少し変則的なスケジュールが組まれている今年の全日本/地方/ジュニアカート選手権は、3月30日~31日の琵琶湖スポーツランド大会から開幕する。それからおよそ1か月遅れとなる 4月27日~28日に、最高峰カテゴリーであるOK部門が鈴鹿サーキット大会にて開幕。つまりOK部門の初戦まではまだ2か月半の期間が残されているということだ。
しかしPaddock Gateでは独自のルートを駆使して情報を集め、早くもOK部門の予想エントリーリストを作成した。もちろん開幕までまだ時間があるため変更の可能性もあるだろうが、各チームともに様々な動きがあるようだ。さっそくその予想ラインナップを見ていこう。
30人がOK部門にフル参戦?!
まず驚くべきはそのエントリー数。例年25人前後がこの最高峰カテゴリーへのフル参戦を表明するが、今年はなんと30名が集まるとみられている。2年連続チャンピオンの佐藤蓮(Drago Corse)の他、名取鉄平(Team BirelART)、佐藤巧望(INTREPID JAPAN CORSE)、三宅淳詞(SDD HIROTEX)、菅波冬悟(SUCCEED SPORTS Jr.)、平良響(Croc Promotion)、武井遥斗(FA-KART RT)の7名が抜け、10人のルーキードライバーが参戦してくるとみられる。ルーキーのほぼ全員が2018シーズンの全日本FS-125を戦ったメンバーだが、佐藤凌音だけがFP-Jrから飛び級で最高峰クラスに挑戦。さらに例年スポット参戦を行ってきた川瀬友和、そして去年の最終戦から加わった伊藤琢磨の2名がフル参戦を行うとみられる。またスポット参戦を行うとみられるドライバーが他に存在するため、コースによってはOK部門でフルグリッドレースが行われる可能性がある。
チーム体制の面で注目すべき点をピックアップしていく。まずYAMAHAワークスの活動休止に伴い昨シーズン発足したSuperWinforce RTが早くも消滅、それに伴い野中誠太がADVAN HIROTEXへと移籍した。よってタイヤをBSからYHへとスイッチするが、シャーシはBirelARTを使用するとのこと。もう一人の移籍組は古谷悠河。昨シーズンTOYOTA TAKAGI RTから参戦し、時折DL勢トップを快走する姿を見せた古谷悠河が、TONYKART RTJから参戦するようだ。TONYワークスは既存メンバーに変更がないため、ドライバーが3人から4人へと増加した。またKOSMIC RTは名前が消滅し、母体となっていたBRIOLYが使用マテリアルを変更して参戦してくる。BRIOLYでは坂入悠斗がXENONを、そして林蕗偉と大草りくがCroc Promotionを使用するとの情報をキャッチしている。さらにこれまでYHまたはDLタイヤを使用していたCroc Promotionが、新規参戦する渡会太一、廣岡陸勢の2名に対しBSタイヤをチョイスさせた。これによりCroc Promotion/Drago Corseは3メーカーのタイヤを使用するチームとなる。TOYOTA TAKAGI RT、SUCCEED SPORTS Jrもチームドライバーをステップアップさせ、ドライバーを1名ずつ増加させる。
BSタイヤがシェアを6割確保!公認切り替えでエンジンの勢力図も変化する!?
昨シーズンのチャンピオンタイヤメーカーであるYOKOHAMAは、ユーザー数が5人→4人へと減少。苦しいシーズンを過ごしたDUNLOPは8人で変化がない。つまり増えたドライバーは全てBRIDGESTONEが請け負うことになり、その数実に18人。シェア率は60%に到達したことにより、路面コンディションを強く支配していくことは容易に想像できる。BS開発陣は昨年最終戦に15人を受け持った時点で苦労が垣間見えていたが、集まったユーザーの強い期待に応えることができるか。YOKOHAMAは2年目以上のドライバーを揃え、さらにタイヤに優しいドライビングが持ち味の野中誠太を採用することで盤石の構えを取った。少数精鋭とすることで小回りの利く開発ができる体制を整えたが、開発陣が変更になったとの情報も入ってきている。DUNLOPは半数がルーキードライバーとなり、さらに井本大雅が開発ドライバーに就任したとの情報をキャッチ。新風を取り入れ復権を狙う。
エンジンを見ていくと、VORTEX、TM、IAMEのシェア率がほぼ拮抗。スペシャルタイヤを使用する全日本カート選手権では、低中速トルクが太いTMやIAMEに分があるとされている。しかし2019年はCIKのエンジン公認切り替えのタイミングのため、全メーカーのエンジンが一新される。なかでもVORTEXはKFエンジンをベースとしたエンジンをこれまで供給していたが、ここで完全にOK仕様となる新たなエンジン「DST」を投入、特に腰下を一新してきた。しかしIAME「Reedster V」、TM「S2-Senior」も大きく変化しており、現時点での勢力図は全く不明。ちなみに、TMとIAMEは双方を使い分けるチームが全日本カート選手権OK部門では多く見られている。
シャーシを見ていくと、例年通りOTK系が最多となるが、次点で使用するチームが増えたCroc Promotionが勢力を伸ばしてきている。好調を見せるBirelARTは(去年のSWFを含めると)台数に増減はない。CRG、INTREPID、KR、XENONといった少数派シャーシも2台ずつユーザーを確保しており、どのブランドが勝つかわからない様相を呈している。現時点で使用シャーシがつかめなかったドライバーが2名いるが、ParolinやPragaといった新たな勢力の参入も大いに期待したい。
ドライバーの増加、チームの移籍、使用マテリアルの変更など、現時点ですでに見どころが満載となっているOK部門。2019年も激しいレースが展開されることは必至だ。4月27日~28日の開幕が待ち遠しい。
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