのかは懸念される。開発コストも跳ね上がるだろう。その反面、複数を同時並行で開発することで新しい発見がされる可能性も十分にあり、これにより技術革新が行われるかもしれない。ただ、コース特性に合わせ小径タイヤを今期初投入したSUGOでは、グループ分けにより行われたTTと、第7戦予選まではドライコンディションで行われたが、残念ながら他社よりも少し劣っていることを示すようなリザルトが残された。日進月歩のスピードで進化していくOK部門タイヤ戦争において、ほんの少しの遅れはリザルトにはっきりと反映されてしまう。大径タイヤが従来品と変わらない性能を引き出せるようになったことは、DUNLOPにとっての天使の呼び声か、あるいは悪魔の囁きか。

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